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ポケットモンスターSPECIALの第3章(終)


最終決戦XIV


あらすじ
ワカバタウンのポケモン屋敷で暮らすゴールドは、ウツギ研究所からワニノコを盗み出したシルバーを追って旅に出る。
反目しあいながらも、ロケット団残党を率いて暗躍する仮面の男<マスク・オブ・アイス>と戦いやがて共闘することになるふたり。
オーキド博士からポケモン図鑑完成の依頼を受けたクリスも合流し、ポケモンリーグ会場に向うが、そこに仮面の男とロケット団残党が現れる。
仮面の男はリーグ会場を破壊すると「時の支配」という目的を明し、ガンテツから「時をとらえるモンスターボール」の作り方を書いた書を奪いウメバの森に…
図鑑所有者たちはそれぞれ戦いながらウメバの森に集結、最後の決戦の火蓋が切って落とされる。


シルバー
「お前の野望、今こそついえる時だ!!
 これだけの戦力の前に
 もはや太刀打ちできまい!!」

皆がヤナギに向って一斉に攻撃を仕掛ける

クリス
「!?
 (ゴールドだけがいない!!
 仮面の男の正体はヤナギ老人…!!
 追っていったゴールドは…まさか!!
 ゴールド!どこにいるの!?)」


攻撃はウリムーが作り出した氷の盾に防がれヤナギまでとどかない

グリーン
「なにィ!?」

レッド
「氷の盾で受け止めた!!」

ヤナギ
「それだけではないぞ」

氷の盾が変化し人型になっていく

クリス
「氷の盾が周囲の水分を集めて6体の氷人形に!」

イエロー
「そんな!!」

ヤナギ
「いけ、氷人形レプリカたち!!」

氷人形はポケモンたちをなぎ倒し、トレーナーに襲い掛かる

グリーン
「くっ!」

イエロー
「わぁ!!」

氷人形に捕まり拘束される6人


ヤナギ
「フフ…力が!力がみなぎっている!
 自分でもなぜだかわからないがもしかすると…、
 ついに完成したこいつが!!
 私に新たな活力を与えているのかな!?」

クリス
「時間をとらえる …モンスターボール」


ヤナギ
「おおおお、夢にまで見た瞬間だ!!」

ほこらが開き、その中からポケモンが現れる

レッド
「あれは!!シバが言っていた…、
 ときわたりポケモンセレビィ!!

ヤナギ
「その通り!!」

ヤナギは時間をとらえるモンスターボールを使いセレビィを捕まえる

ブルー
「ああ…」

ヤナギ
「さあ、セレビィ連れて行ってくれ。
 私の失った過去を取り戻す時間の旅へ」

ヤナギの車椅子のタイヤが前を向きメーターのようなものが見える

レッド
「!?」

ヤナギ
「右側は時計、左側は温度計だ」

セレビィの体が光り輝いていく

グリーン
「時計が逆戻りを始めた!?」

ヤナギ
「左側の温度計はまもなく摂氏273.15度
 すべてのものが凍結される、絶対零度だ!!」

森全体が凍結され図鑑所有者たちは氷付けになる


クリス
「ゴールド!どこなのっ?」

ヤナギ
「ゴールドか…。
 フフフフ、彼はよくやったよ。
 この私の仮面をはぎ「時のはざま」に
 入ろうとする私を引き落とそうと突っ込んできた…
 強力な”電撃”でいまだに目が見えないほどだ!」

クリス
「じゃあゴールドは…、!?」

エンテイがシルバーとクリスを拘束している氷人形を溶かす

クリス
「シルバー!」

シルバー
「図鑑を見てみろ!!」

クリス
「図鑑?」

シルバー
「「共鳴ランプ」は点滅しているが「共鳴音」はしない!
 図鑑もゴールドがこの場にいるのかいないのか認識しかねている」

クリス
「じゃあ逆に「この場にいるかもしれない」ってこと?」

シルバー
「ああ!!」

ヤナギ
「その声はシルバーか?さすが我が弟子、いい推理だ。
 あんまりしつこいので「時間のはざま」の中でちょっと細工をしてやった
 かつてライコウ、スイクン、エンテイにしてやったのと…、同じ細工をな…。
 「時間のはざま」の中で私の氷壁にはさまれると、フフフどうなるか…」

