ナレーション「なんということでしょう。3人のはいネスから生まれた究極のオルグ・センキは全てのパワーアニマルを倒してしまいました……」

走「ガオライオ―――ン!!」

草太郎の首のGフォンが消える。

草太郎「おい!!」

草太郎だけではなく、他の4人のGフォンも消えてしまう。

これで走たちはガオアクセスが出来なくなってしまった。

 

Final Quest
百獣、吼える!!

 

巨大センキの姿が暗雲と土砂降りに閉ざされた街に見える。

オルゲットたちが人々に襲い掛かる。

ツエツエ「おおっ……遂にこのときが来た。私たちオルグの時代がやってきたのよ!!」

天空島アニマリウムが墜落しようとする。

テトムが紫の布を持って走の前に現れる。

テトム「ムラサキおばあちゃんからいただいた守り刀……私たちに残された武器は、これが最後よ!!」

岳「でも、刀1本でどうやって戦うんだ!?」

冴「センキは、心臓を中心に復活してたわ……」

走「そのセンキの心臓に一太刀でも加えられれば、俺たちに正気はある!　みんな、地上へ行こう。センキを倒すんだ!!」

アニマリウムからガオズロックが飛び立ち、地上に降りる。

そこから走たちが出てくる。

走「センキ!　待たせたな!!」

センキ「泣かずば撃たれるものを……オルゲットよ、奴らを倒せ!」

走「行くぜ!!」

岳たち「よっしゃ!!」

走たちが駆け寄る。

テトム「みんな!　頑張って!!」

走たち6人がガオアクセス能力を失ったままオルゲット群に生身で挑む。

岳「このままじゃぁ、死ねねぇぜぇ!!」

草太郎「どんな小さな傷だってぇ!!」

海「爪の一筋の傷だって、つけてやる!!」

月麿「千年の怨み、晴らす時!」

冴の目にビルの屋上が飛び込む。

冴「あのビルからなら届くわ!!」

走「行こうぜ!!　おりゃああ!!」

走たちはオルゲットを牽制しつつビルの階段に駆け上る。

走「みんな、急げ!!」

6人は階段を上り、屋上にたどり着く。

走「センキ、覚悟しやがれ!!」

センキ「お前らに、何が出来る!?」

6人がセンキの吐いた息に吹き飛ぶ。

一同「うわああっ!!」

センキ「はははは……」

走「どんな小さな傷1つでも、奴の心の蔵に……!!」

岳「俺を足場に行け!」

月麿「俺を踏み台に……」

海「俺も!!」

草太郎「自分も!」

冴「私も……」

岳たち5人が踏み台を作る。

月麿「行け!　レッド!!」

走「行くぞ!!」

走が思い切りジャンプ。

走「食らえ!!」

走が剣をセンキに突き刺す。

走「どうだ!!」

センキ「そんな突きで、私が傷つくとでも思ったか!」

走「何!?」

センキが走を放り投げる。

走「うわああっ!!」

剣も折れてしまう。

センキ「ガオレンジャーにもなれないちっぽけな人間ども……お前らなど、無力だ……思い知るがいい」

走「こんなことじゃ負けねぇ……」

走が力を振り絞って立ち上がる。

走「獅子走……俺は獣医だ!!　地球の命を守るんだ!!　みんな……」

冴「走先生……わかったわ。例え、ガオレンジャーの姿になれなくても、私は……私はガオの戦士・大河冴よ!!」

海「ぼ、僕は……鮫津海19歳!　ブラック……」

草太郎が海の手を借りて立ち上がる。

草太郎「自分は……自分は、牛込草太郎です!!」

月麿「我が名は月麿……大神月麿だ……」

本名を捨て、戦士としてコードネームで呼び合っていた一同が、初めて本名で呼び合い、力を振り絞って次々に立ち上がる。

走「イエロー……」

最後に岳も立ち上がる。

岳「もう、色で呼び合うこともないか……俺は鷲尾岳。よろしくな」

走「岳……みんな……俺に力を貸してくれ!!」

海「よし!」

一同がセンキを見上げる。

センキ「力を合わせても無駄だ。まだわからんのか!?」

走「そんなことないぜ……」

岳「俺たちは負けない!」

一同「やる気満々だぜ―――!!」

空一面を覆っていた暗雲に穴が開き、光が差し込む。

次々に雲に穴が開き、無数の光が差し込む。

そして、その光が無数の光の球に変わり、暗雲が完全に消え去る。

ナレーション「おやおや、どうしたことでしょう?　この光の玉は、何なのでしょう!?」

ヤバイバ「何だありゃあ!?」

