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仮面ライダーBLACK RXの最終回


ナレーション「RXは、クライシス帝国最高司令官・ジャーク将軍を倒した。今、謎に満ちた怪魔界の秘密、クライシス皇帝の正体が明らかにされようとしていた。」


輝ける明日!


クライシス要塞。

マリバロン「ジャーク将軍も死んだ……」
ダスマダー「愚か者! ジャーク如きの死を悲しんでいる時ではない! 怪魔界は今滅びようとしているのだ。1年後、いや、半年後間違いなく怪魔界は崩壊し、宇宙の彼方に消え去るであろう。マリバロン、事を急がねばならんぞ!」
マリバロン「我ら2人ではどうすることもできぬわ。この上はクライシス皇帝にお出ましを願い、RXを打ち倒してもらわねばならぬ」
ダスマダー「マリバロン。地獄谷にある我らが地下要塞に、RXを招待しろ」
マリバロン「招待!?」


地球、戦場跡。
ジョーや五郎が人々に食事を振舞っている。

ジョー「さ、できたぞ! 皆、しっかり食って元気出してくれよ」
五郎「皆、元気出して〜はい!」
響子「ひとみちゃん、元気だそ」
玲子「しげる君も……ほら、元気出して」
五郎「ジョーさん、会議がだいぶ長引いてるみたいですね……」
ジョー「あぁ。兄貴達は、怪魔界に乗り込んでクライシスを倒す作戦を練ってるんだ。」

光太郎は10人ライダーたちと打合せをしている。

光太郎「クライシス皇帝はまだ、一度も俺たちの前には姿を見せてないんだ。だがこれは俺の直感だが、奴は必ず姿を見せる筈だ。俺はそのときが勝負だと思ってる」

玲子「光太郎さん!」

クライシスの兵士チャップが出現。
人々が逃げ惑う。

「早く逃げて!」「みんな逃げろ!」
光太郎「クライシス!」

立ち向かう光太郎。
そこにマリバロンが出現する。

光太郎「マリバロン……!」
マリバロン「南光太郎……私は今日、クライシス皇帝の特使として来た。」
光太郎「クライシス皇帝が俺に何の用だ!」
マリバロン「クライシス皇帝はお前と1対1の会談を望んでおられる。会談は我らの地下要塞で行なう。受ける気があるならついて来い!」

驚く一同。

光太郎「……マリバロン! クライシス皇帝の会談に落ち合おう。案内してもらおう」
ジョー「兄貴!?」
玲子「光太郎さん!?」
しげる「兄ちゃん、やめろよ! 行ったら殺されちゃうよ!」
光太郎「しげる君、ひとみちゃん、心配するな。卑しくもクライシス帝国の皇帝だ。卑怯な真似はしないさ。それにな、俺は皇帝がどんな人物か会ってみたい。どんな顔をしているのか、この目で見てみたい。先輩、皆を頼みます」
1号ライダー、頷く。
光太郎「マリバロン、行くぞ!」
ジョー「兄貴ぃっ!」

光太郎を追おうとするジョーを、1号が制する。

ジョー「生きるも死ぬも兄貴と一緒だぁ!」
1号「待て、ジョー。アマゾン!」
アマゾン「キキーッ!」


クライシス地下要塞。

マリバロン「クライシス皇帝陛下……命令によりマリバロン、南光太郎を連れて参りました」
光太郎「クライシス皇帝。南光太郎、招待を受けてやって来た! 話を聞こう!」

密かに後をつける10人ライダー、ジョー、玲子、響子。
アマゾンの野性的感覚で追跡してきたのだ。

壇上の玉座にいるのは、不気味な顔面を象った岩石のような生命体──クライシス皇帝。

皇帝「南光太郎にして仮面ライダーBLACK RX……余は怪魔界の支配者にしてクライシス帝国の皇帝である。余は、そちを地球上に並ぶ者のいない勇者と認め、ここにクライシス帝国最高位の『サー』の称号を贈る」
光太郎「おっと待った。お褒めに預かって光栄だが、俺はあんたからどんな位も貰う気はないね。そんなことより会談を始めようぜ!」
皇帝「世はそちの力と能力を、誰によりも評価しておるぞ。世はそちに、地球の支配を任せても良いと思っておる。」
光太郎「俺が地球の支配者に!?」
皇帝「そうだ。クライシス帝国最高司令官として、地球を支配し君臨するのだ!」
マリバロン「お待ち下さい皇帝陛下! 我らの宿敵である光太郎に最高司令官の地位を与えるなど……皇帝陛下のお言葉とも思えません!」
皇帝「黙れマリバロン! 世の言葉に逆らうか!」
マリバロン「たとえ皇帝陛下のお言葉でも、それだけは従えません! この上は……私のこの手で!」」