ヤナギは「時間のはざま」を指差す
その中には、氷壁に閉じ込められ平面になったゴールドが…

クリス
「ゴールド!!」

ヤナギ
「さらばだ諸君!」

時間のはざまの中にヤナギは入り込む



ゴールド
「くううう!!あんにゃろぉぉ!!」

クリス
「ゴールド!!いったい何が…!!」

ゴールド
「おう、クリスにシルバー!!それにその他大勢か!!
 ドちくしょうめ!「時間のはざま」の入り口までヤツを追いかけたまではよかったんだがよォ!!」

シルバー
「つかまれ!」

あわててシルバーはゴールドに手を伸ばす

ギュワ

シルバー
「!!」

が、ほこらに入った瞬間、腕がゆがんでしまう

シルバー
「ぐぐ…!!」

ゴールド
「気をつけろシルバー!!こん中はねじ曲がった異空間!
 なんの用意もなく入ったら、たちまちオダブツだぜ!!
 ヤツが…ヤナギがこの異空間の中で動けるのは守られているからだ!!
 あのボールの中には2枚の羽が仕込まれていて、ヤツはその影響下にいるからだ!!」

イエロー
「!!
 (…そうだ!!エンティ、ライコウ、スイクンが飛び立ったあの日…!!
 ボクは…あの場所を焼けた塔の地下だと思っていた!!
 でも、ちがったんだ…。
 あそこは「時のはざま」だったんだ!!
 そしてボクだけがあの空間に入ることができたその理由は…)」

