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兄弟拳バイクロッサーの最終回


バイクロッサーの活躍により、悪の組織デスターは滅び去った。
そして……


キャッツワーク商会。
オーナーの竹田大吉と、娘のあけみが新発明品インスタントシャワーを披露。
子供たちが水着姿でシャワーを楽む姿を、バイクロッサーこと水野拳と銀次郎の兄弟が微笑ましく見守る。

拳「みんな良かったね」
銀次郎「あけみさんも早く水着になればいいのに。僕、一度見てみたかったんだ」
あけみ「こらっ!」

からかう銀次郎にあけみがシャワーを向けるが、銀次郎が素早くかわす。
ちょうど物陰から1人の男が現れ、シャワーの水がかかってしまう。

あけみ「あっ、ごめんなさい! すみません!」

男にかかった水をあけみが拭き取ろうとするが、男は構わずに立ち去ってしまう。
懐から、何かが地面に落ちる。

あけみ「変な人……」
銀次郎「何だろう?」

地面に落ちた物を拾い上げる銀次郎。
拳と銀次郎の写った写真である。

あけみ「あなたたちの写真じゃない!?」
拳「銀次郎、どうしたんだよ?」
銀次郎「これ見てくれよ」

銀次郎が写真を拳に手渡すと、突然、写真からひとりでに炎が上がる。
慌てて拳が、燃え上がる写真を投げ捨てる。

あけみ「今の人、魔法使いかしら……?」


超能力を持つ水野兄弟は
不思議な男の出現で
不吉な予感に駆られた


拳と銀次郎が、男の行方を捜す。

銀次郎「兄さん。デスターのアジトは壊滅して、悪の組織は倒れたはずだ。それなのに不吉な予感がするのは、なぜだ?」
拳「わからない……とにかくさっきの男を捜そう」

突然、不気味な笑い声が響き渡る。
2人が身構えると、どこからともなく武器が飛んで来て地面に炸裂。
そして、デスターロボが現れる。

拳「何者だ! デスターか!?」
デスターロボ「フフ、今にわかる」

デスターロボが2人に襲い掛かる。
2人は生身のまま果敢に挑むが、如何せん変身しなければ到底勝ち目はない。

デスターロボ「バイクロッサー、お前たちは俺からすべての物を奪い去った! 見ていろ……俺はこれから、お前たちのの一番大切な物を、奪ってやるぅ〜!」

デスターロボが消え去る……。


無敵の必殺拳!!


キャッツワーク商会。

あけみ「お父さん、このインスタントシャワー、売れるんじゃない?」
大吉「そうかなぁ」
あけみ「マンションや団地の屋上に取り付けたら、子供たちに受けるわよ。絶対よ!」
大吉「あぁ、考えてみるかぁ! ははっ」

冒頭でも現れた謎の男が、店内を覗き込む。

大吉「ん? 何の用だね」

男が不気味な笑いを浮かべ、2人に詰め寄る。

大吉「な、何なんだね!?」
男「……ブライゾンガァ〜ッ!!」

男が手にしていた杖で、大吉を殴る。

あけみ「キャァ──っ!!」


拳「銀次郎、聞いたか!?」
銀次郎「うん、あけみさんの悲鳴だ!」
拳「あぁ、行こう!」


キャッツワークへ駆けつける拳、銀次郎。
大吉が気を失って倒れており、あけみの姿はない。

銀次郎「兄さん!」
拳「おじさん、しっかりして下さい! おじさん、おじさん!」
大吉「……はっ……あ、あけみが……あけみが!」
2人「えっ……!?」
銀次郎「あっ、兄さん!」

傍らに詰まれた段ボールに「女は預かった ブライゾンガー」と書かれている。

拳「ブライゾンガー……?」
銀次郎「何者だろう……?」
大吉「は、早く、警察に……」
拳「もしかしたら、さっきの奴が……?」


2人が周辺を探し回る。

銀次郎「兄さん、聞こえるかい? あけみさんの悲鳴」

拳が首を横に振り、唇を噛む。


拉致されたあけみの悲鳴は
ぱったりと途絶えた


銀次郎「あっちへ行ってみよう」
拳「うん」


あけみの行方を突き止めることができず、2人は一旦自宅に戻る。


兄弟は テレパシーを使って
あけみの行方を追った
しかし 反応はない


銀次郎「ブライゾンガー……一体、何者だろう」
拳「デスターは滅びたんだ。それなのに、新しいデスターロボが……?」
銀次郎「……」
拳「銀次郎、デスターのアジトの中を憶えているか?」
銀次郎「うん」
拳「あのとき、奇妙な像が飾ってあったよな」


