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B'T Xの最終回


【解説】
B'T XはTV放送後、その続編であるビデオ作品「B'T X NEO」で物語が完結します。
ここではTV版の最終回を紹介します。


前回のハイライト。

鉄兵「俺とエックスの前に立ちはだかった七魔将の一番手、ミスリムとB'Tラレーニャ。だが、俺とエックスが一体となって生んだ、シャイニングナックルとシャイニングウィングが遂に炸裂した。そんな俺を見た鳳と北斗が、俺は数百年に1人の、まさしく太陽のかけらを持った男だと言った。俺は鋼太郎兄ちゃんに、自力で光れる男になろうと教えられ、俺なりに燃えて生きてきたつもりだけど、まさか俺の体内に太陽のかけらなんてものがあったなんて!」
ロン「エリアへ向かいたければ、この俺を倒してから行けぇっ!」


第25章
打倒! B'Tビートラファエロ


鉄兵「ロン! お前も立ちはだかるというなら、この七魔将の前にまずお前を倒す!」
ロン「フン」
鉄兵「だがその前に聞きたい。エリア中心部にあるラファエロって何なんだ!?」
北斗「機械皇国が作り上げた究極のB'T……そして、このまま巨大化すれば、地上全てを食い尽くす恐るべき存在……!」
エックス「何、地球全てを!?」
鉄兵「そんな怪物のいるところに、兄ちゃんが連れ去られたのか!」
鳳「何度も言うが、お前の使命はお前の兄を助け出すだけではない」
鉄兵「俺の使命?」
北斗「そうです。君が太陽のかけらを持つ、選ばれた男である以上、鉄兵……君こそラファエロを倒す希望の光なのです」
ロン「しかし信じられん! この鉄兵が……我ら四霊将を凌ぐとも限らぬ可能性を秘めているとは!」
北斗「ロン、あなたもその目で見たはずですよ」

地上にミスリムのB'Tラレーニャの残骸が転がっている。

北斗「七魔将のミスリムを倒したのは誰あろう、この高宮鉄兵なのです」
ロン「フッ……確かに以前より、全てにおいてステータスは上がったようだな。だがこの東のロンにとって……まだまだ敵にはなり得ない!」
鉄兵「フン! 四霊将のロンだなんて偉そうに言ったって、所詮機械皇帝の手下に過ぎないんじゃねぇか!」
ロン「何ぃ……!?」
鉄兵「だってそうだろ! ラフェエロって怪物に大勢の人々が食い物にされようってときに、命じられるままに黙って見殺しにしようっていうんだからなぁ! 第一お前たちだって、ラファエロに食われてしまうかもしれないんだぞ!」
ロン「機械皇帝に忠誠を誓ったときから、いつでも死は覚悟している」
鳳「ロン、お前ほどの男だ。よくよく考えての事。もはや議論をしても仕方あるまい。しかし、これだけは言っておく。正しき道なき忠義などに、何の意味があろう! ただ愚かなだけだ!」
ロン「正しき道……!?」
鳳「そうだっ!」

逆上するロンが鳳に攻撃を加える。
B'Tジュテームと雷童が激突。凄まじい戦いに大地が震える。

鳳「ラファエロなどという化け物を生み出した機械皇帝が、神か、それとも悪魔か、私は真実が知りたいのだ。そのためには、誰であろうと妨げる者は容赦しない!」

ロンの脳裏に、ミーシャに謁見したときの自身の言葉が蘇る。

(今倒すべきは鉄兵でも華蓮でも、ましてや鳳でも北斗でもありません。このロンにお命じ下さい。どうか『ラファエロを討て』と!)

北斗「私は戦いは好みません。しかし華蓮の意志に報いるためにも、鳳や鉄兵と行動を共にするつもりです」
ロン「華蓮の……意志?」
北斗「鉄兵という光を最初に見つけたのは華蓮です。そして華蓮は今も神居島で、ラファエロを倒す光を捜し、彼女なりに懸命に戦っているのです」
鉄兵「華蓮も戦っているって……!? どういうことだ!」


機械皇国エリア中央。
ラファエロが暴走して施設を破壊し始め、人々が逃げ惑う。

アラミス「ラファエロを阻止できる可能性を持つ唯一の人物、高宮教授はアンダーヘルへ。もはや望みはないのか……? いや、あと1人……華蓮の脱走がラファエロの細胞に関係ある以上、彼女が何らかの情報を握っていることは間違いない。我々ではラファエロの破壊はおろか、その増殖も止めることが出来ぬ今、エリアの危機を救う僅かな望みでも、華蓮から得ることが出来れば……」