ゴールド
「オレたちもあの2枚の羽を持ってりゃ……。
 ……あ?」

イエロー、ゴールド
「ああああ!!!」

イエローとゴールドは同時に麦わら帽子にささっている羽に気が付く

ゴールド
「オイオイオイ、おまえらなにボーッとしてやがる!
 オレが自由になる方法がそこにバッチリあるんじゃね〜か、コラ!!」

クリス
「ほ、方法って!?」

ゴールド
「目ん玉ひんむいてよく見ろ!!
 そこで凍ってる麦わらくん!
 帽子に刺さってんのは
 まさしく「ぎんいろの羽」と「にじいろの羽」だ!!」

クリス
「え〜、本当なんですか、イエローさん!?」

イエロー
「ハ、ハイ!…あれ?
 ん…く、はずれない…」

ゴールド
「取りゃいいだろ、帽子ごと!!」

イエロー
「で、でも…」

レッドの目を気にして躊躇するイエロー

ゴールド
「何がでも、だ!
 あーもーじれってえ!!
 だったらバクたろうに取らせるぞ!!」

イエロー
「わかりました!!
 自分で取ります!!」

麦わら帽子を取るとポニーテールがパサリとこぼれおちる
おどろくレッドとクリス

ゴールド
「わ!」

氷壁から開放され、ほこらから飛び出してきたゴールドをライコウが受け止める

ゴールド
「よっしゃああ助かったぜ麦わらくん…って
 なんだあ!?麦わらギャルかあ!?
 しかもなんかビミョ〜に気まずい空気…」

呆然とするレッド
気まずげなブルー
呆れた表情のグリーン

ゴールド
「ま、いっか。この帽子をとるっつーだけで、アンタにはアンタの戦いがあったんだな、麦わらくん!」

そう言うとゴールドは麦わら帽子から羽をはずす

ゴールド
「さて、この2枚の羽は持ってくぜ!
 これで「時間のはざま」に飛び込んでも、
 動けるはずだ、ヤナギのようにな」

シルバーとクリスがそれぞれエンティとスイクンに跨る

ゴールド
「おめえらも来んのかよ?
 な〜んて聞くだけ野暮だな。
 行くぜ!!時間を!
 時間を越えろおおおおお!!」

2枚の羽根を持ち、ゴールドはライコウと、クリスはスイクンと、シルバーはエンテイと「時間のはざま」に突入する


「時間のはざま」の中では自分たちの過去が映し出される

ゴールド
「これが…「時のはざま」!?
 過去の出来事が現れては消えて行く!」

シルバー
「!!
 見ろ!!」

氷河で1人の青年が2匹のラプラスと共にいる光景

クリス
「あれは…!!
 ヤナギ老人だわ!!
 若いけどわかる!!
 これはヤナギ老人の…過去!!」

氷の裂け目に2匹のラプラスが飲み込まれていく

ヤナギ
「ラ・プリスゥゥ!!ラ・プルスゥゥ!!
 う…ううう」

その時、ヤナギが抱えていたタマゴがひび割れラプラスが生まれる
涙を流しながら生まれたラプラスを抱きしめる

ヤナギ
「おおお。す、すまない
 私がトレーナーとしての判断をミスしたばかりに…。
 許してくれ。私を許してくれ」



後ろから現代のヤナギが現れる

ヤナギ
「見たな」

ゴールド
「ヤナギ!!てめえが取り戻したい過去っつーのはまさか…」

ヤナギ
「紹介しよう私のラプラス、名前はヒョウガ!!
 このヒョウガのために私は過去に戻る!
 あの時に失った2匹ラ・プリスとラ・プルスを救うのだ!!」

クリス
「それだけのために!たったそれだけのために!
 今までの全部が計画されたっていうの!?」

ヤナギ
「たった…それだけのこと?
 おまえたちにとってはそれだけのことであっても!!
 私にとっては生きていくすべてだったよ!!」

氷人形の手でゴールドが持つ羽根を叩き落とす

ゴールド
「あ!!」

シルバー
「う…!」

クリス
「あっ、あ…あ…!!」

ヤナギ
「…そしておまえたちにはひとつウソをついてしまったな。
 私にとってポケモンとは「道具」であると言ったが、
 あれは正確じゃあなかったなあ。
 正しくは愛すべき存在!!愛して愛して愛しぬく!!
 「道具」とはその愛を貫くために利用するその他一切のもの!!
 そのまま時間のうねりに押し潰されるがいい!!
 ほこらの前の連中も、もうおしまいだ!!
 さあ、セレビィ急ぐのだ!!  早くこの私をあの時へ!  あの時間へ!!!」


ほこらの外ではレッドたちが氷人形の拘束に苦しんでいた

レッド
「イエローおまえの髪…」

イエロー
「レ、レッドさんこれは…」

ブルー
「その話はあとにして!!」

リザードンがグリーンを拘束している氷人形を溶かそうとするが一向に溶けない

グリーン
「森全体が凍結する!
 溶かしてもすぐ復活してくる!!
 まさに永久氷壁!!」

イエロー
「でも、どうして?リザードンやそっちの炎ポケモンの火炎では
 氷人形はすぐ復活するのに、クリスさんたちの氷人形は…」

グリーン
「復活する気配…なし溶けたままだ
 伝説のエンテイ!その炎だけは特別なんだ!!
 エンテイの炎だけはヤナギの作り出す氷を完全に溶かしきることができる!!」

イエロー
「じゃあそこにわずかに残ってるエンテイの火種、それを森全体に広げられれば!!」

ブルー
「動けないのにどうやって!?できるわけが…」

レッド
「いや!方法はある!!カメックス!!
 ブルーから借りていたカメックス、水泡の水が尽きた時に補給したんだ!!
 シロガネ山の秘湯の源泉を!!」

ブルー
「レッド正気!?」

グリーン
「炎を広げるために水流だと!?」

ドン!

指示に従いカメックスが水泡を放つと火が広がり4人の拘束が解ける

ブルー
「!?」

グリーン
「どういうことだ!?」

レッド
「ハァ、ハァ…シロガネ山の秘湯の別名は炎温泉。
 常に発火性の高いガスをまとい触れた炎の威力を増大させるんだ!
 さあ!ほこらに入っていった3人に加勢だ!!」



「時間のはざま」の中で苦しむ3人
ワカバタウンでゴールドとシルバーが出会ったときのことが浮かび上がる
リュック泥棒だと思い込んでいたあの時

ゴールド
「ハァ…ハァ…見ろよ…ワカバでの俺たちだぜ。
 思えばあん時リュック泥棒をおめーだと思いこんで
 …それがすべての始まりだったんだよな。
 …へへへ 言うの忘れてたけどよ、悪かったぜ。
 ありゃあオレの勘違いだった。ゴメンよ」

