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仮面ライダー剣の最終回


52体のアンデッドが封印され、バトルファイトは終わりを告げた。
最後の勝者は、相川始 = ジョーカー。
そして、バトルファイトの終結を合図とし、この世を滅ぼす怪物たち・ダークローチが次々に生み出され、人々を襲い続ける。


キングフォームとなったブレイドが、ダークローチの大群と戦いを繰り広げている。

ブレイド「戦え……俺と、戦えっ!!」

そこに虎太郎が駆けつける。

虎太郎「剣崎君……キングフォームに……!?」

どうにかダークローチを倒したブレイドに、虎太郎が駆け寄る。

虎太郎「剣崎君! そいつらを倒すより、ジョーカーを見つけて……」

ブレイドが変身を解き、剣崎の姿に戻る。
不意に力が抜け、その場にしゃがみ込み、苦しそうに喘ぐ。

虎太郎「始を封印する、覚悟がつかないのかい?」
剣崎「虎太郎……俺を殴ってくれ」
虎太郎「剣崎君……?」
剣崎「眠くてしょうがないんだ……今眠るわけにはいかない……!」

手を出せずにいる虎太郎。
剣崎は力を振り絞り、ふらふらと歩き出す。

虎太郎「キングフォームのせいだよ! こんなことしてたらまたおかしくなって、今度こそジョーカーになってしまうかも!」
剣崎「始との決着はつける……信じてくれ」


最 終 話


ジョーカーとの戦いで重傷を負い、病院に担ぎ込まれた睦月。
意識不明のまま集中治療室で手当てを受ける彼を、栞と望美が心配そうに見つめる。

栞「命には別状ないって……彼、頑張ってる……」
望美「睦月……バカ……」


ブルースペイダーで街中を走る剣崎。

剣崎「始、お前に世界を滅ぼさせたりはしない。お前だって、そんなことを望んでいない筈だ!」


夕暮れの海岸。
砂浜に突き立ったモノリスの脇に、始が立ち尽くしている。
不意に砂浜に倒れこむ。

始「うっ、うぅっ……あぁ──っ!」

苦痛の声と共に、またもや始が本来の姿であるジョーカーに変身する。

ジョーカー「剣崎……」

その変身に呼応するかのように、モノリスから次々にダークローチが産み出され、羽を開いて各地へ飛び去ってゆく。


夜の街。
剣崎の前にダークローチたちが立ちふさがる。

剣崎「変身っ!!」

『turn up』

変身したブレイドが、ブレイラウザーでダークローチを次々に切り捨ててゆく。
だが多勢に無勢か、無数のダークローチがブレイドに襲い掛かる。

『evolution king』

ブレイドがキングフォームに変身。反撃に転じる。
そのとき、視界に後姿の男性が写る。今まさにダークローチに襲われようとしているところだ。

ブレイド「人が!」

すかさずブレイドがダークローチを一掃。
そして襲われていた男性を見て驚く。何と、烏丸所長である。

ブレイド「あなたは!」
烏丸「剣崎……それがお前のキングフォームか」
ブレイド「所長、良かった無事で……いつチベットから?」
烏丸「遅くなって済まなかった。天王寺に……命を狙われてな」

生き残ったダークローチが、上空からブレイドに飛び掛る。
不意を突かれたのが災いしてか、ブレイドの手からラウザーがこぼれ落ちる。
さらに2体のダークローチが参戦、3体がかりでブレイドを押さえ込む。