回想──

バイクロッサーがデスターのアジトに突入。
悪神像ゴーラゾンガーが2人を迎え撃つ。

ゴーラゾンガー「バイクロッサー、ゴーラゾンガーが許さぬ!」

──回想が終わる。


拳「ブライゾンガーの姿と、デスターのアジトにあった像の姿、似てやしないか?」
銀次郎「うん……確かに似ている。だけどあの像は自分で、ゴーラゾンガーって言ってたぜ?」
拳「……ゴーラゾンガー……ゴーラの像!」


再び回想──

バイクロッサーがかつて戦った、悪神像ゴーラ。

ゴーラ「良く聞けバイクロッサー。お前たちはこの魔神ゴーラの魔力にかなうはずがないのだ!」

──回想が終わる。


拳「あの時のゴーラの像は、火の玉となり宇宙の果てに飛んで行ったんだ」
銀次郎「奴の名前はゴーラ……デスターのアジトにあったのはゴーラゾンガー……2つはきっと繋がりがあるんだな」
拳「銀次郎、もしかしたらゴーラゾンガーも宇宙から来た怪物かもしれないぞ」
銀次郎「宇宙から来た怪物か……あけみさんは大変な奴に捕まったんだな」


(キャアァ──ッッ!!)


銀次郎「兄さん!」
拳「あけみさんの悲鳴だ!」
銀次郎「とうとうキャッチしたぞ!」
拳「行くぞ!」

2人が自室のタンスの扉を開ける。
黄金色の光が満ちる。


水野兄弟はテレパシーを使って
異次元基地を通り抜けることができる
そして異次元空間の中で
バイクロッサーになるのだ


異次元空間を通じて2人がバイクロッサー・ケン、バイクロッサー・ギンとなり、母艦スターコアへ転送される。

ケン「行くぞ!」
ギン「おぅ!」
ケン「ケンローダー・テイクオフ!」

ケンの専用装甲車ケンローダーに2人が乗り込み、出撃する。


(助けてぇ──っ!!)


あけみの悲鳴をキャッチした付近の林を、2人が捜索する。
人里離れた林の中に立っている、1軒の小屋。

ケン「ギン!、あの建物が怪しい。行くぞ!」
ギン「うん!」
ケン「待て。ディメンション・アイ!」

ケンが小屋を透視すると、中ではあけみが捕らわれている。

ケン「あけみさんだ」

ケンが小屋へ向かおうとするが、突然、壁にぶつかったような衝撃を受ける。

ケン「うわぁっ!」
ギン「ケン! どうした、ケン!?」
ケン「ギン、この建物は目に見えないバリアーで囲まれている」
ギン「バリアーが……?」

建物から、あの謎の男が現れる。

男「フフフ……バイクロッサー! 如何にお前たちの力でも、俺のバリアーは破れまい!」

男が杖を振るうと、光輝くバリアーが姿を現す。

ギン「あれがバリアーを作る装置か」
男「俺はお前たちに数々の怨みがある。だからお前たちの弱点、泣き所のこの女をさらい、お前たちをここにおびき出したのだ。お前たちのこの女が助けられるかな?」

男が小屋に入る。

ケン「待て、何をするんだ!」

男が何やら装置を操作すると、あけみが繋がれている手錠に電流が走る。

あけみ「ああぁぁ──っっ!!」
ケン「あけみさん!」
男「早く助けなければ、この女は死ぬ! お前たちの大切な物がこの世から消える!」
ケン「あけみさん! ……クロスブレード!」
ギン「よし、スリングフラッシャー! ……駄目だ」
ケン「今度はケンクラッシャーだ!……駄目だ」

