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五星戦隊ダイレンジャーの最終回
宇宙から再度飛来した大神龍が、愚かな争いを終結させるべく、ゴーマ宮を攻撃し続ける。
亀夫「大神龍は、ゴーマ宮を破壊するまで力を出し続けるがや!」
ゴーマ宮の中。
ゴーマ幹部シャダムが新たなゴーマ支配者・ゴーマ16世となり、その力でリュウレンジャー・亮、テンマレンジャー・将児、キリンレンジャー・知を翻弄する。
ナレーション「遂にダイレンジャーと、ゴーマ16世となったシャダムの、最後の戦いが開始されたのだ」
ゴーマ宮へ急ぐ大五、リン、コウ。
大五「急ぐんだ、このままでは3人とも爆破して死んでしまう!」
亀夫「ダメだって! そんなことしたら、皆死んじまうがや!」
大五「そんなこと言ってる場合かぁっ!!」
大五・リン「気力転身!!」
コウ「気力転身!!」
3人が最後の転身を遂げ、シシレンジャー、ホウオウレンジャー、キバレンジャーとなる。
行くぞォォッ
崩れ行くゴーマ宮の中、ダイレンジャーとシャダムが激闘を繰り広げる。
シャダムはゴーマ支配者の証「大地動転の玉」の力で猛攻を繰り出し、ダイレンジャーを退ける。
テンマ「亮!! どうしたらいいんだよぉ!」
そこへシシレンジャー、ホウオウレンジャー、キバレンジャーが駆けつける。
シシ「シャダムゥ!!」
シャダム「ハッハッハ……全員揃ったな。俺はこの日を待っていたんだ。貴様らを葬り、ゴーマ16世となって世界に君臨するのだ!」
再びシャダムが繰り出した大地動転の玉の攻撃で、ダイレンジャーがピンチに陥る。
リュウ「しっかりするんだ、皆! 奴の力の源は、あの玉だ!」
シャダム「ハッハッハッハ……ハッハッハッハ……」
リュウ「俺たちも天宝来来の玉で対抗するんだ。大自然に眠る……全ての気力を、玉に集めるんだ!」
6人がそれぞれの天宝来来の玉を取り出し、気力を込める。
シシ「天宝来来の玉よ……俺たちに力を貸せ!」
リュウ「行くぜぇっ! シャダム、覚悟しろ!!」
ダイレンジャーが6つの天宝来来の玉をかざし、シャダム目掛けて強力な気力を放ち、シャダムを落とす。
シャダム「う、うわぁーっ! がァーッ……おのれぇっ!!」
大地動転の玉で反撃するシャダム。
キバ「負けるもんか! 母ちゃんに『頑張る』って約束したんだ!!」
白虎真剣「頑張れ、コウ!」
シャダム「コウ……! 貴様は俺の……」
リュウ「だまれぇっ! 皆!!」
ダイレンジャーが再び天宝来来の玉で気力を、シャダムが大地動転の玉で妖力を放つ。
気力と妖力が衝突。
凄まじい衝撃がゴーマ宮の天井を砕き、瓦礫が降り始める。
シャダム「わ、わぁーっ!! うわぁーっ!!」
ダイレンジャー「わぁーっ!!」
「皆」
ダイレンジャーたちが声の方を見上げると、死んだ筈のダイレンジャーの指導者、道士嘉挧の姿が宙に浮かび上がっている。
リュウ「はっ……道士嘉挧!!」
嘉挧「聞くんだ。愚かな戦いをやめ、今すぐここから逃げるんだ。気力と妖力は光と影、正義と悪。この世のものが全て二極から成り立つように、気力と妖力もまた表裏一体。元は1つなのだ」
リュウ「何ぃっ!?」
嘉挧「1つの力を2つに分け、お互いが争いながら永遠に生きてゆく。これ即ち人間の宿命なのだ。妖力が滅べば気力も滅び、気力が残れば妖力もまた残る。全ては虚しい戦いなのだ」