テトム「あ。百獣の光……ムラサキおばあちゃんから聞いたことがあるわ。この世には、天空島に戻ってきてないものたちをあわせて100匹のパワーアニマルたちがいるって」

ナレーション「そうなのです……ガオレンジャーの心が、世界に散らばっていた、この世の中のパワーアニマルすべてに通じたのです!」

ツエツエ「そんな……そんなことって……」

色とりどりの光球が宙を舞い、地上を舞い、オルゲットが次々に消え去ってゆく。

ヤバイバ「ここもいよいよヤバイバ……ツエツエ、逃げようぜ!!」

ツエツエ「奴らの起こす奇跡なんて認めないわよ!!」

ヤバイバとツエツエはその場を去る。

光球がセンキの周りを舞う。

センキ「小賢しい!!」

走たちの上を、光球が飛び交う。

光球の中に、様々なパワーアニマルの姿が浮かぶ。

冴「ガオマウス!!」

海「ガオスティングレイ!!」

草太郎「ガオホース!!」

岳「ガオピーコック!!」

さらに赤、黄、青、黒、白、銀の光球が6人の前に止まる。

走「お前は……ガオライオン!!　甦ったのか!?」

赤い光球にガオライオンの姿が浮かぶ。

冴「お帰りなさい。みんな!　ガオタイガー!!」

岳「ガオイーグル!!」

海「ガオシャーク!!」

草太郎「ガオバイソン!!」

月麿「ガオウルフ!!」

他の光球からそれぞれのパートナーのパワーアニマルの姿が浮かぶ。

すると光球から光が降り注ぎ、砕けた後再生したガオの宝珠となってそれぞれの手に止まる。

6人は再会したように握る。

すると、その宝珠から光が迸って6人の体を包み──6人が再び、ガオレンジャーの姿となる。

ナレーション「百獣と、6人の気持ちが1つになった時、戦士の力も甦るのです!!」

レッド「よぉーし!!　灼熱の獅子・ガオレッド!!」

イエロー「孤高の荒鷲・ガオイエロー!!」

ブルー「怒涛の鮫・ガオブルー!!」

ブラック「鋼の猛牛・ガオブラック!!」

ホワイト「麗しの白虎・ガオホワイト!!」

シルバー「閃烈の銀狼・ガオシルバー!!」

レッド「命あるところ……正義の雄叫びあり!」

一同「百獣戦隊ガオレンジャー!!」

6つの光球がガオライオン、イーグル、シャーク、バイソン、タイガー、ウルフに実体化する。

センキ「何だ……何なんだこれは!?」

その他にもガオエレファント、ジュラフ、ベアー、ポーラー、ゴリラ、ハンマーヘッド、リゲーター、ライノス、マジロ、ディアス、ファルコン、レオン、コンドル、ソーシャーク、バッファロー、ジャガーも現れる。

レッド「センキ!!」

イエロー「見たか!　百獣たちは死んじゃいねぇぜ!!」

ブルー「みんなの力を、今こそ見せてやる!!」

ブラック「ネバギバの力をな!!」

ホワイト「そうよ。この星の命を、オルグの衝動なんかに負けやしないわ!!」

シルバー「それこそ、千年の真理だ……」

レッドが獣王剣を抜き取る。

レッド「森羅万象……」

一同「天地轟命!　百獣アニマルハート!!」

5本の獣王剣とガオハスラーロッド、そして100匹のパワーアニマルからガオソウルが放射。

センキの肉体が消滅。

心臓だけが残る。

レッド「とどめだ!!」

ライオンファング、イーグルソード、シャークカッター、バイソンアックス、タイガーバトンが合体。

破邪百獣剣となる。

6人が構える。

レッド「センキ!　そして全てのオルグよ……邪気、退散!!」

6人が振り下ろした破邪百獣剣が炸裂。

心臓は消滅する。

一同「やった―――!!」

テトム「やりぃ!」

マトリックス

ヤバイバとツエツエが逃げてくる。

ヤバイバ「そんなバカな……俺たちオルグが負けるかよ!!」

ツエツエ「そんな……うわっ!!」

轟音。

マトリックスが崩壊を始める。

ヤバイバ「最大限にヤバイバ―――!!」

ツエツエ「オルグよ……オルグは永遠なり―――!　ハハハ……」

ヤバイバ「ツエツエ―――!!」

ツエツエ「ヤバイバ―――!!」

2人は瓦礫に飲み込まれていく。

遂にオルグは最期を遂げた。

ナレーション「みんなの心が、1つになったとき、邪悪な衝動が生まれたオルグも、オルグの王・センキもまた、この世から消え去ったのです……そして、今また……平和の時代が甦りました」」