2人が次々に武器を試すが、どうしてもバリアーは破れない。

男「馬鹿め。そんなもので破れるバリアーではないわ!」
ギン「ケン、どうればいいんだ。早く助けないと、あけみさんの命が……」
ケン「ギン……ブレーザーカノン砲でバリアーを破ろう!」
ギン「よし!」「ブレーザーカノン砲、発射準備完了!」
ケン「OK!」
2人「シューティング!!」

必殺の波動砲ブレーザーカノンが炸裂。バリアーが跡形もなく砕け散る。

ケン「やったぞ、バリアーは破れた!!」

2人が小屋に突入するが、あけみの姿はない。

ケン「あけみさん!?」
ギン「どこへ行ったんだ……?」
ケン「あけみさん……」

あの謎の男が現れる。

ケン「あけみさんをどこへやったんだ!?」
男「お前たちに渡してたまるか! 俺は宇宙を支配するゴーラゾンガーだ!」
ケン「すると、デスターにあったあの像が……」
男「この俺よ! ある時はゴーラゾンガーの像となり、またある時は宇宙最強の戦闘ロボ、ブライゾンガーとなるのだ!」

男が杖を振るうと、その姿があのデスターロボ──ブライゾンガーの姿へと変わる。

ゾンガー「ブライゾンガァ〜! 俺は、これまでに海蛇座第3銀河星団をはじめとする、すべての惑星を滅ぼしてきた! 俺は惑星キラーだ!」
ギン「お前の狙いは地球の滅亡にあったのか!」
ゾンガー「フン! 俺は緑の星が、平和が、人間の楽しそうな笑い声がみんな気に入らねぇ。俺が欲する物は暗黒の世界と、悲しみの涙よ」
ケン「なんという奴だ!」
ゾンガー「バイクロッサー、お前たちは俺の罠に見事にはまった」
ギン「何!?」
ゾンガー「お前たちはバリアーを破るために、必殺の武器ブレーザーカノン砲を発射させちまった。太陽光線をエネルギーとするブレーザーカノン砲は、補給までに時間がかなりかかり、連射できん」
ギン「ケン……」
ゾンガー「ブレーザーカノン砲のないバイクロッサーなど、赤子の手を捻るに等しいわぁ!」
ケン「お前は許せん!」

バイクロッサーとブライゾンガーの戦いが始まる。
しかし、最強最後の敵・ブライゾンガーの圧倒的な強さの前に、バイクロッサーはどんどん劣勢へ追い詰められる。

ギン「ケン!」
ゾンガー「ビーム砲発射!」
2人「うわぁ──っ!!」
ゾンガー「どうだ、参ったか!」


あまりのダメージで変身が解け、なんとか林の中へ退却する2人。


宇宙から飛来したブライゾンガーという強敵の出現
ブレーザーカノン砲使用不能という大きな衝撃
水野兄弟は最大の危機に直面した


突然、周囲が暗くなる。
天から声が響く。2人にバイクロッサーの超能力を授けた銀河の守護神ペガサスだ。

ペガサス「兄弟戦士よ、立て! 勇気を持って立ち上がれ!」
拳「あの声は……!」
銀次郎「僕たちが超能力を与えられた、スターコアの中で聞いた声だ」
ペガサス「ゴーラゾンガー、またの名をブライゾンガー。奴こそ大宇宙の悪、侵略者、破壊者、殺戮者! お前たちはその悪を倒すために選ばれた兄弟戦士バイクロッサー。お前たちに最後の力を与えよう!」

天から光が降り注ぎ、2人が再びバイクロッサーの姿となる。
そして、ギンの専用バイク・ギンクロンにも光が浴びせられる。


一方、荒野で勝ち誇っているブライゾンガー。

ゾンガー「フハハハ! 今、この緑の星が滅ぶ! ミサイル基地、オイル貯蔵庫、武器弾薬庫をこのビーム砲でぶっ叩けば、この星は紅蓮の炎を上げ燃え盛る。俺はそれを見るため、はるばるこの地球にやって来たのよ。惑星キラー・ブライゾンガーの力を土産に!!」