リュウ「待ってくれ道士!! 言ってることがわからねぇ!!」
嘉挧「勝負は永久につかない。去れ。去るのだ!!」
嘉挧の姿が消える。
ダイレンジャー「道士ーっ!!」
シャダム「ワハハハハ!!」
ゴーマ宮の被害が限界に達したか、宙に浮いていた宮が遂に地上に墜落し、内部が崩壊し始める。
亀夫「ご、ゴーマ宮が!!」
ダイレンジャーたちの転身が、なぜか自然に解ける。
6人が手にしていた天宝来来の玉が手を離れ、宙に浮く。
リン「天宝来来の玉が!?」
シャダムも、意に反してゴーマ16世の姿から元のゴーマ幹部の姿に戻る。
彼の大地動転の玉も、その手を離れる。
シャダム「大地動転の玉が!!」
宮の外。
亀夫の懐からも、ダイムゲンの天宝来来の玉が飛び出す。
亀夫「ぼ、僕の玉が!?」
天宝来来の玉、大地動転の玉が宮の外へ飛び出す。
8つの玉が、どこかへと飛び去ってゆく。
ゴーマ宮が崩壊してゆく。
宮の中、シャダムが逃げ惑う。
6人「わぁーっ!!」
将児「爆発するぞ!」
亮が駆け出す。
大五「どこへ行くんだ、亮!!」
将児「亮ーっ!!」
亮「シャダムを倒す!! この手で……道士の仇だぁっ!!」
シャダムを追い、崩れ行く宮の奥へ駆けて行く亮。
一同「亮──っ!!」
崩壊する宮の中、火の海の中でシャダムが逃げ惑う。
シャダム「ゴーマは俺のものだ……俺のものだぁ──っ!! ハッハッハッハ──!! 誰にもゴーマは渡さん!!」
亮「シャダムゥ!!」
半狂乱のシャダムに亮が追いつく。
亮がシャダムをはがいじめにするが、シャダムはそれを解いて投げ飛ばす。
シャダムがナイフを抜き、切りかかる。
必死に交わす亮。
シャダム「貴様、貴様、貴様ーっ!!」
取っ組み合う2人。
ナイフが遂に亮を貫く。
──かと思われたとき、亮はそのナイフをシャダムの腹に突き立てていた。
シャダム「うっ……うぅっ……」
その口から流れ落ちたのは血ではなく──泥。
ナイフにかけたシャダムの手も、泥と化している。
シャダム「お……俺の……俺の体が……!?」
亮「泥だ……!?」
シャダム「バカな……これは一体……どうなってるんだ……!?」
シャダムの全身が次々に泥と化し、崩れる。
先代支配者ゴーマ15世や、幹部のガラとサイドスは、シャダムがゴーマを裏から操る為に作り上げた、命を持った泥人形だった。
だが、当のシャダム自身もまた、泥人形だったのだ。
亮「あぁっ……シャダム……」
シャダム「俺も……泥人形だったのか……助けてくれ、助けてくれよ……!!」
シャダムが完全に泥の残骸と化す。
亮がその場を去る。
宮の外、逃げ去った5人。
リン「亮──っ!!」
将児「爆破するぞ、隠れるんだ!!」
崖の裏に隠れる一同。
ゴーマ宮が爆破する。
大五「亮──っ!!」
争いが終わったことを悟ったか、大神龍が飛び立ち、空の彼方へと消えてゆく。
残骸と化したゴーマ宮跡を見つめる一同。
将児「亮……」
そのとき、夕陽を背に亮が歩いてくる。
既に満身創痍。力尽きて膝を突く。
亮「はぁ、はぁ……皆ぁ……」
大五「亮ーっ!!」
知「亮!!」
リン「亮──っ!!」
コウ「亮兄ちゃ──ん!!」
一同が亮のもとへ駆け寄り、助け起こす。
亀夫「良かったがや、生きてて良かったがや!」
将児「バカ野郎!! ……心配させやがって」
大五「シャダムは!?」
亮「死んだ……奴も……泥人形だった……」
