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ポールのミラクル大作戦の最終回


さようなら!
 不思議ふしぎかい


暗雲の立ち込める空の下──


ポールたちが谷の合間の地面に、十数mはあろうかという巨大な足跡を見つける。

ドッペ「ひえぇぇっ、こ、この足跡は……?」
ニーナ「恐ろしく大きな、巨人のものに違いないわ」
ポール「これは、新しい足跡じゃないな。だいぶ前に作られたものだ……あっ!」

谷の向こう、城塞を思わせる不気味な山が立ち並び、砂嵐が舞う。

パックン「ただの巨人の国とは思えないよ。ベルト・サタンの住む、不死身の洞窟の近くへ迷い込んだのかもしれないよ」
ポールたち「ここがベルト・サタンの!?」


ポールたちの見た足跡は
果たしてベルト・サタンのものなのでしょうか
もしそうだとすれば この足跡を辿って行けば
ベルト・サタンの洞窟へ行けるかもしれません

「ベルト・サタンを倒さなければ……!」

でも ポールたちの心の中は
勇気と恐ろしさが一緒になって
渦巻いているのでした


嵐が舞い、ポールたちの乗ったミラクルカーが後ろへ押される。

ニーナ「きゃあっ!」
ポール「みんなぁ、しっかり掴まっていろよ! 吹き飛ばされてしまうぞ!」

崖の上の大木が折れ、ミラクルカー目掛けて落下。
ポールがハンドルをきり、かろうじて大木の直撃をかわす。

暗雲に雷鳴が轟く。
今度は十数mもの巨大な雫の大雨が降り出す。

やがて雨はやむものの、谷は大量の雨水ですっかり激流と化し、ミラクルカーが流されてゆく。
どこからともなく、不気味な唸り声が響く。

ニーナ「ポ、ポール! あの声は!」
ポール「パックン、まさか……」
パックン「ベルト・サタンだ。力を取り戻して、動き出そうとしているのかも」
ポール「何だって? こうしてはいられないや。早くこの嵐から脱出して、不死身の洞窟へ向かわなくっちゃ!」
パックン「うん。ポール、風上に行こう」
ポール「よぉし!」

ポールがジェットエンジンのスイッチを入れる。
ミラクルカーが宙を舞う──が、風に押されてまたもや着水してしまう。

ポール「駄目だぁ!」

ミラクルカーが成すすべもなく、流されてゆく……


一方、ベルト・サタンが身を潜める不死身の洞窟。
ベルト・サタンの咆哮と共に雷鳴が轟き、折られていた左の角が遂に再生する。
角はベルト・サタンの魔力の源。これで彼は完全復活を遂げたのだ。

