カードキャプターさくら 最終話
ケロ:「さくらー、まだ起きとんかーーーーーーー」
さくら:「これ、今夜じゅうに完成させなきゃ」
ケロ:「帰ってきてからずーっと裁縫しっぱなしやないかー、いったい何縫うとんのんやー」
時刻は深夜1時をさす
さくら:「ケロちゃん寝てていいよ」
もくもくと作業に取り組むさくら
ケロ:「なんや、大事な用なんやな」
作業を止める
さくら:「・・・・・うん」
ケロ:「わいに手伝えることはないんやな」
さくら:「自分で作りたいのぜんぶ」
ケロ:「わかった・・・わいは邪魔にならんように寝るわ、けどなんか用あったら絶対起こすんやで」
さくらの額に手を当てながら言う
ケロ:「わいが、できることやったらなんでもするさかいな」
さくら:「ありがと、ケロちゃん」
ケロの指を握る
場面は変わって、桃矢の部屋
雪兎:「・・・・・・さくらちゃん、まだ起きてるのかな」
桃矢:「あかりついてたから起きてんだろ」
雪兎:「勉強かな、それとも何か学校でいるもの作ってるのかな、手伝えるといいんだけど・・・・」
桃矢:「ちがう、作ってるんだよあれを」
雪兎:「あれ?桃矢、知ってるの?さくらちゃんが何作ってるのか」
桃矢:「ああ、そのあとそうなるかもな」
少しきにくわなそうに言う
雪兎:「台所借りていいかな?」
桃矢:「さくらにか?」
雪兎:「おなか、すいてるだろうし。何かあたたかいもの作ってくるよ」
桃矢:「おれも行く」
雪兎:「作ってくれるの?」
桃矢:「ついでだ」
雪兎:「ほんとうに照れ屋だね、とーや」
桃矢:「うるせー」
場面は変わってさくらの部屋
時刻は深夜1時20分をすぎる
ケロは小さな寝息を立てて、眠っている
すると、ドアをノックする音が聞こえた
さくら:「は・・・はい、え?え?こんな時間に?」
雪兎:「夜遅くにごめんね、さくらちゃん」
さくら:「雪兎さん・・?」
少しおどろく
雪兎は夜食を持って、入ってくる
さくらはおなかを鳴らす
雪兎:「ちょうどよかったみたいだね」
食事を済ます
さくら:「ごちそうさまでした、これ雪兎さんが・・・」
雪兎:「ぼくは手伝っただけ、桃矢だよ」
さくら:「お兄ちゃんが?」
雪兎:「桃矢、照れ屋だから運ぶのは僕にまかせて、部屋に帰っちゃったけどね」
桃矢クシャミをする
雪兎:「・・・作ってるのはこれ?」
途中の裁縫をみて言う
さくら:「はい」
雪兎:「誰かにあげるものかな?」
さくら:「はい・・・」
雪兎:「見つかったんだね、さくらちゃんのいちばん好きな人」
さくら:「・・・はい」
雪兎:「ぼくも知ってる人?」
さくら:「はい」
雪兎:「今度あらためて紹介してくれる?」
さくらは悲しげな表情をする
さくら:「・・・無理かもしれない」
雪兎:「どうして?」
さくら:「遠くへ・・・行っちゃうんです・・・」
雪兎:「でも・・・ずっと会えなくなるわけじゃないんだよね、遠くに離れちゃっててもまた会えるんだよね、おたがいが会いたいとおもっていれば」
さくら:「・・・だと・・・思います」
雪兎:「だったらだいじょうぶだよ」
雪兎:「・・・考えたんだ、ぼくのほんとうの姿である「月」がもし、魔力がつきて、「つき」もぼくもこの世から消えてしまうってことを」
雪兎:「ぼくがあらかじめ知っていたらどうしたんだろうって、きっと消えないですむ方法がないか探したと思うよ」
雪兎:「ぼくにできることなら、なんでもやったと思う、さくらちゃんや・・・桃矢に会えなくなるなんて絶対いやだから」
雪兎:「ぼくにできることなんてほとんどないけどね」
さくらは首を横に振る