それまで、「よくあることだ、気にすんな」で済ませてきたゴールドの初めての謝罪

ゴールド
「今、言っとかねーとな…くっ
 なんせもう二度と、お天道さんを…
 おがめね…えかもし…れ…ね…え」

シルバー
「なぜ…ここまで…
 おまえがここまでして戦う必要がどこにある?
 オレのため…か?」

ゴールド
「バカ言うない、誰がおめーなんかのために。
 …ずっと考えてたぜ、「何のために戦うのか」って…な。
 誰のためとか何かのためとか、オレにはやっぱし恥ずかしくて言えねえ。
 オレの戦いは自分のため…オレ自身の戦いだぜ…!!
 まあ、ただオレのために起した自分勝手な行動でも…
 最後に誰かの役に立つ…つーなら悪かねえな」

ゴールドは必死に手を伸ばして羽をつかみ、シルバーとクリスに手渡す

ゴールド
「シルバー、クリスおめえらと出会ってから、いろんなとこ行って、
 いろんなヤツら見て、いっぱい戦って、おもしろかったぜ。
 すっげーおもしろかったぜ!
 ありがとな!!」

そういうと、ライコウの背中を蹴ってヤナギの元へ向う

クリス
「ゴールド!!」

シルバー
「ゴールドオォォォ!!」


ゴールド
「ヤナギィ!! そのセレビィポケモンをはなしやがれ!!
 てめえみてえな悪党にいいように使われちゃあかわいそうだぜ!!」

ヤナギ
「なんとでも言え!!おまえなどにわかってたまるか!!ヒョウガのタマゴを孵した時の私の気持ちが!」
 ラ・プリスとラ・プルスを失いたった1匹生まれてきたヒョウガをこの手に抱いた時の気持ちが…!! 」

ゴールド
「わかるぜ!なぜって…」

ヤナギ
「!?」

リュックからピカ(ピカチュウ♂)とチュチュ(ピカチュウ♀)のタマゴから生まれたポケモンが飛び出す

ゴールド
「オーキドのジジイも言ってたからな。
 オレも“孵す者”だ!!」

そのとおりじゃ、ゴールドおまえのトレーナーとしての能力…、

それはポケモン孵化じゃ!!

おまえ自身は気づいていなかったかも知れん…じゃが、

おまえが手にし孵してきたタマゴからは、潜在能力を最大限に引き出せるポケモンが生まれてきた!

いや!!
能力だけではない!!

おまえの感情、意志さえも受け継いだポケモンの誕生!!

おそらくたくさんのポケモンとずっと家族のように暮らしてきた
おまえだから身についた…、おまえの能力!

おまえだけの能力じゃ!!



