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ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣
MAPFINAL:スターロード・マルス
 
※ゲーム「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」が原作ですがオリジナル要素もいくつか出てきます。また「ファイアーエムブレム」シリーズのコミカライズの例に漏れず、アリティアでの戦いで終わり、最終決戦まで進みませんので悪しからず。
 
(本文)
かつてその大陸が大いなる混沌に覆われた時
一人の英雄がそれをおさめた…
それから100年が過ぎ 大陸により邪悪な混沌が蘇った時
一人の少年が再びその暗黒の帳を引き裂いたという…
英雄の血と意志を受け継ぎ
英雄が持つことのなかった数多の仲間達に支えられた
その少年のことを後の人々はこう呼んだ…
英雄王マルス…と
 
アリティア城前。2年前の敗戦の時同様に雨が降る中、ホルスタット率いるドルーア軍が布陣している。それを見てオグマたち、
オグマ「さーて、いよいよ大詰めらしいぜ。ホルスタットの軍勢が動き出しやがった」
ナバール「数も力も違いすぎる。持久戦に持ち込まれたら負けだな」
オグマ「ああ、向こうが一気にこちらを叩こうとしてるうちにカタつけねえとな。…ああん?」
 北の砦でクラウス(オリジナルキャラクター。謀略をめぐらす魔道士)との戦いに赴いていたマルスたちが戻ってきた。
マルス「すまなかったオグマ、状況はどうなってる?」
オグマ「見ての通りさ。ちょうど始まるところだぜ。…それよりクラウスの方はどうした」
??「ケリがついたよ」
オグマ「お前…!」
 カインの姿を確認するオグマ。
??「後方にはもはや憂いなし、ってヤツさ」
 アカネイアパレスでの戦い以後、生死不明になっていた(厳密にはマケドニア王子・ミシェイルに助けられ彼の部下となるも、彼と袂を分かちマルスの下へ帰参した)アベルの姿を見て、
オグマ「アベル…!は…は…ははは!」
 マルスも敵の陣を遠目に見て、
マルス「新兵達にかけられた術も解かれた。残るは、ここだけだ」
ナバール「騎馬部隊を指揮するホルスタットもだが、城に引きこもっているモーゼスのほうが問題だ。これを叩かぬうちは戦いが終わらない。どうする」
マルス「決まってるよ。向こうが出てこないのなら、こっちが乗り込むだけだ」
オグマ「いつものヤツだな。じゃあそいつは俺が…」
マルス「オグマ、すまないが私にやらせてくれ」
オグマ「マルス…?」
マルス「私は今まで、皆に支えられてここまで来た。そして、これからもそれは替わらないと思う。でも…今回だけは自分の力でやらければいけない。自分の力で自分の国を取り戻せないような人間に、この大陸を解放に導くことなんてできはしないんだ」
オグマ「しかし」
マルス「ここは私の故国だよ。大丈夫、心配はいらない」
 マルスの決意は固いようだ。カイン、アベルも同意する。
オグマ「分かった。じゃあ騎馬部隊は任せておけ。で、マルスの援護はカインとアベルと…」
??「私がやります!」
 シーダも姿を現わす。
マルス「シーダ…」
シーダ「空からの援護は必要だと思います。私がやります」
 シーダも決意は固いようだ。
マルス「…分かった、頼む」
シーダ「はい!」
オグマ「んじゃあ、始めましょうかね…!」
 
ドルーア城。
 メディウスとガーネフが話し合っていた。
ガーネフ「いよいよだな。ここで止めることができなければ、ヤツは本当の…」
メディウス「いや、そんな筈はない…ヤツが…マルスがアンリの再来などと…そんなことは有り得ぬ」
ガーネフ「だといいのだがな…」
 ガーネフの見ていた水晶玉にはアリティアでの戦いが映し出された。
 
 早速始まるホルスタット率いる騎馬部隊との戦い。
 ナバールの剣が、ドーガの槍が前衛を倒す。
リンダ「オーラ!!」
マリク「エクスカリバー!!」
 リンダのオーラ、マリクのエクスカリバーも敵陣を薙ぎ払っていく。
パオラ「カチュア!エスト!」
パオラ・カチュア・エスト「トライアングルアタ――ック!!」
 ペガサスナイト三姉妹の必殺技がさらに追撃をかけていく。
 