アラミスの脳裏に過去が蘇る。

アラミス「あれから、5年……」


過去の回想。

ラファエロの育成ドーム内に、少年兵たちが見学している。

「気持ち悪ぃよ……」「何、これ」「B'Tだって」「B'T? じゃぁ味方だ、何もしないよね」「うん」

子供たちの中に、幼い日の華鈴の姿も。
隣では友人のレナが泣いている。

レナ「早くここから出たい……」
華鈴「どうしたの、レナちゃん」
レナ「華鈴ちゃん……」
華鈴「大丈夫よ、そんなに心配しなくても。ね?」

ドーム外で監視しているアラミスのもとへ、華蓮が駆けつける。

華蓮「アラミス少将!」
アラミス「どうした華蓮、勝手に持ち場を離れるな」
華蓮「子供たちを……幼年部の子供たちをドーム内に入れるとは、どういうことですか」
アラミス「見学させろと、上からの命令なのだ」
華蓮「危険だ! ラファエロはメカでありながら、地球上のあらゆる生命体を吸収し、僅か数週間で信じられないほど成長しています。今のところは昆虫や小動物がエサとは言え、この先どう変化をするか、予測もつきません! それどころか、このラファエロのデータは何です!?」

手にした書類のファイルを叩く。

華蓮「すべて未確認、もしくは測定不能とは!? ラファエロとは一体、何者なんです!?」
アラミス「宝だ。この地上を統一する人類の宝であるから、一切の疑問を持たず、大切に育成せよとの、上からの命令なのだ」
華蓮「しかし……」
アラミス「華蓮。西の霊将ともあろう者が皇国の批判など、みだりにするな。お前自身のためにもな。よし、見学はこのぐらいでいいだろう。ドームから子供たちを出せ」
兵士「了解」

ドーム出入口が開く。

兵士「見学終了。ラファエロを刺激せぬよう、静かに出て下さい」
華鈴「ね、何もなかったでしょ? レナちゃん」
レナ「うん、ありがとう華鈴ちゃん」

華蓮「華鈴……」
アラミス「そうか、あの子はお前の妹だったな。心配するな華蓮。これも子供たちを立派な戦士に育てるための、教育のひとつなのだ。我らの皇帝のなされることに決して、間違いはない」

そのとき、ラファエロに異変が。
触手を伸ばし、子供たちを次々に捕らえてゆく。
そして、レナも華鈴の目の前で捕らえられてしまう。

レナ「華鈴ちゃーん!」
華鈴「レナちゃーん!」

兵士「アラミス少将!」
アラミス「バカな! これは……一体!?」
華蓮「華鈴!!」

子供たちが次々にラファエロに吸収されてしまう。
ただ1人残った華鈴にも、ラファエロの触手が迫る。

そのとき、ドーム内に突入した華蓮がそれを防ぐ。
トリプルロッド(三節棍)で果敢に触手に挑むが、その猛攻の前にトリプルロッドを吹き飛ばされる。
すかさずコンバットナイフを抜いて、触手に切りかかる。

華蓮「化け物めっ……!」

凄まじい力の前に、華蓮も吹き飛ばされてしまう。

華蓮「対戦車用の……バトルナイフも通用しないとは……何をしてる、逃げるんだ、華鈴!」

怯えきった華鈴は動くことが出来ない。
これまでかと思われたとき、突然ドーム内に光が差し、触手の動きが僅かにゆるむ。
アラミスが出入口からサーチライトを照らしたのだ。

アラミス「今だ! 早く出ろ!」

とっさに華蓮が、華鈴を捕まえてドームを飛び出す。
すかさずアラミスが出入口を閉める。

華蓮「ケガはないか……華鈴」
華鈴「あ……あ……あなたは……だぁれ?」
華蓮「華鈴? 華鈴……華鈴!」
華鈴「あなた……だぁれ?」
華蓮「お前の姉さんじゃないか!」
華鈴「嘘ぉ……あたし、知らなぁい……」

華蓮「華鈴──! 華鈴──! 華鈴──! 」


独房に囚われた華蓮。
北斗が面会にやって来る。

北斗「可哀想に……幼い華鈴にはよほどショックだったのでしょう。残念ながら、記憶喪失のようです」
華蓮「記憶喪失……」
北斗「色々治療を施してみましたが、医学より、今のあの子には精神的なケアが必要なようです。そこで鳳が引き取ってくれました」
華蓮「鳳が!?」
北斗「フッ……どうやらこんなときには医者よりも、聖職者の方が役立ちそうです。大丈夫ですよ、きっと良くなります。だから華蓮、投げやりになってはいけませんよ」