ゴールド
「くらえよ スーパーライジングサンダー!!!」

タマゴから生まれたポケモンが放つ電撃がヤナギに直撃する

ヤナギ
「ぐああ!!」

ゴールド
「イイぜ!!名前もまだねえオレのちっちゃな相棒よ!!
 ライコウから電気エネルギーたっぷりもらっただけあんな!!」

クリス
「ゴールドが戦っている!!」

シルバー
「あの場に追いつけないまでも」

シルバー、レッド
「オレたちの攻撃エネルギーを送ることはできる!!」

ゴールド
「てめえの氷の体にささったキューをめがけた
 この一撃で氷の盾ごとぶっとびやがれええ!!」

ヤナギ
「!!
 いつの間に!!」

ゴールド
「そのキューは電気エネルギーの落ちる先…
 避雷針だ!!盾なんか関係ねえぜ!!」

氷人形の左肩に刺さったキューに電撃が集まり、氷人形の左手が破壊される

ヤナギ
「!!」

ゴールド
「シルバー、クリス、先輩たちの援護射撃!!」

さらに、シルバーとクリス、ほこらの外のレッド、グリーン、ブルー、イエローからの援護射撃が氷の身体を完全に砕く

ヤナギ
「く!! たとえ何度砕かれようと…」


ゴールド
「復活するっつーんだろ!?
 だが狙いは氷の体じゃねえ!!」


パキッ

時間をとらえるモンスターボールに、ひびが入り…セレビィが飛び出す


ヤナギ
「そんな…!!」

ゴールド
「…てめえも生身の人間だ。
 そのボールの中の羽の力に守られてなきゃ、
 この「時のはざま」では…。
 そして…。
 オレも…な」

ヤナギ
「…ぐく…」


その時、光が生まれて、ヤナギの元からヒョウガが泳ぎだす

ヤナギ
「…お…こ、これは…。
 ラ・プリス、ラ・プルスと別れたあの時あの場所…
 …そしてヒョウガを抱いているのは…おおおおお」

そして、ヒョウガはラ・プリスとラ・プルスと別れた光景の中に入りこみ、2匹に抱かれる…


どこからか歌が聞こえる…
♪  もう一度そこから見つめてほしい ♪

あなたを取り戻せるその場所から

静かな静かなさざなみ

悲しみ疲れた心をいやすの ♪

ゴールド
(…う、……
 この……歌…)

♪ もう一度夢からはじめてほしい

   「勇気」を呼び戻せる
         その夢から ♪

ヤナギ
「こ、この歌は…!!」

♪ 忘れかけていた情熱が
           笑顔となって心溶かすの♪

ヒデノリ
「マ、マジか!?ばーさん!!
 今回の事件の黒幕、リーグ会場を襲った張本人が
 じーさんばーさんの若かった頃の知り合いだってのは!!」

じーさん
「おそらくな…。
 ここへ来る途中、空へ消える影を見た時、もしやと思った。
 そしてゴールドがその名を呼んだ時…確信に変わったよ」

懐から1枚の写真を取り出す

じーさん
「この写真をごらん。
 若かった…あのころは何もかも輝いていたわい…。
 キクコ、ユキナリ、真ン中がわしね。一番左がガンテツ」

ヒデノリ
「じゃあ左から2番目の美人って…まさか……」

ばーさん
「わしじゃ!!文句あんのか!?」

じーさん
「仲良し6人組だったのよ」

ヒデノリ
「6人?5人しか写ってないぞ」

じーさん
「写真立てから出して、よく見てみ」

折られて隠れてしまった右端に、もう1人がいる

じーさん
「ヤナギじゃよ。
 研究者、ボール職人、育て屋、ジムリーダー
 まだ進む道もわかってなかったころじゃ
 ただ気ままに集まって騒ぐ。
 それが楽しくてな。
 しかし…その楽しい時間を終わらせる出来事が起こった。
 ヤナギが氷原でかわいがっていた2匹のラプラスを失ったんじゃ。
 自分のせいだと自らを責めたて、人づきあいも断つようになってしまった
 ヤナギを、わしらはなんとかはげまそうとした。
 で、歌を作ることにしたんじゃ。ヤナギをイメージした歌をな…。
 わしとガンテツが詩を書き、キクコとユキナリが曲をつけた」

ヒデノリ
「ばーさんは何をしたんだ?」

ばーさん
「歌う役目があるじゃろう!こう見えても、当時わしはアイドル歌手だったんじゃ!!」

ヒデノリ
「うわああ」

それを聞いてヒデノリは頭を抱え放心する

じーさん
「すばらしかったよね、ばーさんの歌声は」

ばーさん
「最近もほれ、クルなんとかいう歌手がカバーしているらしいぞ」

じーさん
「ヤナギのために作ったその曲…
 タイトルは、「ラプラスに乗った少年」!」

♪ そうよラプラスの背に乗った
              あなたの姿を見た金曜日から
                            こんな想いがあふれていた ♪

じーさん
「じゃが、まあ結局は…
 ヤナギの心を溶かすことはできなかったがね…」

♪  そうよあの時のように

    ♪  でも新しく 輝きたい 輝くあなたを見たい ♪

      ♪   そうよあの時のように   でも新しく
              微笑みたい  微笑むあなたが見たい ♪

「時間のはざま」の中で、歌を聴いたヤナギは涙を流す

ヤナギ
「セレビィが少しだけ罪深い私の気持ちをくんでくれたのか…
 あの時は受け入れられなかった歌が今は心にしみる…。
 雪と氷が溶ければ春が来る。
 今、私の心の氷もようやく溶けて…春の日差しを浴びているようだ」