 そして、マルスたちはその隙を見てアリティア城へと向かう。
アベル「おい、カイン。ケガ人だからもたもたしていいってのはナシだぜ」
カイン「なにおぅ!お前の方こそ足引っ張るなよな!」
 シーダは上空からペガサスに乗り、マルスたちに随行していく。
 
 再び騎馬部隊との戦闘の場に舞台は移る。
オグマ(よ――し、マルスはうまく突入できそうだな。あとは…)
 その時、1人の敵兵が忍び寄るが難なく倒すオグマ。
オグマ「…と!おらおら、どいたどいた!邪魔なんだよ!」
 敵兵達はたじろぐ。
オグマ「おっと、大将はあんたかい?」
 敵の指揮官・ホルスタットの元にやってきたオグマ。
ホルスタット「貴様は?」
オグマ「お前さんの敵だよ。ちょいと暇を持て余してるんでね、相手をして貰いてぇんだが?」
ホルスタット「傭兵か、そんな戯れ言につき合う気はない」
オグマ「じゃあ無理にでも、つき合ってもらうぜ!」
 そういって打ちかかるオグマ。受け止めるホルスタット。
ホルスタット「むうぅ…!」
 その強さを認めたのか、馬を降り一騎討ちに応じるホルスタット。
ホルスタット「なるほど、確かにつき合ってみる価値がありそうだな」
 睨みあう2人。敵兵も手出しをせず、見守っている。
 
 一方アリティア城に到着したマルスたち。かつての美しかった城は占領下で荒らされていた。
アベル「ずいぶんと内装が荒らされてるな…」
カイン「ちくしょう、好き勝手やりやがって!」
アベル「王子、どうします?モーゼスはおそらく玉座の間にいると思われますが」
マルス「できれば真っ直ぐ向かいたいが…」
 その時聞こえる足音。城の守備に残っていたドルーア兵たちが侵入者を撃退するため迫ってきた。
アベル「そうもいかないみたいですね」
カイン「くそっ、まだこんなにいやがったか!」
 ドルーア兵たちを倒していくカインとアベル。
アベル「さ、ここは我々がくいとめますから今のうちに…!」
マルス「しかし…!」
カイン「行って、けったいなマムクートをぶっ殺してやってください」
マルス「…分かった、すまない」
 マルスは城の奥へ消える。残ってドルーア兵たちを迎撃するカインとアベル、
アベル「ところでカイン、お前ますます下品な言葉づかいになってないか?」
カイン「なにおうぅ!」
 
 城の渡り廊下を走るマルス。
シーダ「マルス様!」
 シーダがペガサスに乗ってやってきた。
マルス「シーダ」
シーダ「天馬(ペガサス)にお乗りください。王宮の間のバルコニーまでお連れします!」
 マルスもペガサスに乗り、飛び立つ。
マルス「すまないシーダ、君まで危険なことに巻き込んでしまって」
シーダ「いいえ、嬉しいんです私。だって約束を守れたんですから」
マルス「約束…?」
シーダ「はい。いつかマルス様をお乗せして、どこまでも飛んでいくって。今なら私、どこまでだって飛んでいけそうです!」
 マルスも何かを決意したのか、ふと、
マルス「シーダ…私はね…」
シーダ「え?」
マルス「…いや、なんでもない」
 そうこうしている内にバルコニーが見えてくる。
マルス「あそこだ、あそこにおろしてくれ!」
 その時、柱の陰からスナイパーが矢を放った!
マルス「!!危ない!」
 シーダを庇うマルス。ペガサスは翼に矢を受け墜落するも、幸いバルコニーに墜ちた。
 マルスは即座に突進し、敵兵を一刀に斬り捨てる。
マルス「大丈夫かシーダ!」
 見ると、シーダは墜落の時に足をひねってしまったようだ。
シーダ「うっ…大丈夫です。少し足をひねっただけです」
マルス「ここにいてくれ。すぐに帰ってくるから」
シーダ「え…」
マルス「君には、しっかりと見ていて欲しいんだ。いいね」
 一瞬、マルスの手にした剣が神剣ファルシオンに見える。
シーダ「!!…え!!あれは…?」
 