現在、神居島。
華蓮が海底の調査を行なっている。

華蓮「もし鉄兵に出会ってなかったら……恐らく私は、ヤケを起こして諦めていたかもしれない……しかし、鉄兵という光が、私に希望を与えてくれたんだ……」

神居島中央の大樹を見上げる華蓮。

華蓮「そして、私は確信した。鉄兵と鋼太郎の育ったこの神居島こそ、この大樹こそ、私の求めていた光ある物……ラファエロを倒す光が存在していることを……」


機械皇国。

エックスと雷童が激闘を繰り広げている。

雷童「ロン様。確かにエックスのステータスは、以前とは比べ物にならぬほど高まっています。しかし、この雷童の戦闘能力の前には……」
ロン「油断をするな雷童!!」
鉄兵「まだまだぁ! 来いロン!!」

ロン (わからん……本当に鉄兵とは、ラファエロを倒す可能性を秘めた男なのか……? 我ら四霊将が、一目置くに値する男なのか……?)

エックス「俺は信じるぞ。お前の中に見た太陽のかけらを!!」
鉄兵「ブレイク・オ──ンッ!!」

エックスから五色の燐光が放たれる。

雷童「ロン様、ガードシステムが限界です」
ロン「望むところだ……見定めてやる」
鉄兵「俺と共にここまで来てくれた、エックスのためにも戦うぞ!!」
ロン「よし! 来い!!」

エックスの燐光と鉄兵の輝きが、鉄兵の拳に、エックスの翼に集中する。

エックス「シャイニング・ウィ──ング!!」
鉄兵「シャイニング・ナックル──!!」

エックスの翼から光の翼が、鉄兵の拳から光の鉄拳が放たれる──。


機械皇国中央。

ラファエロの暴走の前に、兵士たちはなすすべもない。

放送「ブロックX3Cのコントロールシステムが作動不能」「ドーム内の冷却水が地下に流出中、警告を発します」

アラミス「エリアの崩壊が始まるとすれば……最後まで、私は見届けよう」

地下採掘場アンダーヘル。
独房の鋼太郎が、ラファエロの謎を解くため、壁面に数式を書いて必死に計算を続けている。
既に漏れた冷却水が独房内に満ち、アミーゴが鋼太郎を肩車で担いで支持している。

鋼太郎「光だ……この光の数式が解ければ、ラフェエロの弱点を突くことが出来る……待てよ、これは! かつて神居島に残してきた、あのデータ! そうか、そうだったのか……」


地上。

ロンの槍が宙を舞い、地に落ちる。

ロンが血を吐いて地に伏している。
そして鉄兵も地に伏し、胸のバトルギアが剥げている。

エックス「鉄兵……ガードシステムを、破られたな……さすが、東の霊将……」
北斗「しかし……これ以上戦えば、ダメージの差は明らかになるだけ」
鳳「北斗の治療がいるのはどちらか……フッ、気の済むまでなるがよい」

立ち上がって槍を構えるロン。
鉄兵も立ち上がり、ロン目掛けて突進。
繰り出される鉄兵の拳──

しかし、その拳をロンは掌底で受け止める。

雷童「!?」

ロンの口から、そして鉄兵の口からも笑みがこぼれる。

エックス「フッ、雷童。分析などできはしまい」
雷童「何?」
エックス「無限の可能性を秘めた者までを、俺たちメカが見ることは、不可能なのだ」
ロン「やはりお前たちの目は、節穴ではなかったようだな。鳳、北斗……そして、華蓮もな」

雷童に飛び乗るロン。

ロン「俺も真実が知りたくなった。正しき道はどちらにあるのか……そして、本当にお前が希望の光となるのかどうか……」
鉄兵「ロ、ロン……!」
ロン「七魔将は、我ら四霊将が抑える!」

ジュテームが、マックスが、雷童が飛び立つ。


エックス「人間の意志というのは凄いな。お前は自分の意志で、太陽のかけらを目覚めさせた。人間は本来、意志次第で何でもできるのではないのか。俺たちB'Tは、設定された以上の力を自分の意思では出せない。しかし人間の可能性は……意志の力で可能性は、無限に広がるんだ!」

鳳「北斗……ロン……これだけでは済まんな。恐らく、鉄兵が太陽のかけらを持っていたとすれば、この先まだ……」
北斗・ロン「ブレイクする……」
鳳「そうだ。とてつもなくブレイクする気がする。そのブレイクがどんなものなのか、鉄兵自身も気づいてはいない……」


鉄兵「ネオ・バトルギア──ッ!!」
エックス「オ──ン!!」

バトルギアを装着する鉄兵。
エックスと共に、再びエリア中央へ向けて飛び立つ──。


エックス「人間は素晴らしいぞ、鉄兵! 可能性は、無限にあるんだ!!」


End
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