サタン「うおおぉぉ──っっ!!」

ベルト・サタンの全身から満ちる魔力の前に、周囲の岩がたちまち溶け、溶岩と化す。

サタン「ポールたちに不覚をとってこの洞窟に身を置いてから長い屈辱の時間であった……だが今わしの力は再び甦り、全ての世界を制圧する時が来た!」

ベルト・サタンが五指を天に翳す。

サタン「ベルタァ──ッ!」

魔力が放たれ、洞窟を覆う岩山の天井が砕け散り、頭上に空が覗く。

サタン「わしの力を示す小手調べは、まず不思議な国の者どもだ。思い知るが良い! ベルタァァ──ッッ!!」

ベルト・サタンの両手から無数の青白い炎が迸り、空へと飛んでゆく。
無数の炎が、世界各地へと飛び回ってゆく。

14話で登場した炎の国。ベルト・サタンの魔力の炎が飛来し、住人が悲鳴を上げて逃げ惑う。
住人の少女メラーリと、その父の姿もある。

「うわぁ──っ!」「何だぁ!?」「助けてくれぇ!!」

21話で登場した鏡とレンズの国。鏡とレンズが魔力の前に次々に砕かれてゆく。

「誰か助けてくれぇ!」「逃げろぉ!」「うわぁ!!」

30話で登場した超近代の国。
都会の建物が次々に、魔力の前に打ち砕かれてゆく。
住人の中に、ピーターの姿もある。

ピーター「畜生、またベルト・サタンの仕業だ!」


サタン「わしの力を思い知ったか! わめけ! 怯えろ! だがそれも、わしが動き出して皆殺しにするまでの間だ。奴らの慌てふためく様を見てやるわぁ!!」

ベルト・サタンの両目から上空目掛けて光線が放たれる。
上空に映像が浮かび、各国の惨事の様子が映し出される。


一方のポールたち。
ミラクルカーが滝の寸前で流木に引っ掛かって止まり、ポールたちはかろうじて岸へ這い上がる。

ポール「大丈夫かい、ニーナ」
ニーナ「えぇ、ポール」
ドッペ「ポポ、ポール、ありゃあ何だ!?」
ポール「あぁっ!?」

ドッペの指す方向。不死身の洞窟の上空に、各国の惨事の様子が映し出されている。

ドッペ「ポ、ポール、あれは……」
ポール「不思議な世界の国々が、ベルト・サタンのために……!」
パックン「ポール、あそこだ! あの不思議なスクリーンの下に、ベルト・サタンが!」
ポール「畜生、何とかしてここから脱出しないと……」

ポールとドッペが必死にミラクルカーを押す。

ニーナ「き、消えてゆくわ!」
ポール「えっ!?」

洞窟上空のスクリーンが消えていく。

ポール「しまった!!」
パックン「方角だけはわかったんだ。ベルト・サタンが動き出す前に何とか突き止めなくっちゃ」
ニーナ「あぁ、神様……私たちをお守り下さい……」


一方、ベルト・サタンの子分のキノッピーが、ベルト・サタンのもとへ帰還する。

キノッピー「申し訳ありません。ポールたち、どこを探しても一向に……」
サタン「馬鹿者が! わしの超能力が、ポールたちが間近にいることを感じている。いないということはない!」
キノッピー「すいません……もう一度偵察に行ってきます」
サタン「その必要はない」
キノッピー「え?」
サタン「度重なる数々の失敗……もうこれ以上お前を使うことはあるまい」
キノッピー「そんな、ベルト・サタン様……」
サタン「わしの力も間もなく完全に戻る。お前のような役立たずは目障りだ。処分してくれるぞ!」
キノッピー「ひゃあぁぁ〜っ!?」

慌てて洞窟から逃げ出すキノッピー。
だがベルト・サタンの放った魔力がキノッピーに命中。

キノッピー「ぎゃあぁ──っ! うわぁぁ──っ!!」

キノッピーが激流の中へ落ちてゆく……


一方、激流から懸命に脱出を試みるポールたち。

ニーナ「ポ、ポール! あれを見て」
ポール「え?」

上流から、傷だらけで気を失ったキノッピーが流されてくる。

パックン「あれ、キノッピーみたいだよ」
ニーナ「どうしたのかしら……?」
ポール「散々悪さをした奴だけど、あの姿を見ては放ってはおけない。よぉし!」

ポールがヨーヨーを取り出す。

ポール「そぉれ!」

ヨーヨーを投げつけ、キノッピーを絡め取る。


意識朦朧の中、キノッピーがうわ言を続ける。

キノッピー「あ……あぁ……た、助けて……う……う?」

意識を取り戻すキノッピー。視界に映ったのはポールたち一同。

キノッピー「あ……?」
ニーナ「動いちゃ駄目よ……」
キノッピー「お、お前たち、俺をどうする気だぁ!?」
ドッペ「どうする気だってぇ? 命の恩人にそんな言い方はないだろ!?」
キノッピー「お前たちが、この俺を……? 敵の俺を助けたって言うのかい? なぜだい!? 散々お前たちの命を狙った、この俺を……!?」
ポール「放ってはおけなかったんだよ……」
パックン「うん」
ポール「死にかけている者を見捨てたりはできないじゃないか」
パックン「うん!」
キノッピー「ポール……!?」

ポールの真剣な眼差しに打たれ、キノッピーの目に涙が浮かび、やがて大泣きを始める。

キノッピー「何てこった! 信用していたベルト・サタンに殺されそうになって、敵のお前たちに命を助けられるなんてぇ!!」
ポール「殺されそうになった!? なぜだい?」
キノッピー「俺はもう、使い道がなくなったからだよ!」
ニーナ「ひどい……」