 一方戦場の方では、オグマとホルスタットの一騎討ちが続いていた。
ホルスタット「なかなかやるな…ただの傭兵ではあるまい、名を聞いておこうか」
オグマ「紋切り型のセリフはよせよ。それよりそろそろオシマイにしていいか、もう十分時間稼ぎはさせて貰ったからな」
ホルスタット「なに!?」
オグマ「ちょいと戦力に乏しかったんでな、援軍の到着を待たせて貰ったのさ。ほら」
 ホルスタットが後ろを向くと、ハーディン率いるオレルアン軍が戦場に到着していた。
ホルスタット「むむっ!オレルアンの…!」
オグマ「てことだ。じゃあ悪いけどな」
ホルスタット「おのれ!」
 ホルスタットは破れかぶれにオグマに斬りかかるが、オグマはあっさりと反撃する。
ホルスタット「ぐわああ…!」
 ホルスタットは倒れる。オグマ、ハーディンに挙手して、
オグマ「さーて、あとはマルスだが…」
 
 アリティア城玉座の間。マムクート・モーゼスが待ち構えていた。
モーゼス「愚かな小僧だ。一人で乗り込んでくるとはな…!しかし、ここは貴様の死に場所としてふさわしいのかもしれん」
マルス「…私はここに帰って来た。全てが始まったこの地に。そして、ここからまた始めるんだ。アカネイア大陸を解放する為の、本当の戦いを…!」
モーゼス「夢でも見ておるのか。貴様にわしは倒せん、ここでくたばるが良い。貴様の母がそうであったようにな」
 モーゼスの魔竜の炎がマルスを襲う。しかし、
モーゼス「なに!?馬鹿なっ!」
 炎を受けたのに無事なマルス、
マルス「ドルーアの野望は必ず叩き潰す。私がこの手で!」
 モーゼスは再び攻撃しようとするが、異変に気づく。
モーゼス「なに…!そ、それは、神剣ファルシオン!」
 マルスはファルシオンを構え、突進する。
モーゼス「馬鹿な!そ、そんな筈が…っ!!」
 マルスの剣閃がモーゼスを斬り裂く!!
モーゼス「馬鹿なあああああ!!!」
 モーゼスの断末魔が響き渡る頃、戦場のほうも決着が付き、皆が空を見上げていた。
シーダ「…雨が、…あがった…」
 雲の切れ間から光が差し込んでくる。そしてマルスがシーダの元に戻ってくる。
シーダ「…スター…ロード…?」
 マルスが微笑む。
シーダ「マルス様!!!」
 マルス、シーダを抱きしめる。シーダも身を預け目を閉じる…
 
 空が晴れ渡ると共に、アリティア城では宴の準備が始まっていた。
リカード「わ――い、宴っす宴っす(はぁと)いままでで一番大きな宴っすよー」
ジュリアン「こらっ、はしゃいでないで手伝えよ!」
 一方オグマとハーディン、
オグマ「助かったぜ。あんまりいいタイミングで現れたんでちょっとビックリしたがな」
ハーディン「途中いろいろてこずったのだ、遅れてすまない」
オグマ「いいってことよ」
ハーディン「それにしてもマルス殿はどんどん逞しくなっていく。もしかしたら民衆が噂してる通り、本当のスターロードなのかもしれんな」
オグマ「なんだいそりゃ?」
ハーディン「闇の時代に終わりを告げる、光の王子のことだ」
オグマ「へっ、光の王子…ねぇ」
 オグマもふっ、と笑う。
 
 一方アリティア城の中庭。マルスが鳥たちと一緒にいる。
シーダ「マルス様…」
マルス「呼び出してごめんよ、シーダ。ここはね、私がいちばん好きな場所なんだよ。いつもここにいて、よく姉上に叱られたものさ」
 再び取り戻された穏やかな雰囲気の中、マルスは決意を告げる。
マルス「シーダ、私はすぐにまた出立しなければならない。戦いはまだまだ長いからね」
シーダ「……」
マルス「もっともっと戦いは厳しくなっていく。今まで以上に大変なものになるだろう。だから君には」
シーダ「…いいえ!私は何があってもついて行きます!マルス様がなんとおっしゃろうと、ついて行きますから!私は…私は…」
マルス「違うよシーダ。シーダにはこの戦いの最後まで一緒にいて、そして戦いが終わったら、私と一緒にここに戻ってきて欲しいんだ。この…アリティアへ」
 マルスもどこか恥ずかしげに顔を赤らめる。
マルス「ご、ごめん、シーダ、その…」
シーダ「いいえ、嬉しいんです。ありがとう…ございます…」
 
でも…そんなのとっくに決めていました
私はマルス様のそばにいたい
何があっても どんな時でも
私は絶対に その笑顔を 信じて行くんだって…!
 
そして伝説は… 永遠に語り継がれる…
 
(ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣・FIN)
 
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