そのとき、地面に落ちたキングラウザーを誰かの手が拾い上げ、ブレイドを襲うダークローチを斬り捨てる。

命を救われたブレイドが、変身を解いて剣崎の姿に戻り、そのまま地面に倒れこむ。
彼を救ったのは──

剣崎「橘……さん……? 本当に……橘さんなんですか……どうして……」
橘「危ないところだったが、ギリギリのところで烏丸所長に助けられた」

橘の無事を安心したか、剣崎が力なく微笑み、そのまま気を失う。

橘「剣崎!? おいっ!」
烏丸「剣崎! 剣崎、しっかりしろ!……いかん、キングフォームの影響が想像以上に進んでいる」


夜のビル街。
次々にダークローチが出現する。


虎太郎の家。
ダークローチの出現を報じるTVニュースを橘、栞、虎太郎、烏丸が見つめている。

TV「この非常に凶暴な怪生物は、列島全域で目撃されており──」


病院。
集中治療室の睦月を、望美が祈るように見守り続ける。

TV「──現在全国に非常事態宣言が発令されています──」


虎太郎の家。

TV「──無用な外出を避け、各自治体、警察の指示に従って行動して下さい。繰り返します──」

橘「もう剣崎1人の力で、どうにかなる数じゃない……」


TV画面の中、ニュースを伝えていた報道陣や警察官たちにダークローチが襲い掛かる。

「うわぁぁ──っ!?」


遥香と天音が隠れている部屋。
天音がTVのスイッチを切る。
ソファには、タオルを額に乗せて横たわっている剣崎……力を振り絞り、起き上がる。

遥香「だめよ、剣崎君!」
剣崎「大丈夫です……」


烏丸「あれほどの大群では、警察も軍隊も無力だ。もはや時間はない……阻止するには、やはりジョーカーを……」
橘「今なら間に合う」

テーブルの上に置かれていたブレイバックルを、橘が掴む。
しかし、部屋に飛び込んできた剣崎が、ブレイバックルを奪う。
橘が、バックルを手にした剣崎の手を掴み上げる。

橘「俺が奴を封印する。これは俺たちの責任だ!」
剣崎「俺は考えもなしに、ダークローチと戦っていたんじゃありません!」

橘の手を剣崎が振り解く。

剣崎「戦って……戦って……待っていたんです」
橘「待っていた? 何をだ……」
剣崎「もしも、俺が失敗したら……そのときは……お願いします」

部屋を去ろうとする剣崎。

烏丸「剣崎! 君は本当に……ジョーカーを封印するつもりなのか? それとも……」

その言葉に、剣崎は微笑みで答え、部屋を去る。

烏丸「剣崎!!」


どこかの小屋に佇んでいる始。

始「来い……もはや……時間がない……」


山林を走るブルースペイダー。


虎太郎の家。

橘「所長! 剣崎が何をしようとしているのか、教えて下さい」
烏丸「私が考えている通りなら、確かに人類は救われるだろう。だが……」


始が佇んでいる小屋。
扉を開き、剣崎が現れる。
そこは、いつか傷ついた始を剣崎が手当てしたときの山小屋である。

始「懐かしいな……」
剣崎「あぁ……この場所から、お前と俺は始まったのかもしれない」
始「だから……ここで終わるんだ」
剣崎「始……お前本当に、世界を……人類を滅ぼしたいのか?」
始「俺にはもうどうにもならない……俺はそうするように作られた。俺は……ジョーカーだ」

不意に苦痛の声を上げる始。
剣崎の眼前で、始の姿がジョーカーへと変わる。
そしてジョーカーを中心として緑色の凄まじい爆発が起き、山小屋が吹き飛ぶ。


街中。
人影ひとつない街を、ダークローチが我が物顔で暴れ回る。
人々は家の中に立てこもり、住宅街はゴーストタウンのように成り果てている。


山小屋跡。
剣崎と始が起き上がる。
互いを睨み、駆け出す。

『turn up』
『change』

ブレイド、カリスに変身した2人が激突する。
山林の中、激しい戦いが始まる。


街中。
機動隊がダークローチに応戦しているが、全く無力である。


病院。
睦月の目が開かれる。

望美「睦月……!」
睦月「望美……」


山林。
ブレイドとカリスの戦いが続く。
ブレイラウザーがカリスを吹き飛ばす。

『evolution』

カリスがワイルドカリスに強化変身、反撃に転じる。
劣勢に追い込まれたブレイドが、ラウザーから3枚のカードを引き抜く。

『kick』 『thunder』 『mach』

カリスもワイルドのカードを構える。

『lightning sonic』

ブレイドのライトニング・ソニックが炸裂。
カリスがなぜか、ワイルドのカードを使わず、カリスアローのみでブレイドのキックを弾き飛ばす。
ブレイドの変身が解け、剣崎の姿に戻る。

剣崎「本気で戦うつもりはないのか、始!」
カリス「何だと」
剣崎「なぜワイルドのカードを使わなかった!?」

カリスがハートの2のカードを取り出す。

『spirit』

カリスが始の姿となる。

始「気づいていたのか」
剣崎「あぁ……お前は俺に、わざと封印されるつもりだったんだな」
始「それ以外に方法があるか……俺の体は、もう俺の意思ではどうにもならない……攻撃を受けるごとに俺は、1匹の獣に戻り、戦いのことしか考えられなくなる。そんな俺を倒せるのは……お前だけだ」
剣崎「始……アンデッドは全て封印した……お前が最後だ……ジョーカー!!」
始「俺とお前は……! 戦うことでしか解り合えない!!」