光太郎に襲い掛かるマリバロン。
応戦する光太郎。
戦いの最中、弾みでマリバロンの仮面が外れ、顔の傷があらわになる。

マリバロン「光太郎! 私の顔の傷にかけても、お前を許してなるものか!」

なおも光太郎を殺そうとするマリバロン。
そのとき、皇帝の放った光線がマリバロンを捕らえる。

皇帝「愚か者! そちの役目は終わった!」
マリバロン「あぁっ!! 皇帝陛下……! 光太郎ぉ──っ!!」

マリバロン、絶叫と共に消滅。

光太郎「マリバロン……」

皇帝「光太郎、返答やいかに」
光太郎「クライシス皇帝! 俺が望む地球は、ありとあらゆる生物と自然が調和し、共に生きてゆく地球だ。地球に支配者など必要ない! 必要なのは……地球を愛する心だけだ!」
皇帝「光太郎、もう一度尋ねる。地球の支配者になり、地球に君臨する気はないか?」
光太郎「ない! 馬鹿げた話だ!」
皇帝「ならばそちは名もなき1人の若者として、この世を去ることになろう」

皇帝の放った光線が人型を成し、ダスマダーとなる。

光太郎「ダスマダー!」
ダスマダー「南光太郎、会談は決裂した! クライシス皇帝に命により、ここを貴様の墓場とする!」

剣を抜くダスマダー。兵士チャップたちが出現。
そのとき、矢が飛んできてチャップの1人に命中。
響子のアーチェリーの矢だ。追ってきた10人ライダーたちも駆けつける。

ジョー「兄貴!」
玲子「光太郎さん!」
光太郎「皆、来てくれたのか!」
ダスマダー「霞のジョー! 10人ライダー! お前達がつけて来るのは承知の上だ。まとめて地獄に送り届けてくれる!」

兵士チャップが襲い掛かる。応戦する10人ライダー。

ダスマダー「光太郎! 仲間と共に、地獄に送り届けてやる!」

突如、クライシス要塞が地下要塞内に突入。
地下要塞が崩壊し始め、光太郎たちの頭上に岩が崩れ落ちる。


クライシス要塞内。

チャックラム「クライシス万歳! クライシス万歳!」
ダスマダー「ハハハハッ、南光太郎を倒したぞ! これで地球は我らクライシスのものだ!」

そのとき。
チャックラム「ギャアァーッ!! クライシス……バン……ザイ……」

破壊されて床に落ちるチャックラム。驚いてダスマダーが振り向くと、そこには……

ダスマダー「貴様は……RX!」
RX「俺は太陽の子! 仮面ライダーBLACK RX!! ダスマダー、いや、クライシス皇帝! 地球の平和を守るため、俺は何度でも蘇る! お前との決着をつけるまで!」
ダスマダー「私もクライシス50億の民のため、死ぬわけにはいかぬ!」

ダスマダーが剣を抜き、RXと戦う。

RX「クライシス! お前たちの地球での数々の悪巧み、許すわけにはいかん!」
ダスマダー「それは薄汚いお前たち人間どもが、自分自身の手で行なってきたことだ!」
RX「何!?……それはどういうことだ!」
ダスマダー「RX、怪魔界の本当の姿を見ればわかる! 既にこの要塞は怪魔空間に突入し、怪魔界へ向け進んでいる!」

クライシス要塞の進む先に、青い惑星の姿が浮かび上がる。

RX「あの星は……?」
ダスマダー「あの星こそ我らが祖国……怪魔界だ!」
RX「あんな星は見たこともない……」
ダスマダー「そんなはずはない! RX、よぉく見てみろ!」