そのとき、パックンの両目が輝く。

パックン「あ……」
ポール「パックン、どうした?」
パックン「感じる! 現実の世界でとんでもないことが起こってる」
ポール「何だって!?」
パックン「ほら……」

パックンがオカルトハンマーを撫でる。
ハンマーの表面に、現実世界の風景が映し出される。
ポールたちの町に津波が押し寄せ、大洪水の前に建築物が砕ける……

ポール「あ……!?」
ドッペ「た、大変だぁ!」
パックン「ベルト・サタンの魔力が、現実の世界まで破壊し出したんだ!」
ポール「パックン、急ごう。このままじゃ不思議な世界も、僕たちの世界も終わりだ」
キノッピー「……ベルト・サタンを倒すんなら、俺が案内するぜ!」
ポール「キノッピー!?」

決意に満ちた眼差しでポールたちを見つめるキノッピー……


宙を舞うキノッピーが、ポールたちを乗せたミラクルカーを、ロープで懸命に引っ張る。

ポール「いいぞ、引っ張ってくれ!」
キノッピー「それぇっ!」

遂にミラクルカーが激流を脱出。

ポール「やったぁ!」


一方の不死身の洞窟。

サタン「ベルタァァ──ッ!!」

ベルト・サタンの魔力により、洞窟を取り巻く岸壁が崩壊。ベルト・サタンの恐るべき巨大な姿が現れる──


キノッピーの案内で、ポールたちのミラクルカーが空を行く。

ポール「キノッピー、なぜ僕たちの味方をする気になったんだ?」
キノッピー「俺は一度ベルト・サタンに殺された命だ。それに生きていても行くところがない……」
ポール「キノッピー……」

キノッピー「俺を信用してついて来るのか……? 今まで俺……」
ポール「今のキノッピーは、今までのキノッピーと違う。そうだろ? 信じてるさ!」
キノッピー「ポール……俺、俺……」

思わず涙ぐむキノッピー。ニーナとドッペがクスリと笑う。

その時──奇怪な唸り声。

ニーナ「あの声は!?」

どこからともなく糸が放たれてミラクルカーに粘りつき、ミラクルカーを地上へ引きずり落とす。

ドッペ「何だ、どうしたんだ!?」
キノッピー「ポ、ポールゥ!?」

地上に張られた巨大な蜘蛛の巣に、ミラクルカーが貼り付けられてしまう。
そして巨大な蜘蛛が出現。

ニーナ「きゃぁぁ──っ!!」
ポール「気をつけろ、蜘蛛だ!!」
ドッペ「ひゃあ、こっちにも出たぁ!!」

反対側からもう1匹の巨大蜘蛛が出現。挟み撃ちだ。

キノッピー「待てぇぇ──っ!! これでも食らえっ!!」

キノッピーが飛来。得意の毒粉を蜘蛛目掛けて撒き散らす。

ポール「あ……キノッピー!」
キノッピー「ポール、この間に脱出しろ!」

しかし蜘蛛はキノッピーを脚で叩き落とし、巣に貼り付けてしまう。

キノッピー「うわあぁっ!!」
ポール「キノッピー!?」


一方のベルト・サタン。

サタン「ベルタァァ──ッッ!!」

暗雲から雷鳴が轟き、大地が裂け、炎が噴き出す。
巨大な炎の柱が世界を埋め尽くしてゆく。

サタン「フハハハハハ……!!」


空の彼方から、無数の戦闘機が飛来。
先陣をきる戦闘機に乗って編隊を指揮するのは、ピーターだ。

ピーター「みんな急げ! ベルト・サタンの青い炎が飛んできた地点まで、もう少しだ! 石の国の人たちからの情報では、ポールたちが既に向かっているらしい。ポールたちを見殺しにするな!!」