始がジョーカーの姿となる。
そしてジョーカーの影の中から、ダークローチたちが出現する。

剣崎「変身っ!!」

『turn up』

剣崎がブレイドに変身。ブレイラウザーでダークローチたちを一掃する。
そしてブレイドが、ジョーカーに対峙する。

ブレイド「始、それでいい……本気で来い! ジョーカーの力を全て、俺にぶつけろ!!」


虎太郎の家。

橘「剣崎がアンデッドになる!?」
烏丸「剣崎は自分から、ジョーカー……アンデッドになるつもりだ」
虎太郎「だから、わざわざキングフォームでダークローチと戦ってたのか……アンデッドと融合するために」
栞「せっかく自分の意思で、アンデッドになることを阻止してきたのに……その逆を!?」


山林。
ブレイドとジョーカーの激闘が続く。
ジョーカーの一撃がブレイドを吹き飛ばす。
ブレイドがスペードのKのカードを引き抜く。

『evolution king』

13枚のラウズカードが出現。
ブレイドの周りを取り囲んだ13枚が、彼の体の各所に次々に融合、キングフォームが完成する。
そしてその右手に、重醒剣キングラウザーが輝く。


虎太郎の家。

烏丸「もし彼がアンデッドになれば、この世に2体のアンデッドが存在することになる。ジョーカーはバトルファイトの勝利者ではなくなり、世界の滅びが始まることはない」
橘「剣崎が……人間でなくなる……」

橘が立ち上がり、部屋を飛び出す。

栞「神様……」
烏丸「神などいない」
栞「……?」
烏丸「このバトルファイトは、もとはと言えば地球にすむ生物たちが望んだものだ。己が進化だけを望む闘争本能、それら全てが融合して、バトルファイトというシステムを生み出したのではないだろうか……」


橘が剣崎のもとへバイクを飛ばす。
その眼前に広がるダークローチの大群。
橘はなんとか切り抜けようとするが、バイクから振り落とされ、たちまち囲まれてしまう。


病院。
睦月が傷ついた体を引きずりつつ、病室を抜け出す。
望美が慌てて追う。

望美「睦月! 睦月!」
睦月「来るなぁ!」

そんな睦月に、ダークローチたちが襲い掛かる。

望美「睦月!?」

そして望美にも、ダークローチたちが襲い掛かる。

望美「キャアッ!」
睦月「望美!?」


虎太郎の家。

烏丸「人間はアンデッドたちと戦い、封印するしかない。私もそう思う。だが剣崎は、別の道を選ぼうとしている」

「キャアアァァ──ッ!!」

悲鳴と共に遥香と天音が階段を駆け下りてくる。
2人を追ってくるダークローチ。
そして一同がいた部屋も窓をも突き破り、ダークローチたちが襲ってくる。

虎太郎「とうとうここまで!?」

烏丸と虎太郎が女性陣を必死にかばう。


山林。
ブレイドとジョーカーの激闘が続く。
キングラウザーがジョーカーの体を斬り裂き、緑色の血が飛び散る。

ジョーカー「グワァァ──ッ!」
ブレイド「行くぞ! ジョーカー!!」

ブレイドの全身のアンデッドの紋章から、キングラウザーへとエネルギーが流れ込む。

『royal streat flash』

ブレイドの眼前に5枚のラウズカードが浮かび上がる。
そしてそのエネルギーを突き抜けつつ、ブレイドが突進。
5重のカードの力を持つキングフォーム最強技、ロイヤルストレートフラッシュが炸裂。
凄まじい爆発音と共に、ブレイドとジョーカーが相打ちとなり、2人とも吹き飛ばされる。

