戻る TOPへ
仮面ライダー電王 俺、誕生!のエンディング
過去の時代を旅立ったデンライナーの車内。
良太郎と、10歳の良太郎こと小太郎にナオミがジュースを出す。
ナオミ「は〜い、どうぞ!」
良太郎「飲む?」
笑顔を交わす良太郎と小太郎。
いつもの如くチャーハンを食べているオーナーの隣りに、気まずそうにハナが座っている。
ハナ「オーナー、お願いがあるんですけど……」
オーナー「……」
ハナ「小太郎が、両親の写真を失くした時間に……行ってもらえませんか?」
良太郎「……!?」
ハナ「ほんのちょっとでいいんです!」
良太郎「ハナさん……」
オーナー「残念ながらそれはできません。チケットがありませんし、その小太郎くんは正規の乗客じゃありませんからね。早急に、元の時間に帰ってもらいますよ。例外は認められません……!」
良太郎「ハナさん、いいんだ……ありがとう」
ハナ「……」
ナオミ「あ……雪? 雪ですよ!」
窓の外、夜空に雪が舞っている。
小太郎「ホントだ!」
小太郎が嬉しそうに、窓に駆け寄って外を見つめる。
良太郎も隣りに並び、一緒に窓の外を眺める。
デンライナーの横を流れてゆく景色。
産婦人科病院の前。
生まれたばかりの赤ん坊を抱いた若い夫婦、幼い少女。
「愛理、ほら、お前の弟だぞ」
「ねぇ」
小太郎「父さん……母さん……?」
良太郎「……」
夫婦が幸せそうな笑顔で、赤ん坊を見つめる。
ハナもその様子に目を奪われる。
オーナーはいつもの如く、自分は何もしていないとばかりに微笑んでいる。
今まで憶えていなかった両親の姿を、目に焼き付け続ける良太郎と小太郎。
赤ん坊の良太郎を抱いた両親の前を、デンライナーが通り過ぎてゆく。
「まぁ、電車! あはは、ほら良太郎、電車よ!」
「良太郎、見えるか? ほら!」
デンライナーの窓から、病院の景色が次第に遠ざかってゆく。
走り去るデンライナーを見送り続ける、良太郎の両親たち。
小太郎の時代、1980年。
ジーク「さらば、姫……」
ジークがエネルギー体と化し、デンライナーから飛び去って行く。
デンライナーがミルクディッパーの前を通り過ぎ、小太郎が降りる。
小太郎が一時閉店中の店の錠に、鍵を差す。
──が、鍵を抜き取り、笑顔で店の前を走り去る。
2007年、現代。ミルクディッパー。
良太郎「ただいま」
愛理「良ちゃん!」
良太郎「姉さん……」
愛理「遅かったわねぇ……ご飯、できてるわよ」
良太郎「ありがと」
椅子にかけた良太郎が、カウンターの隅に気付く。
愛理が良太郎の視線の先に気付き、微笑む。
かつて良太郎が唯一の家族写真を失くしたはずの写真立て。
写真の代りにそこにあったのは、10歳の良太郎が目に焼き付けた、あの光景。
良太郎が生まれた日の、幸せに包まれた家族4人の絵だった……。
お わ り