一方では、鏡とレンズの国の住人たちが巨大レンズを運び、炎の国の住人たちがそれに続く。

メラーリの父「みんな急げ! ポールさんを救うんだぁ!!」


ポールたちに巨大蜘蛛が迫る。

ポール「パックン、オカルトハンマーで僕のボタンを」
パックン「OK!」

ポールが服のボタンを引きちぎる。

ポール「えぇい!!」

ポールの投げたボタンが、パックンのオカルトハンマーで巨大化、蜘蛛に命中。
蜘蛛が吹き飛ばされる。

ドッペ「へへ、やったぁ!」

だがもう1体の蜘蛛が迫る。

ポール「パックン、もう一つだ!」
パックン「オカルトハンマーの威力には、限界があるんだよ」
ポール「やるんだ、パックン!」

蜘蛛の爪は今にもポールたちを襲わんとしている。

ポール「えぇい!!」

再びポールの投げたボタンがハンマーで巨大化、蜘蛛を吹き飛ばす。
危機は去った──
かと思いきや、木々の陰から、ベルト・サタンが遂にその巨大な姿を現す。

ポール「あ……ベルト・サタン!」
サタン「ポール! 覚悟しろぉ!!」

ベルト・サタンの爪がポールたちに迫る……
そのとき。
そこからともなく閃光が放たれ、ベルト・サタンの目を直撃する。

サタン「うわぁぁっ!?」
ポールたち「あ……!?」

閃光のもとへ目をやるポールたち。

炎の国の住人たちが巨大な炎を起こし、その光を鏡とレンズの国の住人たちが巨大レンズで収束し、ベルト・サタンに浴びせているのだ。

サタン「うぁぁ……くっ!!」

続いてピーターたちの戦闘機編隊が飛来。

ピーター「行くぞ、ベルト・サタン!!」

戦闘機群がベルト・サタンに攻撃を開始する。

サタン「うわぁっ! えぇい!!」
ポール「不思議な国の人たちだ。パックン、この間に何とかしてベルト・サタンを!」
パックン「でも……もう一度オカルトハンマー使ったら、エネルギーが足りなくなってミラクルゲートを作れなくなるかもしれない」
ドッペ「えぇ!? じゃぁ、おいらたち帰れなくなるの!?」
パックン「帰れないだけじゃなくって……みんな死んじゃうかもしれない」


サタン「おのれ、うるさい蚊トンボめらがぁ! ベルタァァ──ッ!!」

ベルト・サタンの魔力で大嵐が吹き荒れ、戦闘機群、各国の住人たちが吹き飛ばされる。

ポール「うわぁぁ──っっ!!」
サタン「見たか! 苦しみながら死んでゆくがいい。間もなくお前たちの体は散り散りに分解してゆく! ワハハハハハ!!」

ポールのミラクルカーも蜘蛛の巣から引き剥がされ、嵐で吹き飛ばされつつ分解してゆく。

ポール「パックン、みんなを救うんだ。たとえ僕たちはどうなっても、もう一度……オカルトハンマーを!」
パックン「ポ、ポール……」

ポールがヨーヨーを取り出す。

ポール「パックン、さぁ、早く!」
ニーナ「私の、ペンダントも!」
ドッペ「おいらの……首輪もだぁい!」
パックン「よぉし……最後の勝負だ。それっ!」

パックンがポールたちの持ち物を、次々にオカルトハンマーで叩く。
叩くたび、次第にハンマーに亀裂が走る。

ポール「さぁ、一緒に行くぞ……えぇ──い!!」

勝ち誇るベルト・サタン目掛け、ポールたちがヨーヨー、ペンダント、首輪を投げつける。
それぞれが魔法でみるみる巨大化。

サタン「おぉ!?」

ヨーヨーがベルト・サタンの眉間に命中。
首輪が右の角を裂く。
ペンダントが左の角を裂く。

サタン「ぐわぁぁ──っっ!? ベ、ベルタァァ──ッッ!?」

断末魔の叫びと共に、ベルト・サタンが青白い炎と化し、消滅……


嵐のやんだ丘の上。

気絶していたポールが、意識を取り戻す。

ポール「うーん……や、やった……ベルト・サタンを倒したんだ! そうだ、ニーナやみんなは?」

周囲に倒れていた、不思議な世界の各国の住人たちも、意識を取り戻す。

住人たち「う……うーん……」

やがてポールが、ニーナの姿を見つける。

ポール「ニーナ!」
ニーナ「ポ、ポール! 大丈夫よ!」
ドッペ・パックン「ポール、ニーナ!」
住人たち「おぉ、助かった!」「無事だったぞ!」「やったぁ!」
ポール「良かったぁ、僕たちの力でベルト・サタンを倒したんだ!」
ニーナ「ポール……!」
ポール「ニーナ……!」