周囲にビームを放って暴れ回るブライゾンガー。
そのとき、爆煙の中からバイクロッサーの2人が現れる。

ゾンガー「おのれ、生きておったのか!」
ケン「バイクロッサー・ケン!」
ギン「バイクロッサー・ギン!」
2人「兄弟拳バイクロッサー!!」
ゾンガー「馬鹿め、殺されに来おって!」

再びバイクロッサーとブライゾンガーの戦いが始まる。

ギン「クロスボンバー!」

ケンとのコンビネーションで繰り出されたギンの攻撃を、ゾンガーが跳ね飛ばす。

ケン「ギン! クロスブレード!」

ゾンガーの攻撃の前に、ケンのクロスブレードが真っ二つに折れる。

ゾンガー「行くぞバイクロッサー!」
ギン「クロスシューター!」
ゾンガー「そんな物、痛くも痒くも何ともないわい!」
ギン「駄目だ、効かない……」

ゾンガーの猛攻でギンが吹き飛ばされる。

ケン「ギン、しっかりするんだ」
ゾンガー「今度はこれだぁ!」

圧倒的なゾンガーの強さの前に、2人はまたもや劣勢に追い込まれる。

ゾンガー「ブレーザーカノン砲のないバイクロッサーなど、手も足も出まい!」
ケン「このままでは、やられてしまう……」
ゾンガー「ここをお前らの墓場にしてやる!」
ケン「バスタークロス・フルパワー!」「ケンクラッシャー!」

起死回生の連続攻撃がゾンガーに炸裂。

ケン「今だ! ギン、新しいブレーザーカノン砲で戦うんだ!」
ギン「おぅ!」

ギンがギンクロンに乗り込み、宙に舞う。

ゾンガー「笑わせんなぁ!」
ケン「よし、行くぞ!」

ケンがギンクロンを肩に担ぐ。

ゾンガー「無駄なことだ!」
ギン「ブレーザーカノン砲、発射準備完了!」
ゾンガー「さぁ来い!」
ケン「OK!」
2人「シューティング!!」

新たな力を得たブレーザーカノン砲が炸裂。
強力なビームがブライゾンガーの胴を貫く。

ゾンガー「ま……まさかぁ!? さすが……バイクロッサー……さらば……!!」


大爆発──


戦いを終えたバイクロッサーの変身がひとりでに解け、拳と銀次郎の姿に戻る。


最後のエネルギーを使い果たした水野兄弟から
超能力が失われ
2人はもとの拳と銀次郎に戻った


拳「銀次郎……」
銀次郎「兄さん……!」


林の中で気を失って倒れているあけみを、拳と銀次郎が見つけ出す。

拳「あけみさん、しっかりするんだ! あけみさん!」

あけみが意識を取り戻す。
視界に飛び込む、拳と銀次郎の姿。

あけみ「拳さん!」
拳「もう心配いらないよ」
銀次郎「デスターはバイクロッサーが倒して、滅びたんだ」
あけみ「え……バイクロッサーが? バイクロッサーはどこ?」

拳、空を指差す。

あけみ「……空に消えたの?」

拳と銀次郎が頷く。
あけみが空を見つめる。

あけみ「さようなら……バイクロッサー……」


公園で子供たちがサッカーで遊んでいる。
拳と銀次郎のバイクがやって来る。

子供たち「拳さん、銀次郎さん!」
拳「おい、みんなおいでよ!」

拳のバイクの後ろからあけみが降り、拳と腕を組む。

子供たち「あ、あけみさんだ!」
あけみ「いいでしょう!」
銀次郎「ねぇ、みんな仲間に入れてよ!」
子供たち「うん、いいよ」
拳「やろう、やろう!」

拳、銀次郎、あけみが、子供たちとサッカーを始める。

「そぉれ!」「おい、こっち!」「パス、パス!」

青空の下、子供たちの楽しい声が響き渡る。
バイクロッサーの活躍で、平和が取り戻されたのだ。


兄弟拳バイクロッサーの姿は この世から消えた
だがバイクロッサーの面影は
人々の心の中にいつまでも焼き付いている

さようなら 兄弟拳バイクロッサー!!


おわり
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