リン(ナレーション)「こうして、ゴーマは滅んだ。シャダムが泥人形だったことで、しばらく様子を窺ったが、何事もなく済み、皆で相談して、ダイレンジャーを解散することになった」
並木道に5人の姿。
亮「今度こそ……本当に解散だな、みんな」
将児「あぁ。これで全員、元の世界に戻れるってわけだ。亮は餃子。大五はペットショップ。知は美容師。で、リンが大学。そして俺は……」
ボクシングの構えをとる将児。
将児「世界チャンピオンだ!」
リン「なんか……淋しいね」
知「大丈夫ですよ。皆、すぐ近くにいるんですから……また会えますよ!」
大五「色々あったなぁ……」
空を見上げる大五。
大五「ま、やめよっか……思い出話は」
亮が手を差し出す。
大五が、将児が、知が、リンが手を重ねる。
亮「大五……将児……知……リン……」
亮がもう一方の手を重ねる。
亮「皆……お別れだ……」
知、大五、リンが次々と去る。
将児が、亮の胸を軽くこづいて去ってゆく。
並木道の真ん中に1人残った亮。
自分も立ち去ろうとしたその時……
道を歩いている道士嘉挧の幻影。
亮「道士嘉挧!?」
慌てて、その姿のほうへ駆け出すが、既に姿は消えている。
見間違いか……と言った表情で、亮も並木道を歩き去る。
リン(ナレーション)「そして、瞬く間に50年の歳月が過ぎた」
年老いたリンが、マンションの自室でワープロを打っている。
電話が鳴る。
リン「はい。もしもし。あらぁ……大五さん? お久しぶり……え、コウ? 相変らずよ。『今日も重役会議がある』って」
机の上の写真立てには、ダイレンジャーの頃のリンとコウの姿。
その隣には、すっかり成長して大人となったコウの姿。
リン「わかってるわよ。ダイレンジャーの同窓会……そろそろ出かけようと思ってたところなのよ」
電話しながら、ダイレンジャーの思い出の詰まったアルバムを、懐かしそうに眺める。
東京駅地下、ダイレンジャー基地。
入口脇に「ダイレンジャー同窓会」の看板。
入口が開く。
知「やぁ、リン、将児……」
大五「うむ」
出迎えたのは、年老いながら金ピカの背広を着た知、着物姿の大五。
やって来たのは、花束を抱えたリン、ワインボトルを手にしてステッキを付いたジャージ姿の将児。
将児「何じゃ知ぅ〜その格好はぁ! 相変らずケバケバしいのを着おって〜っ!」
知「まぁまぁ……」
リン「亮は?」
大五「ん? あぁ、まだじゃ。いやぁ〜しかし懐かしいのぉ。ゴーマと戦った時のことが、まるで昨日のことのようじゃなぁ!」
将児「おぅおぉ、持っとれ、これも持っとれ」
将児が手にしていたワインボトルとステッキをリンと知に預ける。
将児「むぅ〜っ、気力ぅ〜っ! 転身〜っ! あぁっ、腰がぁっ!」
知「しっかりせぃ、元・世界チャンプのなり損ないがぁ〜耳が遠い上に腰痛で、どうするんじゃぁ」
将児「面目ない……」
「大変じゃぁ!」
4人が振り向くと、会場に老いた亮が現れる。
亮「大変じゃぁ、ゴーマが、ゴーマが現れおった!」
大五「おぉ」
知「人を担ごうったってそうはいかんぞ亮〜。昔を懐かしんで、一芝居打ったんじゃろぉ」
大五「はははっ」
亮「ち、違うわい。本当に現れたんじゃ」
亮がテレビを叩くとつく。
亮「ほら……」
大五が眼鏡を出して画面をよく見る。
画面に映ったのは──第1話で登場した怪人、紐男爵の色違い。
大五「おぉ!? 本当じゃ、ゴーマじゃ!」
