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●前回のあらすじ

風間響と魔鬼を人柱として復活を遂げた大魔に挑む巴とお頭。

死闘の末、巴の命をかけた正心と魔鬼の導きを受けた響は、大魔の支配から解き放たれた。

そして、実体化した”魔”は人柱である魔鬼とともに浄火によって天へと還り、
ここに封魔と”魔”の長きに渡る宿命の戦いは終わりを告げたのである・・・・・・













●十三の巻 It will be fine tomorrow










  (大きな石碑の前に頭をたれる封魔のお頭と風間姉妹)

お頭「大魔に体奪われ封魔によって斬られた魂たちを、長い間ここで供養しているつもりだった・・・・・・」
  「しかし・・・・・・いや姫妖を人として弔う事で初めて、真の供養となったのかもしれんな」
  「あの男が姫妖によって作られた乱世より受け継がれし負の遺産・・・・・・」
  「この無限地獄からようやく抜け出すことができたのだな」

  (魔鬼の姿を思い浮かべる巴)

お頭「理不尽と言えど邪念抱けば悪となり、こらえて正心貫けば善となる」
  「真、善と悪とは表裏一体・・・か・・・・・・」
  「お主ら、ようこらえたな響・巴・・・・・・」
巴「時代劇魂がありますから!!」

  びしぃ(眼を輝かせサムズアップをきめる巴)

巴「さあさあいざ!! 学業に勤しむでござるよー」
響(誰?)

  おー(普段とは別人のように気合の入っている巴の姿に唖然とする響)

響「巴ちゃん ああやって自分を鼓舞しているんですよね・・・・・・」
お頭「さすが双子 知っておったか・・・」
  「全く・・・・・・血もつながっておらんというのに真一によくも似とる・・・・・・」

  (15年前、大魔を封じるためにその命を投げ出した姉妹の義父・真一の姿を思い浮かべるお頭)

響「ーーーーーでも巴ちゃん・・・・・・やっぱりまだ辛そう・・・」
お頭「なぜ分かる?」
響「巴ちゃん・・・・・・封魔の使命を終えた後いつもリボンが上手く結べないんです」
 「今回は特に変・・・・・・」

  (響の言うとおり、やたらと大きなリボンで髪を結んでいる巴)

響「もし巴ちゃんが私と同じ気持ちなら・・・・・・」
 「この戦いでかけがえのない大切なものをたくさん失ってまで、何が自分たちに残ったのか・・・・・・」
 「自問自答しているしているのかもしれません・・・・・・」





  (こちらは風間姉妹が通う学校)

ユミ「おっはよ〜〜ん」
  「ちょっとちょっと知ってる? この辺りが発祥の都市伝説!」
巴「都市伝説?」

  ちうーっ(牛乳を飲みながら話を聞く巴)

ユミ「不良を始めとする世にはびこる悪党が、次々と鬼のような化物に変身するんだって!!」
巴「ぶっ」「ーーーーーーーーはい?」
響「ひあーっ」

  (驚きのあまり牛乳を吹いた巴。それを顔面に食らった響)

ユミ「この町は今、空前の都市伝説ブーム!!」
  「新聞・TV・ラジオがこぞって取材合戦している状態なのよ!」
巴「そ・・・・・・そう熱く語られても・・・」
響「ちょっと・・・・・・コメントに困っちゃうかな・・・?」
ユミ「何よ〜〜〜風間姉妹は否定派なワケ〜〜っ」
巴「ーーーっていうかユミちゃんがノリノリな方が不可解なんだけど」
ユミ「じ・つ・は」
  「私 見た事あるのよ・・・・・・その『鬼』を!!」
巴・響「「ええ」」

  くわっ(懐中電灯で顔を照らし、火曜サスペンス劇場のBGMで雰囲気を盛り上げるユミ)




ユミ「あれは中学最後の冬休みーーーーー」

  「そいつは暗がりから突然現れて」

  「私に襲いかかってきた・・・」

  (回想シーン。化物に襲われ腰を抜かしているユミ)

ユミ「その時!!」

  「2人の女の子が現われてーーーーーー」

  「私を助けてくれたのーーーーーー」

女の子「早く逃げて!」

  (化物の前に立ちふさがる2人の女の子)



ユミ「『信じて』とは言わないわ。私だけが信じていればいいんだもの」

  (眼を輝かせて美しい思い出にひたるユミ)

巴(間違いないー)

  (何やら心当たりのある風間姉妹。小声で話し合う)