レッド「みんな、やったな!」

一同「よっしゃ!!」

ブルー「やったな草太郎……」

レッド「ありがとう。ガオライオン!!」

ガオライオンの雄叫び。

レッド「みんなの力と俺たちの力……自然と人間の力が1つになって、オルグを倒すことが出来たんだ!!」

ガオライオンが、悲しげに首を傾げる。

レッド「ガオライオン……!?」

イエロー「そうか。本当にこれで、最後なんだな……」

ホワイト「お別れ、なんだね……」

ブラック「怪我したときもあったけど……よく頑張ってくれたよな!」

ブルー「せっかく、仲良くなれたのにな……」

レッド「さよなら―――!!」

イエロー「さようなら!!」

レッド「ありがとう。パワーアニマルたち」

一同「さようなら―――!!」

100の光球が天高く上っていく。

その夜・ガオズロック前

海「とうとう終わっちゃったんだよな……」

冴「やっとみんな仲間になれたのにねぇ……」

岳「獅子もやっとリーダーらしくなったのになぁ……」

走「サンキュー。でもリーダーも今日で終わりだ……」

冴「そんなこと言わないの。悲しくなっちゃうでしょ!」

走「何言ってんだよ。それぞれの夢をかなえるときが来たんだ!　みんな、頑張ってくれよ!!」

草太郎「よし!　ちゃんこ屋の社長目指してネバギバで天下取るぞ!!」

海「おおっ!　頼りにしてるぜ。社長!!」

冴「ねえ、月麿さん、旅に行こう。旅!」

月麿「いや、それより……テトムは!?」

海「そうだよ。テトムはどうすんだよ!?」

テトムが足を止める。

テトム「巫女はいつかまた、仕事をなすために永い眠りに就かなければなりません……」

この言葉に驚く6人。

テトム「そんな寂しい顔しないでください……永遠の別れじゃないんだから。きっとまた、千年ぐらい経てば会えるかもしれません……」

走「俺は獣医だ。でも、千才まで生きるなんて無理だ……」

テトム「そういえばそうだなぁ……」

海「テトム!　一緒にさぁ……この時代で生きようよ!」

テトム「残念だけど……」

海がテトムの手をとるが、テトムはその手をゆっくり解く。

テトム「私はガオズロックとともに……あの月で、眠ってます……たまには夜空の月を見て、私のこと、思い出してください……」

テトムが月を見上げる。

月麿「テトム……同じ平安時代の人間として、お供しよう」

テトム「大神……それは出来ません。あなたは普通の人間……共に時の流れをすごすことは出来ません」

月麿「しかし……」

テトム「この世界で、生きてください……もう行かなければなりません。皆さん、ガオジャケットとGフォンを……」

6人はガオジャケットを脱ぎ始める。

ガオジャケットとGフォンを手にしたテトム。

テトム「みんな……長い間、ありがとう。ありがとう……皆さん、さようなら」

テトムが背を向けると光となってガオズロックの中に吸い込まれる。

走「テトム……さよなら」

海「バイバイ!」

6人が手を振る。

ナレーション「長かった戦いの物語は、こうして終わりました。そして、みんなは夢をかなえるため、それぞれの世界へ渡っていったのです……」

ガオズロックは浮上し、月へ向かう。

航空自衛隊の演習場。

ガオイエロー・鷲尾岳が、訓練に励んでいる。

隊員たち「1、2!　1、2!」

教務官たち「鷲尾岳……あのテスト星、優秀だな」「奴には墜落後逃走、行方不明という過去がある……」「なーに、まだまだ若いんだ。やり直せる!」

教務官「鷲尾、次行くぞ!」

岳「はいっ!!」

故郷・九州に戻り、武術学校で組み手に精を出すガオホワイト・大河冴。

学生「まだまだ……」

冴「はっ!!」

冴の正拳が、見事に相手を倒す。

その様子を見守る、冴の父・大河虎之助。

冴「父さん……」

虎之助「1年間、容器張りやした。麗しの白虎どの……」