ポールとニーナが抱き合う。

住人「やったぁ!」「ベルト・サタンを倒したぞ!」
ドッペ「やった! バンザァイ!!」

ドッペとピーターが手を取り合う。

パックン「やった、やったぁ!」

ポールたちと各国の住人たちが、次々に手を取り合い、勝利を喜び合う。


そのとき、岩陰からボロボロになったキノッピーが姿を現す。

キノッピー「ポ……ポール……ポール……」
ポール「キノッピー!?」

倒れるキノッピーに、ポールが駆け寄る。

ポール「キノッピー、しっかりしろ!」
キノッピー「俺はもう駄目だよ……でも最後にいいことができて、良かったぜ……」
ポール「キノッピー、死ぬんじゃない!!」
キノッピー「あ……あばよ……」

キノッピーが力尽る。

ポール「キノッピー!?」

ベルト・サタンの魔力が解けたことで、キノッピーが元の姿のキノコとなる。

ポール「あ……キノッピーが……キノッピー……」

ニーナ「ポール! あれを……」
ポール「あ……!」

ニーナが指す方をポールが見やる。
不毛の大地だった地面に、無数の植物が芽吹いている。

パックン「ベルト・サタンの呪いが解けたんだ。ここも美しい大地に生まれ変わるよ」

暗雲が晴れ、陽の光が植物たちを優しく照らす……

ポール「キノッピーに一目でも、この美しい風景を見せてやりたかった……」
ニーナ「キノッピー……」


こうして 不思議な世界は
平和を取り戻すことができました

でも ポールたちは……


各国の住人たちがそれぞれの国へ残り、ポールたち一同だけが残っている。

ドッペ「みんな自分たちの国へ帰ってったけど、おいらたちゃどうなっちゃうのかな……」
パックン「やってみるさ、元気出せよ!」

パックンがヒビだらけのオカルトハンマーを取り出す。
ハンマーを地面に叩きつける。
限界に達したハンマーが遂に、粉々に砕け散る……

ポールたち「あぁっ!?」

駄目たかと思われたが──やがて、地面にミラクルゲートが出現する。

ポール「ミラクルゲートだ!」
ニーナ「良かったぁ!」
パックン「早く早くぅ! ぐずぐずしてると、戻れなくなっちゃう!」
ポールたち「それぇっ!」

ミラクルゲートへ飛び込む一同。


やがて、ミラクルゲートから、時間の静止した現実世界へ、ポールたちが無事帰還を果たす。
ミラクルゲートが点滅を始める。

パックン「あ……僕の役目は終ったよ。別れるのは辛いけど、これでさよならだね」
ニーナ「残念ね、パックン……」
ドッペ「へへ……楽しかったぜ」

ポールとパックンが握手を交わす。

ポール「さよなら、パックン……」
パックン「うん……ポール……」

パックンの体が光に包まれる。

パックン「さようならぁ──っ!」

パックンの体の光──妖精としてのパックンの本体が、ミラクルゲートの中へ消えてゆく。
そしてミラクルゲート自体も消え、時間停止が解除される。

残された、ただのぬいぐるみになったパックンを、ポールが拾い上げる。

ポール「パックン……」


ベルト・サタンの消滅により、現実世界の惨事も止む。


灯台跡で海を見つめるポール、ニーナ、ドッペ。



ベルト・サタンの脅威は去りました
この大洪水の傷跡も いつの日か消えて
立派な町に戻るでしょう

ポールとニーナは つくづくと
平和の尊さを噛み締めているのでした

不思議な世界のことは誰も信じてくれないでしょう
でも それでもいいんです

ポールとニーナの心で いつまでもいつまでも
想い出として残っていれば……



(終)
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