必死に立ち上がる2人。
いつしか武器を失った2人は、素拳で殴り合いを続ける。
そして互いの拳が同時に相手の胴体を捉えた、そのとき──

ブレイド「ううっ! う……うぅ……?」

苦痛の声と共に、ブレイドの全身各部のアンデッドの紋章が、妖しい光を放ちつつ、生きているかのように脈動し始める。

ブレイド「うぅっ……俺は……」


海岸。
砂浜に突き立ったモノリスからダークローチが産み出され……そして、黒い粒子と化して消滅する。


橘を襲っていたダークローチも、消滅してしまう。

橘「何……!?」


病院。
睦月と望美を襲っていたダークローチたちもまた、消滅する。


虎太郎の家。
一同を襲っていたダークローチまでもが、1体残らず消滅してしまう。
慌てて栞がアンデッドサーチャーを操作する。

栞「あれだけあった反応が消えてる……1体もいない!」
烏丸「剣崎……剣崎……」

烏丸が力なく椅子に座り込む。
その様子を見た栞が、アンデッドサーチャーを操作し直す。

栞「いいえ……ジョーカーの反応が、2体……!?」


山林。

ジョーカー「今だ剣崎……俺を封印しろ……!」

しかしブレイドは、自らのベルトに手をかけ、変身を解除して剣崎の姿に戻る。
そしてその手から、ゆっくりと血が滴る──緑色の血が。

ジョーカー「剣崎……!?」

剣崎がブレイバックルを外す。
その下から、緑色のハート型のバックル──ジョーカーと同じジョーカーラウザーが現れる。
剣崎の口にも、緑色の血が滲んでいる。

『spirit』

ジョーカーが始の姿となる。

始「剣崎……お前……お前は……!?」

自分の手に滲んだ緑色の血を見つめる。

始「アンデッドになってしまったと言うのか……最初から、そのつもりで……」

剣崎が静かに頷く。

轟音が轟く。
2人の間に割って入るように、空から出現したモノリスが大地に突き立つ。

始「統制者が言っている……アンデッドを2体確認、バトルファイトを……再開しろと」
剣崎「最後の1体になるまで、か……」

始が頷く。

剣崎が拳を握り締めると、その拳をモノリスに叩き付ける。
モノリスが粒子と化して四散、消滅する。

剣崎「俺は……戦わない!!」

その言葉を嘲笑うかのように、粒子と化したモノリスが再び形を成す。
そして、どこへともなく飛び去ってゆく。

始「剣崎……」

始が剣崎のもとへ駆け寄ろうとする。

剣崎「来るなっ!!」
始「剣崎!?」
剣崎「俺とお前は……アンデッドだ。俺たちがどちらかを封印しない限り、バトルファイトは決着せず、滅びの日も来ない……だから、俺たちは戦ってはいけない。近くにいては……いけない」
始「いくら離れたところで、統制者は俺たちに戦いを求める。本能に従い戦う。それが……アンデッドの運命だ」
剣崎「俺は運命と戦う。そして勝ってみせる……!」
始「それが……お前の答か……」
剣崎「お前は……人間たちの中で生き続けろ」
始「どこへ行く?」

剣崎が笑顔を浮かべつつ、後ずさりして行く。

剣崎「俺たちは2度と会うこともない……触れ合うこともない……それでいいんだ」
始「剣崎……」

剣崎がブルースペイダーで山林を走り去る。

始「剣崎ぃ──っ!!」


海を見下ろす丘に立ち尽くす始。
橘が駆けつける。

橘「始! 剣崎は……」

始が力なく、首を横にふる。
そこへ睦月も駆けつける。

睦月「剣崎さんをどこにやったんだ……答えろ!」

始の胸倉を掴もうとする睦月を、橘が制する。

橘「剣崎……」

無言のまま海を見つめ続ける3人。

橘「剣崎ぃぃ──っ!!」


烏丸所長の前に並べられた全てのラウズカード。
それらカードを烏丸は全てまとめ、アタッシュケースに入れ、鍵を掛ける。
アンデッドの封印は完了したのだ。


虎太郎の家。
栞と虎太郎が、沈んだ面持ちで無人のソファを見つめる。

橘 (剣崎がどこに行ったのか、それはわからない……奴は人であることを捨てることにより、人を、世界を守った……だが、彼は今も戦い続けている……運命と……)


楽しかった頃の一同の様子の写真を見つめる橘。

橘「剣崎……」


高校の運動場。
学生生活に戻った睦月が、バスケの練習に励んでいる。

望美「睦月」

弁当箱を手にした望美の姿。

望美「ファイト!」

睦月が微笑で答える。


喫茶店ハカランダ。
庭先で、始が花壇の手入れをしている。

遥香「はい、お願いね」

賑わっている店内。
遥香の差し出した盆を、天音がテーブルに届ける。

天音「お待たせ致しましたぁ」
客「天音ちゃん、いつも可愛いね」「お母さんに似てきたんじゃない? ね」「あぁ、そっくりだ」

嬉しそうに天音が遥香の方を見る。
遥香が笑みを返し、天音はピースサインを返す。

天音「いらっしゃいませ!!」


庭先の始に、遥香が声を掛ける。

遥香「始さん! お願いがあるんだけど、お買物を頼まれてくれない? これ」
始「はい!」


並木道を、始が花束を手に歩いている。
ふと、気配を感じる。

ベンチに座っている剣崎の姿。

始「剣崎……!?」
剣崎「始!」
始「剣崎!」

剣崎の方に駆け寄る始。
しかし、剣崎の姿は消えてしまう。
幻だったようだ。

呆然と無人のベンチを見つめる始の胸中に、剣崎の言葉がよみがえる。

「お前は人間たちの中で生き続けろ」

剣崎の言葉を噛み締め、始は微笑を浮かべてまた並木道を歩き始める。


どこかの砂丘。

バイクの1本のわだちが、どこまでも続いている。


剣崎は今もどこかで、新たな運命と戦い続けている──


(終)
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