巨大怪人・紐男爵がビル街で暴れ回る。
逃げ惑う人々。
紐男爵「人間ども! 地球はゴーマが支配する!!」
どこからか赤いスポーツカー駆けつける。
中から青年が降りる。
そしてどこからか、4人の人影が駆けつける。
5人揃った姿は──亮、大五、将児、知、リンに瓜二つ。
亮似「待っていたぜ……ゴーマ!」
将児似「俺たちがいる限りよぉ、地球はてめぇらの好き勝手にゃあできねぇんだよぉ!!」
リン似「おばあちゃんたちから聞いて、いつかこんな日が来るんじゃないかって、私たち孫5人で密かに特訓してたのよ!」
5人は亮たちの孫たちであった。
そこへ亮たちも駆けつける。
将児「こっちだ」
亮「でかいのぉ」
亮たちが、孫たちの姿を見つける。
亮たち「おぉっ!!」
リンの孫「おばあちゃん!」
亮の孫「おじいちゃん!」
知の孫「見てて下さいよ、おじいちゃん。ミーたちの力を!」
知「あれがうちの孫なんじゃよぉ」
成長した孫たちの姿を喜ぶ亮たち。
かつての亮たちと同じように、地上に突如現れるゴーマに立ち向かう5人の戦士──。
その光景を眺める亮の脳裏に、道士嘉挧の言葉が蘇る。
(嘉挧『一つの力を二つに分け、お互いが争いながら永遠に生きてゆく。これ即ち人間の宿命なのだ。妖力が滅べば気力も滅び、気力が残れば妖力もまた残る。全ては虚しい戦いなのだ』)
亮「そうかぁ……すべては繰り返される……地球の平知を守るために、人は永久に戦い続けるんだ……」
道士の言葉を噛み締める亮。
大五の孫「現れよ、天宝来来の玉!」
孫たちのもとに、どこからか天宝来来の玉が飛来する。
亮の孫「気!!」
大五の孫「力!!」
将児の孫「転!!」
知の孫「身!!」
リンの孫「了!!」
5人「オーラチェンジャー!!」
孫たちがダイレンジャーに転身する。新生ダイレンジャーの揃い踏みだ。
5人「天に輝く五つ星!」
亮たち「天に輝く……五つ星!」
5人「五星戦隊ダイレンジャー!」
紐男爵「おのれダイレンジャー、叩き潰してやる!」
紐男爵がダイレンジャーを振り払う。
リュウ「そうはいくか!」
5人「気伝招来!!」
気伝獣が50年ぶりに出現する。
リュウ「龍星王・武人変化!!」
龍星王が気伝武人へと変形。
リュウ「五星合体!!」
5人「大連王!!」
龍星王に他の4体の気伝獣が合体、大連王となる。
紐男爵「ほほほほ……さぁ来い、さぁ来い!!」
リュウ「行くぜぇ、みんな!!」
一同「おぉ!!」
大連王が紐男爵に挑む。
それを見守る亮たち。
将児「孫たち……頑張るのぉ」
リン「若い頃の私たちにそっくり……ねぇ亮」
亮「お?……おぉ、そうじゃそうじゃ」
リュウレンジャー 天火星・亮。
シシレンジャー 天幻星・大五。
テンマレンジャー 天重星・将児。
キリンレンジャー 天時星・知。
ホウオウレンジャー 天風星・リン。
5人に、かつての戦いの思い出が蘇る──。
大連王がパンチで紐男爵を吹き飛ばす。
リュウ「今がチャンスだ!!」
一同「おぉ!! 大王剣!!」
大連王が大王剣を抜く。
一同「大王剣・疾風怒涛!!」
紐男爵「おぉ、おぉ──っ!!」
必殺剣・大王剣が紐男爵を斬り裂く。
紐男爵が大爆発してしまう。
大連王が大王剣を鞘にしまう。
亮「おぉ……やりおったわい。いいぞいいぞ!!」
勝利を喜ぶ亮たち。
新生ダイレンジャーの初勝利。
そしてここに、また新たな戦いの幕が切って落とされたのだ──。
おわり