さくら:「そんなことないです!」
雪兎:「はははは」
雪兎:「でもね、やっぱりがんばったと思うよぼくなりに」
雪兎:「大好きな人にもう会えないっていうのは、ほんとうにつらいことだから、そうならないように、一生懸命できるかぎりのことをしたと思う」
さくら:「雪兎さん」
雪兎:「だからね、さくらちゃんがその人に会いたくて、その人もさくらちゃんに会いたいと思ってくれればまた会えるよ」
雪兎:「二人がそう思ってる間はきっとだいじょうぶだよ」
さくら:「・・・・・ありがとうございます」
そして朝が訪れる
さくら:「できた・・・!」
ケロが目を覚ます
ケロ:「なんやなんや!?できたんか!?」
さくら:「・・・うん!」
すると携帯に電話がかかってきた
さくら:「はい木之本です、知世ちゃん」
知世:「今日、コーラス部の大会に寺田先生がが応援に来てくださって、うかがったんです!」
知世:「李君、今日、十時の飛行機で香港に帰ってしまわれるんですって!」
驚くさくら、時刻は9時をさそうとしていた
知世:「十時の飛行機だと、もう、家を出てしまわれますわ!」
さくら:「・・・やだよ・・・そんなの・・・・・・渡せないまま、わたしの気持ちが伝えないままなんて・・・やだ・・・!」
知世:「しっかりなさって!さくらちゃん!!まにあいますわ!さくらちゃんには無敵の呪文がありますもの!」
さくら:「・・・絶対、だいじょうぶだよ」
さくら:「ありがとう!知世ちゃん!!」
大急ぎで部屋をでるさくら
階段を大きな音を立てて降りる
桃矢:「・・・怪獣」
雪兎:「どうしたの?」
さくら:「あと五分しかないんです!空港行きのバス停に行かなきゃ!」
雪兎:「五分?ローラーブレードじゃ無理だよ!」
さくら:「でも!」
桃矢:「・・・ここまで予定どおりかよ、わーーーった、バイクの後ろに乗ってけ」
さくら:「お兄ちゃん!!」
バスの中にいる小狼
小狼:「・・・答え、きけなかったな、でも・・・」
バスの外から呼ぶ声が聞こえる
さくら:「小狼君!!」
小狼:「・・・さくら!?」
バスの窓を開ける
さくら:「わたし・・・!わかったよ自分の気持ち・・・!」
さくら:「・・・わたしのいちばんは小狼君だよ!」
手作りのくまのぬいぐるみを手渡す
小狼:「・・・ありがとう、このくま「さくら」って名前にしていいか?」
さくら:「小狼君にもらったくまも「小狼」って名前にしていい?」
小狼:「ああ」
バスが走り出す、それを追いかけるさくら
小狼:「かならず帰ってくるから!」
さくら:「いつ?」
小狼:「香港でやらなきゃならないことが終わったら!」
さくら:「いつになるの!?」
小狼:「時間がかかると思う、まっててくれるか?」
さくら:「・・・うん!」
バスは走り去ってしまう、それを見つめるさくら
さくら:「まってるよ、ずっと、だって、小狼君はわたしのいちばん好きな人だもん」
最後に手を振る
時は流れ、桜が咲く季節
さくら:「いってきまーす!ちこくちこくーーー!」
さくら:「また、お兄ちゃんに中学生になっても寝ぼうしてるって言われちゃうー!」
玄関を飛び出すさくら、途中の道で見覚えのあるぬいぐるみを見つける
さくら:「・・・小狼君・・・!?」
くまのぬいぐるみを抱える少年
小狼:「香港での手続きがやっと終わった、これからずっとこの友枝町にいられる」
さくら:「ほんとに・・・?」
小狼:「ああ」
さくら:「もう、手紙とか電話だけでがまんしなくていいの?」
小狼:「ああ」
涙のなかの笑顔
さくら:「これからは、ずっといっしょだよ!」
二人は抱き合う
おわり