戻る TOPへ

自由人HERO(フリーマンヒーロー)
最終回・自由人(フリーマン)!!!の巻

(最終回に至るまでのあらすじ)
人間界の英雄・パーパことシンタローの息子であるヒーロー。
海人界の英雄・クラーケンと地上界の他の英雄たちの壮絶な死闘の果て、パーパは生死不明になってしまい、ヒーローはそれを探しに行く中で自分が天上界の人間であることを知り、かつて冥界の王・冥王と戦った天上界の王・天帝の生まれ変わりであることも知る。
自分の3人の兄・乱世、忍、リキッドと共に新たな冥王となったバラクーダを打倒するため、冥界へと乗り込んで行くヒーロー。
兄たちの犠牲を乗り越え、ついにバラクーダと対峙したが、その時待っていたのは「魔王の眼」により魔人と化したパーパだった。
聖王剣を振り下ろすことを一時は躊躇うが、魔人と化したパーパを仲間たちを思う気持ちゆえ斬ることになるヒーロー。
だがその時、パーパの声が聞こえて来た。
「守る者のために逝く痛みより、守り抜くために生きねばならぬ苦しみのほうがはるかに大きい。父の死を越えたいなら、その苦しみを強さに変えて立ち上がれ!!!」その声にヒーローは立ち直り、バラクーダと戦う決意をする。
ヒーローの力は一時はバラクーダを圧倒するが、バラクーダが弟・シルヴィスの心臓を喰らい魔力を増大させ、「赤の秘石」と「青の秘石」を体に受け入れてからは形勢が逆転。ついにヒーローの変身していた姿にも限界が生じた。
しかしその時、ヒーローの背中に光の翼が生えた!!

(本文)
 ヒーローの背に光の翼が生える。
バラクーダ「あれは…海人界でクラーケンと戦っていた時の光の翼…なぜ、そんなモノでオレの攻撃が防げるんだッ!!?たかが超人の翼でッツ」
 しかしその時、バラクーダの身体が鉛のように重くなる。
バラクーダ「な…なんだ、体が…!!?」
 体に受け入れた赤い秘石が話しかけてくる。
赤い秘石(愚かな…"青い秘石"の一族が…その身に"赤い秘石(ワタシ)"を入れて無事でいられると思うのですか…"赤"と"青"――両方の秘石の力を克服するには…気の遠くなるような長い年月が必要なのですよ!)
バラクーダ「まさ…か…」
 バラクーダがうろたえる刹那に、ヒーローが突進してくる。
バラクーダ「貴様が千年間眠りについていたのはッ…」
ヒーロー「超人奥義…ギガフレア!!!」
 ヒーローの奥義・ギガフレアの力がバラクーダを直撃!!
 バラクーダは血を吐きながらも、
バラクーダ「ククク…そうか…"赤い秘石"のカケラだけではなかったのだな…千年前、冥王との戦いの決着で…我が父の体内にあった、"青い秘石"の砕け散ったカケラも…貴様の体内に入り込んでいたのか!!!」
赤い秘石(その通りです…"赤い秘石"と"青い秘石"のカケラは、千年かけて新しい命を生み出しました…それが、超人でも魔人でもない…自由人(フリーマン)ヒーロー!!!)
バラクーダ「ふ…オレがやっと手に入れた最強の力を…そいつは、すでに千年も前に宿していたのか…」
ヒーロー「バラクーダ、あきらめろ。オマエは絶対王にはなれない…体が崩壊する前に"赤"と "青"の秘石を取り出すんだ!」
バラクーダ「断る…例え王になれずともこの力を手放すわけにはいかん…」
ヒーロー「なんだと…!!?」
バラクーダ「いつもそうだ…いつも貴様は、オレを超えた所にいる…オレの望みはただ一つ、オレの野望を打ち砕いた貴様を殺すことだァア!!!」
 その雄叫びと共に、バラクーダの力が高まっていく。
ヒーロー「な…冥界ごとフッ飛ばすつもりかァア」
バラクーダ「オレの信念を貫くためならばッツ、冥界などどうなってもよいのだ!!!千年前、貴様のせいで…オレは父と交わした約束を果たせなかったッツ」
ヒーロー「ナニ…」
バラクーダ「冥王(ちち)を殺すのは、オレでなければならなかったのだ」

 バラクーダの回想。父・冥王との会話。
冥王「予を越えたいと申すか…バラクーダ」
バラクーダ「ええ…王と定められし者の息子として、当然の願いでしょう…」
冥王「ならば必ずや、予を殺すがよい!」
バラクーダ「え…」
冥王「そうでなければ確実に予がオマエを殺すぞ。天冥を制す覇者となるものはただ一人なれば、汝の道を邪魔するものは、すべて滅ぼすがよい。それすらできぬ臆病者が、我が息子を語るな」