そして、ゴールドを見める

ヤナギ
「うらやましいな、…若いおまえが…
 お前にはこれからたくさんの時間がある…
 ポケモンとともにすごす時間が…その時間を…大切に…」

そういうとヤナギはセレビィと共に時のはざまに消えていく…



ほこらの外で「時のはざま」の様子を伺うレッドたち

グリーン
「オレたちが全員攻撃した後、巨大なエネルギーがはじけるのを感じた」

レッド
「ほこらの中で… 「時のはざま」でいったい何が起こったんだ…!?」

グリーン
「ム…見ろ!!」

「時間のはざま」の中からクリス、シルバーとスイクンたちが飛び出してきた

イエロー
「クリスさん!ライコウ、スイクン、エンテイ」

ブルー
「シルバー!!」

イエロー
「大丈夫ですか!?」

ブルー
「シルバー、しっかり!!」

ピカとチュチュがタマゴから生まれたポケモンに駆け寄り抱き合う

イエロー
「…!!  はじめて見るポケモン…!
 もしかしてピカとチュチュが持っていたあのタマゴから…。
 ピカとチュチュをあずけて見つかったタマゴから生まれたポケモンだから…、
 うん!ピチュって名前がいいな!!
 誰がタマゴを孵してくれたんですか?
 お礼を言いたいんですけど!」

シルバー、クリス
「……」

シルバー
「…タマゴを孵したのが誰かと聞かれれば、
 このはねた前髪…ゴールドという男だ…と答えることになる。
 だが…、その男に礼をすることはできない…!
 ヤツは「時のはざま」の中で……散った…!」

レッド、グリーン、ブルー、イエロー
「!!!」

シルバー
「仮面の男…ヤナギの野望をくい止め、セレビィを開放する。
 それと引き換えに自らの存在を差し出した…!! う…」

よろめくシルバーをグリーンが腕を掴み支える

グリーン
「しっかり立て!」

ブルー
「グリーン…」

グリーン
「話は済んだか?だったらオレといっしょに来い!!
 オーキド研究所における図鑑盗難、
 ウツギ研究所におけるワニノコ強奪の容疑でおまえの身柄を預かる。
 リーグ会場で会ったときから怪しいと思っていた」

クリス
「や、やめて…やめてください!!
 たしかに方法は間違っていたかもしれない!
 でも彼にはそれしか方法がなかったんです!!
 それに、わたしも彼もたった今
 目の前で友人を失いました!!
 そんなときに…」

シルバー
「いいんだ。オレは自分の運命に決着をつけるために生きてきた
 そのためなら手段を選ばない、と。
 しかし今日、その戦いは終わった。
 今、どんな裁きを受けようとなんの悔いもない」

グリーン
「……。
 さあ、行くぞ…」

「ちょっと待ったぁ!!!
 シルバーをしょっぴこうとしている、そこのトゲトゲ頭の兄ちゃんよォ!!
 あわててしょっぴく前にようォ、ちょっと確かめたほうがいーんじゃねーか?」