惑星上の陸地を見るRX。見覚えのあるその形は……

RX「あれは日本列島!? 馬鹿な! なぜ日本列島があるんだ!?」
ダスマダー「我らが祖国怪魔界は、地球の影だ!」
RX「なんだって!?」
ダスマダー「いや、影というより双子の星と言ってもいいだろう。我らが怪魔界は、長い間地球とバランスを保つことによって生き延びてきた。まさに、運命を共にしてきたと言ってもいいだろう。だが、ここにきてそのバランスが崩れた! 人間どもは奢り昂ぶり、地球の環境を破壊してきた。その皺寄せがすべて、怪魔界に押し寄せてきた。地球の汚染物質が、怪魔界を覆い尽くしてしまったのだ!」
RX「待て! 怪魔界が衰えたのは、クライシス皇帝の横暴な政策のためだ!」
ダスマダー「黙れ! 最大の理由は、愚かな人間どもの地球破壊があったらばこそだ! 怪魔界は猛スピードで崩壊に向かっている。RX! 我らが50億の民と共に、地球に移り住むのを人間どもは反対できるのか!」

再び戦いが始まる。

RX「リボルケイン!」

光剣リボルケインを抜いてダスマダーに応戦するRX。
しかし戦いの最中、要塞内の装置に捕らえられ、身動きができなくなってしまう。

ダスマダー「RX、地獄に落ちろぉ!」

ダスマダーがとどめを刺さんとしたとき、RXの体が液状に変化、装置の拘束から抜け出す。
バイオライダーに変身したのだ。
再びバイオライダーからRXに変身、激闘の末、遂にリボルケインがダスマダーの喉を貫く。

ダスマダー「RX! お前は怪魔界の……塵となる!」

ダスマダーの体が光と化し、人型の岩石状の生命体──クライシス皇帝へと姿を変える。
ダスマダーは皇帝の分身なのだ。

皇帝「RX……余は怪魔界の支配者にして、クライシス帝国の皇帝である。余を追い詰めたその執念、見事だと褒めてとらそう。うぬの五体、バラバラに引き裂いてくれよう」

破壊光線や触手で攻撃を繰り出す皇帝。
RXはロボライダーに変身して皇帝に挑む。

ロボライダー「ボルティックシューター!」

ボルティックシューターの銃撃が皇帝に命中。
再びRXに変身。

RX「RXキーック!」

RXキックが皇帝に炸裂。

RX「リボルケイン!」

RXの最強剣リボルケインが、皇帝を貫く。

皇帝「RX……余に勝ったと思うな! 人間どもが地球を汚せば、新たな怪魔界が生まれ、地球を襲うであろう……全ては、お前たち人間どもの罪だぁ……」


大爆発。


そして、怪魔界も──大爆発と共に、消滅した……。


RXが10人ライダーのもとへ凱旋する。

RX「先輩!」
1号「RX! 俺たちは世界の各地に散って、悪と戦おう!」
RX「お願いします!」

1号とRXが手を取り合う。他のライダーも手を重ねる。

一同「おうっ!」


海岸に建てられた佐原夫妻の墓。
しげる、ひとみが花を備えている。

しげる「パパ……」
ひとみ「ママ……」

2人を見守る光太郎、玲子、ジョー、五郎。

光太郎「しげるくん……ひとみちゃん……」

光太郎も手を合わせる。

光太郎「おじさん、おばさん。クライシスは滅びました。安らかに眠って下さい……」

皆も手を合わせ、夫妻の冥福を祈る。

光太郎「皆、聞いてくれ。クライシス皇帝は、人間が地球を汚せば新たな怪魔界が生まれると言った。地球を守るのは、君たち1人1人だということを忘れないでくれ。しげる君、ひとみちゃん、いいね」
しげる「うん」
ジョー「兄貴、俺はこれから、忘れた過去を探して旅をするつもりだ」
響子「私は……しげる君とひとみちゃんと住んで生きていきます」
玲子「私は……またカメラマンに戻るわ」
五郎「俺はねぇ、日本一のコックになって、みんなに美味しい物たくさん食べてもらうんだ!」

明るい五郎の言葉に、一同が笑い合う。

光太郎「みんな、お別れだな……」
玲子「光太郎さん!」
ジョー「兄貴!」
響子「光太郎さん……また会えるわよね」
しげる「きっとだぞ!」
ひとみ「お兄ちゃん」
光太郎「また会えるよ。また会えるさ! いつかまた……君たちと会うために、俺は俺を鍛える旅に出るよ! 皆、元気でな!」


バイクを駆り、光太郎は新たな旅に立って行った──。


ナレーション「地球支配を狙って悪の限りを尽くしたクライシス帝国は、RXの働きによって滅びた。だが、人間が地球を汚すと新たな怪魔界が生まれるのだ。RXはその言葉を胸に秘め、旅に出た。また会う日まで……みんな、さようなら!」


(終)
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