冴「父さん……その名前は、この前やったでが。あたしの名前は、大河冴!　大河虎之助の娘でごわん」

街中の交差点。

横断歩道を人々が歩き始める中、1人の老婆が通行人に突き飛ばされて転倒し、手にしていたいくつもの荷物が転げ落ちる。

慌てて老婆が拾おうとする荷物を、替わって拾い上げたのは──ガオシルバー・大神月麿。

月麿「もって、向こうまでお連れしましょう……」

老婆「家々、都会は怖いわ……」

月麿「21世紀、か……」

現代世界に戸惑いを覚えるように溜め息をつき、雑踏の中へと消えて行く。

牧場。

多くの牛に囲まれ、牧場仕事に汗を流す、ガオブラック・牛込草太郎。

牧場夫「草太郎!　いつもの相棒、どうした!?」

草太郎「すいません。別の用事で遅れるって……」

牧場夫「ああ、いいさちょっとぐらい。おめぇたち、まじめに働くからなぁ……」

草太郎「自分たち、夢、ありますから……一緒に店やるって」

牧場夫「そうかぁ……お、噂をすればだ」

詩織「草太郎君!」

弁当を持ってきたのはやってきたのは草太郎が働いていた花屋の同僚・詩織だった。

草太郎「しいちゃん!」

詩織「ごめんなさい。遅くなっちゃって……」

草太郎「ううん、いいのいいの!」

詩織「お腹すいた!?」

草太郎「お腹すいちゃった……」

海岸。

若者たちがサーフィンを楽しんでいる。

砂浜に戻ってきた1人のサーファーをサーフショップで迎えたのは、ガオブルー・鮫津海。

海「あ、今井さん。今日の海、どうですか!?」

男「おお、最高だよ。今、行かないと勿体ないぜ!?」

海「行きたいんですけど、まだ仕事が残ってますから……」

男「そうか。じゃ、またな!」

海はサーフボードを磨き、海を見る。

ガオレッド・獅子走の職場、桜庭動物病院。

「ありがとうございました。治ってよかったね〜」

「やっぱり走先生ねぇ」「本当ねぇ」「格好いいわぁ〜」

走に見惚れる主婦たち。

走「よーし、もう大丈夫だからなぁ。ちょっとだけじっとしてろよぉ……」

走がチワワを診察していた。

走「これで治った……どうだ!　はいどうぞ。新婚さん!」

走がチワワを新婚夫婦に渡す。

夫「ありがとうございます」

妻「良かったね。たいしたことなくて……」

夫「それじゃあ……」

走「お大事に。次の人、誰!?」

そこへ、院長の娘・美咲が、インコの鳥篭を持って現れる。

美咲「走先生!　いつもの患者さんですよ!」

走「またお前かぁ! だめなご主人ちゃまでちゅね〜また餌忘れられちゃいましたか〜よしよし、可哀想にな〜孤高の鷲ちゃん! こっちおいで〜」

岳が入ってくる。

インコの飼い主は岳だった。

岳「おい。気持ち悪いからその言葉遣いするなって言ってんだろ!?　大丈夫でちゅか〜!?」

走「大丈夫じゃねぇよ。岳……」

ナレーション「おやおや!?　戦いの物語が終わっても、別の物語が始まっているようです……」

草原を歩く走、岳。

駆け寄ってくる海、草太郎、冴、月麿。

6人が彼方に何かを見つけ、大きく手を振る。

視線の先には──テトムと風太郎。

再会か、イメージ映像だろうか?

8人が抱き合い、喜び合う。

走が風太郎とじゃれ合う。

海が自転車で走り回る。

冴が花畑の中で転げ回る。

岳が草原の中でマンドリンを奏でている。

草太郎が川で魚を釣り上げる。

月麿が笛を奏で──草太郎が見せた魚に驚く。

テトムが弁当を広げ、走と風太郎が皆を呼ぶ。

みんながテトムの手料理の味に舌鼓を打つ。

卵焼きを頬張っていた走がふと、空を見上げる。

走「ガオライオ―――ン!　お前も食うかぁ!?」

ガオライオンの咆哮。

走「そっか、食べるか!!」

一同「はははっ!」

走「行くぞ!!」

卵焼きを投げる走。

アニマリウムの草原からから卵焼きが飛び出す。

卵焼きが画面一杯に広がり、「おわり」の文字が浮かぶ。

 

おわり