目の前に降ってきた指名手配書を手に取るグリーン

「その指名手配書とそいつの顔はよォ…、
 笑っちまうくれえ全然違うぜ!!」

それはゴールドが自分でシルバーを捕まえるため
警察署に無茶苦茶な特徴を言って作った手配書

ゴールド
「けど人違いっつーんなら、
 まあ、よくあるこった。気にすんな!」

いつの間にか、ゴールドがほこらの上に座っている

クリス
「ゴ、ゴ、ゴールド!!!
 ど…どうして!!?」

ゴールド
「どーしてだァ?帰ってきちゃ悪ーのかよ!?あ〜ん!?
 勝手に人を殺しやがって!オレのしゅーねんなめんなよ!」

ほこらから飛び降りイエローの前に行く

ゴールド
「よっ麦わらくん…じゃねーや、
 麦わらギャル!さっきは悪かったな!」

イエロー
「い…いえ…」

クリス
「ちょ、ちょっとゴールド失礼よ!」

クリスがポケギアでイエローのプロフィールを見せ年上だと教える

ゴールド
「年上!?」

ばーさん
「お〜、やっと追いついたわい」

育て屋夫婦とヒデノリがゴールドの手持ちを連れてやってくる

ゴールド
「おお!!オレの相棒たち!!」

ブルー
「あら!この様子、進化したてね。
 このあたりの岩場には陽光線っていう
 「たいようのいし」と同じエネルギーが含まれているから」

ゴールド
「おお!!誰だ?
 このフェロモンムンムンのねーちゃんは」

とブルーのお尻を叩く…

ボカ

するとシルバーに殴られた

シルバー
「汚い手でねえさんに触るな!!」

ゴールド
「て、てめ〜
 なにすんだクソシルバー!!
 ちったぁオレに感謝しやがれ!!」

シルバー
「うるさい!話が別だ!!」

喧嘩を始めた二人にあきれる一同

クリス
「よかった…ゴールド…」



その様子を遠目でカリンとイツキが見ている

カリン
「ふう、驚いたよ。力のない連中でも、集まりゃそれなりの結果出すもんだ。
 あの、とんでもない数のポケモンが来た時点でファイヤーから離れといて正解正解!
 しっかし、ヤナギのじっちゃんいなくなったし、これから何してヒマつぶそうかね、アタイたち。
 なあ、イツキ?」

「だったらオレたちといっしょに来ないか?」

声に振り向くとそこにいたのはキョウとシバの二人

カリン
「誰だい、アンタたちは?」

キュウ
「おまえたちと同じように、かつて行き場のない力を悪事に向けてしまった者さ。
 オレはキュウ、3年前のロケット団のはぐれ者さ」

シバ
「オレはシバ!1年前のカントー四天王のはぐれ者だ!!」

カリン
「…でアタイたちが今、仮面の男のはぐれ者…。
 はぐれ者同士よろしくってわけ?
 フッ、妙なのにつかまったねどうするイツキ?」

イツキ
「なんだってい〜んじゃない?
 ヒマつぶしになればさ〜」



リーグ会場でカスミは、事件の終結を感じていた

カスミ
(終わったんだね…、全部。
 エリカ…花、散っちゃったよ。
 せっかく貰ったのに…ごめんね)

カスミ
「そのこと報告だけはしなくちゃね」

ポケギアでエリカに電話をかける

「もしもし?」

カスミ
「もしもし あ、エリカ?」

レッド
「もしもーし もしもし?」

電話はエリカからポケギアを借りているレッドに繋がる

カスミ
「そ、その声もしかしてレッド!?」

レッド
「ありゃ?その声カスミか!?おーい!!」

イエロー
(電話の相手…カスミさん?)

カスミ
「な、なんであなたが出たのか知らないけど…。
 で、どうなのよ元気なの?」

レッド
「あ、ああ」

イエロー
(な、何の話してるんだろう?)

ブルー
「こっちほうはまだ混戦模様みたいね♥」

クリス
「?」

ブルー
「迷うようなら、「いっそみんなで一緒にくらし」たらどうかしら!!」

どき!

ブルーの言葉に真っ赤になるレッド、イエロー、カスミ

グリーン
「うるさい女だ」

ゴールド
「あーあ、なるほどねえ。
 気まずかった空気はそーゆーわけかよ。
 ドキマギしちゃって気の毒に…。
 しゃーねえな助けてやっか」

言いながらポケギアを取り出し母親に連絡を取る

ゴールド
「あーもしもし!かあさん?オレだよオレ、ゴールド!!
 実はよォ、もう少し帰えんのが遅くなりそうなんだ!!
 今、横に前回のリーグ優勝者っつー人がいてよ、
 その人にポケモンバトルを教わることになったから!!
 かあさんの手料理、グレン風ハンバーグ帰って食うの
 楽しみにしてっから、もう少し待っててくれ! 以上!!」

一方的にまくし立てると、レッドを引っぱっていく

イエロー
「あっ!レッドさん!!」

クリス
「ゴールド!!」


ゴールド
「どうです?ナイス連れ出しだったでしょ?
 で、どこでバトルを教えてくれます?」

レッド
「ほ、本当にやるのか?」

ゴールド
「ったりめーじゃないですか。あんたに習えば
 あのバカシルバーに勝てるよーになっかもしんねえ!でしょ!?」

レッド
「そうか、そうだなあ。じゃあシロガネ山はどうだ?
 オレが傷を治した場所で、強い野生ポケモンがたくさんいる。
 修行にはもってこいだ!!」

ゴールド
「ふ〜ん、シロガネ山!!
 いいっスね!レッド先輩!!」



大破した会場ではリーグ中止が決定していた。
予選・本選ともに行われることのなかったこの年のポケモンリーグは「優勝者のいない大会」となった。

カントー対ジョウト
ジムリーダー対抗戦はリニア内で行われた非公式の「第7試合」についてイブキが自身の敗北を申告。
4勝3敗1引き分けでカントー側勝利と記録されている。