巴「私たちが封魔と認められて初めて戦った時のあの子が」
響「ユミちゃんだったのね・・・・・・」
ユミ「あの時の2人・・・・・・どんな人だったかシルエットでよく分からなかったけど」
  「なんとなくあなたたち姉妹に似てた気がして・・・入学式の時に思わず声かけちゃったのよね・・・」
巴「ユミちゃん・・・・・・」
ユミ「ずっと言いたかったんだ」
  「”ありがとう”って・・・・・・」
  「おかげでいい友達もできちゃったしね」

  (Vサインをしてみせるユミ。涙を浮かべてユミに抱きつく巴。笑顔を浮かべる響)

  (そして・・・・・)







「5年後」







  (都成大学にて特撮研究会の特別公演”スペースシルフショー”が行われている)

  (主演は高校時代から勤めている風間姉妹だ)

響「死ねスペースシルフ!!」

  (悪の女戦士を演じる響。巴演じるスペースシルフを追い詰める)

巴「もう・・・・・・やめて・・・・・・」
 「正義の心を取り戻して!!」

  (盛り上がる舞台。高校からそのままらしい研究会の部長が涙を流して絶叫する)

部長「満員御礼!!」「我が特研は永遠に不滅ですーーーーーッ」

巴「きゃああ」
部長「スペースシルフピーンチ!!」
  「さあ会場の皆!! 力を貸してくれ!! 君たちの声援が必要なんだ!!」
子ども達「「「がんばれスペースシルフーッ」」」

  (追い詰められたスペースシルフに声援を送るたくさんの子ども達)

巴(ああここは正心に満ちている・・・)

  うっとり(正義を愛する子供たちの声援に聞きほれる巴)


「天上の父上母上・・・・・・」

「私たちの代で封魔は休業となりましたが・・・・・・」

「あの頃志した響ちゃんとの目標は」

「5年たった今現在も実践中です」


  (あの頃の志・・・それは・・・)

響「魔を斬るだけでなく・・・・・・人々に魔に転じない正心を伝えよう」
 「この特研で!!」

  (人々に正しい心を伝えようとする姉妹の想いは、今も変わることが無い・・・)





  (公演が終了した特撮研究会)

「お疲れ様でしたーーーー」

部長「まさか・・・・・・」
  「あの特研がここまで成長しようとはーーーーーーっ!!」
  「これも全て風間姉妹のおかげ・・・・・・なんとお礼を言っていいのかーーーっ」

  おおおおおお(感極まって涙を流しまくる部長以下、特研の面々)

巴「何言ってるんですか、こんなやりがいのある仕事・・・・・・他にありませんよ!」
部長「おおお風間君!! 君は特撮界の宝だ〜〜〜〜〜!!」

  たたたた(盛り上がりまくる部長だがそこに誰かが走ってくる)

?「スペースシルフキーーーック」
部長「のわーーーーッ」

  べギャ(走ってきた誰かがいきなり飛び蹴りを放ち、顔面に食らう部長)

部長「だ だれだっ」
男の子「スペースシルフに近づくな!!」
部長「ととと突然なんですかこのお子様はーーーーっ!!」

  (部長に蹴りをかましたのは小さな男の子)

響「僕 どうしたの〜〜〜?」
巴「お父さんお母さんは・・・・・・?」

  ゴソゴソ(姉妹の質問に答えず胸まさぐる男の子)

男の子「サインくれ」

  (色紙を取り出す少年)

巴「よろこんで(ハート)」

  (背景にバラをまきちらせてやる気満々の巴。思わず引いてしまう男の子)

巴「ーーーーーで僕 お名前は?」
男の子「巻」
   「巻一郎 4才です」
巴・響「「・・・・・・え・・・っ?」」

部長「ム・・・・・・確か高校の時、そんな名前の先生いたぞ」
部員「ああ いたいた」

巴・響(これってまさか・・・・・・・・・)

  (5年前、魔とともに天へと還った魔鬼(巻) 彼と同じ名前を持つ少年は、その姿にも面影があった・・・)

  クスッ(溢れた涙を拭う巴)

巴「よ〜〜し!! 少年よ心に大志を抱け!!」
 「この私が正心をたたき込んであげちゃうわよ(ハート)」

  (不思議そうな少年を脇に抱える巴)





巴「あ そうだ部長!」
 「次の演目・・・・・・忍者なんかどうですか?」










BLAZE〜ブレイズ〜 END








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