 再びヒーローとバラクーダの決戦の場に戻る。
バラクーダ「だが、乱世から受けた傷で遅れをとっている間に――父は貴様に倒された。…オレが超えようとしてた男は、超人ごときに殺される弱い虫ケラだったんだ…」
バラクーダ「どれだけオレが惨めだったかわかるかッ…オレは戦うことすら許されず、敗者の烙印を押されたのだッ。たとえこの身が滅びようとも…己の誇りを取り戻すためにッツ、貴様に勝利するッツ」
 バラクーダが力を纏い突進してくる。
赤い秘石(逃げなさいヒーロー!!!"赤(ワタシ)"と"青"の秘石の力が一度にぶつかってしまったら、いくらアナタといえども…)
ヒーロー「ううん…オレは逃げないよ」
赤い秘石(……!!!)
ヒーロー(竜王が言ってた。戦争に勝利なんか存在しないって。戦争の後にあるのは、ただ破壊だけだよ…だからオレは、もう戦を止めるんだ!)
 ヒーローもバラクーダに突進していく。
倒れていった 心優しき者達…
 浮かんでくる、パーパ、乱世、忍、リキッドの姿。
もう誰も失いたくないから オレは前へ進もう…
 浮かんでくる、ミイ(ヒーローの奥さんな女の子)の姿。
キミを守りたいから 前へ進もう!
 ヒーローとバラクーダの最後の決着!
その先に 希望(みらい)があるのだから!
 二つの力はぶつかりあい、爆発を起こす!!

 暗転、暗闇の中に漂うヒーローの姿。
終わった…
もう全部、終わったのかな…
 ヒーローがふと目をあけると…
ヒーロー「いッ…生きてる!!?ヒーロー生きてんのか――ッ」
 目を凝らすと、光の川が見えてくる。
ヒーロー「? なんだろ…あの光の川は??」
??(ヒ…ロー…)
ヒーロー「! そッ…その声は"赤い秘石"、そうかッ…あの光の川オマエらのカケラなんだなー。それじゃバラクーダは――…」
 その中にはバラクーダとシルヴィスの姿も見える。
ヒーロー「……」
赤い秘石(よくやりました…ヒーロー。これでもう私達の役目も終わりました…)
ヒーロー「え…」
赤い秘石("赤"と"青"の秘石が地上に姿を現すことは、二度とないでしょう…)
ヒーロー「いーのかー、オマエら地上の人間の平和のしょーちょーなんだろー」
赤い秘石(大丈夫です…後継者はちゃんと誕生しましたから…これから希望を生み出していくのは、あなた自身なのですよ)
ヒーロー「まいったな――…ヒーロー秘石の子か――玉のよーな男の子だ…」
??「阿呆!くだらねーこと言ってんじゃねーよッ」
 ヒーローの尻を蹴っ飛ばす姿。それは死んだはずのリキッドであった。
ヒーロー「リキッドーっ!!!ど、ど、ど、ど、どーしてッツ」
リキッド「安心しろ!残念ながらまだ霊体だッ。それよか、アーン…オメエにしちゃ頑張ったよーじゃねーか愚弟!」
 リキッドもそう言いながらも誇らしげな笑顔を見せる。
リキッド「………よくやったな、ヒーロー!」
ヒーロー「リキッド…」
??「全くだぜ…」
ヒーロー「乱世!忍!」
 乱世と忍も近くに来ていた。
乱世「ホント、頑張ったなヒーロー…にーちゃん感心したぞ」
忍「と…友達も、みんなスゴイって…」
 忍の周りにはなぜか化け物たちが。
乱世「オーイ!憑れてくんなッツ、素直に成仏しろ!!!」
ヒーロー「ハ…ハハ、ユーレイになっても元気だなにーに達…でも…戦いは終わったけど…ヒーロー、ひとりぼっちになっちゃったよ」
 ヒーローは泣き出してしまう。
乱世「まだ気づかねーのかヒーロー…オメエがどーして助かったか…まわりをよく見てみな」
 ふと気づくと、ドラゴンが傍にいた。ヒーローの目から涙が止まらない。
ヒーロー「ああ…この光…知ってるよ、この暖かい力強さ…」

 一方地上界。リュウ・クラーケン・タイガー・サクラ・キリー・バードといった各世界の英雄たち、そしてリュウの弟・タツが力を合わせている。
タツ「とどいてるか…ヒーローたん!わしらの英雄覇奥義や!」
乱世「帰んな、ヒーロー。みんなのところへ!」

 そして平和が戻った地上界。
冥界が消滅し 魔層圏がなくなった事で
シルヴィスが呑み込んだ 地上は復活した――
そして 魔人に魂を奪われた人々も 皆 生き返った
??「ヒーロー!」
 ミイと彼女の母・アマゾネスが、
ミイ「んもォ〜ッ!まぁた ミイをほったらかして出かけてますのね〜ェ」
アマゾネス「んッまぁ――可哀相に、あたくしのミイちゃあ〜ん」

 一方天上界。
乱世 忍 リキッドの体には"赤い秘石"のカケラが入り込み――
新たな命が育ち始めている
 ガマ仙人(乱世の親友。柴田亜美氏の読み切り「変身王子ケエル」の主人公・ケエルそっくり)がため息を吐きつつも、
ガマ仙人「まさか、オムツもオレが替えんのかよ…、………早くデカくなりやがれ、乱世!」

 再び地上界。
"青い秘石"のカケラでバラクーダが復活する事だってあるかもしれないけれど…
最後に見た奴の姿は それを拒否しているように見えた――
 一本の折れた木の下。
ヒーロー「やっぱり……もし生き返ったら、必ずここへ来ると思った」
 ヒーローが涙ぐみながら、
ヒーロー「ゴメンね…ゴ…ゴメン…あ…あの時ヒーローは…」
??「……違うだろヒーロー」
 そこにはパーパの姿があった。
パーパ「おかえりなさいだ!」
 ヒーロー、パーパの胸に飛び込んでいく。
ヒーロー「おかえりパーパ!」

自由人HERO・完

inserted by FC2 system