その後トレーナーたちの間ではバッチ取得によるリーグ本選無条件出場を目指すべくジム挑戦者が激増!
各ジムリーダーは忙しくその職を全うすることになった。

マサキは仮面の男の目的が「時間移動」だったと知り
それを転送システムに生かす平和利用を考え始めていた。
新たに取り組み始めた研究は協力者を得て今も続いている。

ライコウ、エンテイ、スイクンの3匹は天へと帰った塔主、ホウオウを追って、またどこかえ消えていった。
ルギアとホウオウが再び伝説の存在として語り継がれるようになった現在「にじいろの羽」と「ぎんいろの羽」という2枚の羽は失われ、
ウメバの森のほこらが開かれることも…………二度となかった。

こうしてジョウト・カントーを全域を震撼させた「仮面の男アイス・オブ・マスク事件」は幕を閉じた
そしてーーー。

………………………………

うーん むにゃ むにゃ……なんじゃ こんな じかんに……
すまんが とけいを みて くれんか…

              
いまは なんじ じゃ?
                  ┃ひる 10じ┃
             ┃ なに!ひる 10じ じゃと?┃

それで なんぷん なのじゃ?
                  ┃35 ふん┃
             ┃なんと! 35 ふん?┃

ひる 10じ35 ふん!
いかん!


オーキド
「ねねねね、寝過ごしたァ!!
 今日はラジオ番組の生放送で、
 コガネまで行かねばならんというのに…。
 クリスくんなんで起してくれんかった!?」

クリス
「え?起してくれっておっしゃってましたっけ、博士?」

オーキド
(むぅ〜、ナナミは頼まんでも起こしてくれたというのに…。なんとか戻ってきてくれまいか)

クリス
「それより博士、さっきついにやりましたよ!」

オーキド
「ついに?…えと、なんじゃっけ?」

クリス
「これですよ、これ!
 ポケモン図鑑完成です!!」

オーキド
「な、なんと!!」

クリス
「手強いと思っていた伝説のポケモンたち、捕獲はできなかったけど
 この前の事件でデータはほぼうめることができたんで、残りは楽でした。
 先輩たちに会えたおかげです。
 では、これで確かにお納めします。「収集完了」いたしました!!」

オーキド
「ほ、本当に完成させるとは…」

クリス
「プロですから」

オーキド
(しかし…、実は続々と新種が発見されて、
 さらにあと100種類以上頼みたいと言ったら…、
 やっぱり怒るじゃろーなァ)

クリス
「?」

オーキド
「ととっ!そんな話をしてる場ではなかった!急がんと!!」

クリスに見送られ博士はオドシシに乗ってコガネへと向う

クルミ
「ラジオの前のみなさんこんにちは!!
 オーキド博士のポケモン講座の時間になりました」

博士のいないまま放送が始まりクルミが何とか話を繋いでいる
そうしているうちに博士が入ってくる

オーキド
「いゃぁ、待たせた!
 ポケットモンスターの世界にようこそ」


わしの なまえは オーキド
みんなからは ポケモン はかせと
したわれて おるよ

ポケットモンスター………ポケモン
この せかいには
ポケットモンスターと よばれる
いきもの たちが
いたるところに すんでいる!

ひとは ポケモンたちと
なかよく あそんだり
いっしょに たたかったり…………
たすけあい ながら
くらして いるのじゃ

しかし わしらは ポケモンのすべてを
しっている わけでは ない
ポケモンの ひみつは
まだまだ いっぱい ある!

わしは それを ときあかすために
まいにち ポケモンの けんきゅうを
つづけている という わけじゃ!

収録中に、子供が博士に会いに来た
図鑑をもらって、ポケモンと一緒に過ごしたいそうだが…

さて……
そろそろ きみの なまえを
おしえて もらおう!

Pocket Monsters
SPECIAL

RED
GLUE
BLUE
 ・
YELLOW
 ・
GOLD
SILVER
 &
CRYSTAL


FIN
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