ブルースワットの最終回

ブルースワットの最終回

(ナレーション)

遂にベールを脱いだクイーンの最終作戦。
巨大彗星が地球に衝突するまで、あと24時間!
ブルースワットはそれを阻止できるのか!? 地球を救えるのか!?

グッバイＢＳ

戦闘の最中、地雷を踏んでしまったシグ。
足を離せばスイッチが入って爆発してしまう。
ショウとサラは、シグに託されたスペーススワットの証「戦士のナイフ」を使ってシグの足元の土を慎重に掘り、地雷を露出させる。
そしてシグの足と地雷の間に3人のナイフを差し込み、そのナイフの上に石を置いて固定する。

ショウ「問題はここからだ。いいかシグ、1･2･3で足を離すんだ」
サラ「大丈夫、きっとうまくいくから」

シグの左手をショウが、右手をサラが握る。

シグ「ショウ! サラ! 私は忘れない……決して忘れない! あなたたちとの絆を!」
ショウ「よぉし、行くぞ! ワン!」
サラ「ツー!」
シグ「スリー!」

一斉にジャンプする3人。
シグの足は地雷から離れたが、石で固定されたナイフが地雷のスイッチを抑えているため、起爆しない。
すかさず3人はディクテイターを撃ち、地雷を始末する。
爆発。ひとまず危機は回避できた。

ショウ「これで戦士のナイフも消滅しちまったか」
サラ「せっかく、シグに貰ったのに」
シグ「3本のナイフがひとつになって戦った……戦士のナイフにふさわしい最期です」

そこへセイジとスミレが駆けつける。

セイジ「皆! 敵のクイーンのアジトがわかったよ!」
スミレ「反撃のチャンスよ!」
ショウ「何!?」

入院中のザジを見舞うシグ。

シグ「ザジ……行って来る。最後の戦いだ!」

ガバナーの車内。

ショウ「間違いねぇんだな、セイジ!?」
セイジ「彗星へ向けて、地球上から強力な誘導電波が発信されてるんだ。念には念を……何が何でも地球に彗星を衝突させる。クイーンらしい執念深さだよ」
スミレ「その発信装置のある場所がアジト、間違いない」
サラ「誘導電波の発信を阻止できれば、SS70のレーザーで彗星の軌道を変えられる、そういうことね」
シグ「賭けましょう……私達に残された、この最後の切り札に!」
ショウ「最終決戦だ! 行くぞ!」
一同「OK!」

ブルーストライカー、インターセプター、ガバナーでアジトへ急行する一同。
それぞれの胸中に、今までの戦いの記憶が蘇る。

サラ (これで……やっと私の放浪の旅が終わる。いいえ、そんなものはとっくに終わってたんだわ、1年前に。私の帰るべき場所は、ここにこそあった。私は守る! 大切な場所を! 地球を!)
セイジ (皆と出会って、僕は1人ぼっちじゃなくなった。天才なんて言葉より、仲間が僕は欲しかった。そしてそれを僕は手に入れたんだ!)
スミレ (ちっとも役に立てなかったけど、いつも迷惑ばかりかけてたけど、皆といられて嬉しかった。『ありがとう』しか浮かばない……)
シグ (様々な出会いがあった……ショウ、サラ、セイジ、スミレ、ザジ。そしてザジの父である広瀬剛……あなたとの出会い。私は今人間となる。広瀬剛、あなたと共に父となった。人間として、父として、私は戦う!)
ショウ (遂に来るとこまで来ちまった……長いようで短い、あっという間の1年だったぜ。だが、まだ終わりじゃねぇ! 俺たちの星を、地球を、エイリアンなんかに渡してたまるか! クイーン……この手で叩き潰してやる! 破壊してやるぜ!)

とある荒野に到着した一同。
岩山目掛けてショウがバズーカを放つと、岩山が崩れ、隠されていた入口が姿を現す。

ショウ「クイーンはあの奥だ! セイジとスミレはSS70のスタンバイだ。俺たちが誘導電波の発信装置を叩いたら、即、レーザーを彗星にぶち当てろ!」
セイジ・スミレ「ラジャー!」
サラ「行くわよ!」
ショウ「よっしゃ! ブルースワット・ゴー!」
サラ・シグ「OK!」

ショウたちはアジトに侵入。
セイジとスミレはガバナーで監視衛星SS70を操作する。

スミレ「SS70スタンバイ!」
セイジ「OK!」

アジト内。
迎え撃つエイリアンを蹴散らしつつ、奥へと進むショウたち。
そこへクイーンの側近2人が現れる。

側近「何人たりともここから先へは通さん!」「我々の命に代えても!」
ショウ「ざけんじゃねぇ! お前らの命に代えて通るんだよ!」

側近と戦いつつ、ショウたちはさらに奥へと進む。
そしてついにクイーンの姿。
その後ろには、誘導電波発信装置が。

ショウ「クイーン!」

クイーンの凄まじい攻撃に圧倒されるショウたち。
さらにクイーンの手が煌くと、ショウたちの体が地面に叩き付けられる。

ショウ「何だ、これは!?」
サラ「体が……重い……!」
シグ「じゅ……重力だぁ!」
サラ「凄い……重力が……かかってる……!」
クイーン「この星の新たな支配者クイーンに、許しを乞え! そして死ねぇ!」

クイーンの足がショウを踏みつける。

サラ・シグ「ショウ!」
ショウ「ざけんじゃねぇ……! てめぇ1人で、何が支配者だ! 何がクイーンだぁ!　この星は……地球はてめぇの玩具じゃねぇ!」

渾身の力を振り絞ったショウが、クイーンの足を持ち上げる。
そしてクイーンを抱え上げて振り回し、投げ飛ばして装置に叩き付ける。

側近たち「クイーン!」「クイーン!」
サラ「ショウ!」
ショウ「クイーン! あの世で自分に仕えな!」

3人のディクテイターが火を吹く。
装置が大爆発し、クイーンたちが火の海に包まれる。

サラ「撤収!」

スミレ「やったぁ! 誘導電波解除!」
セイジ「OK! SS70、レーザー発射!」

宇宙空間。
SS70の放ったレーザーが、彗星に命中。

セイジ「やったぁ～! やったよぉ!」
スミレ「命中よ、命中!」

アジトから脱出してきたショウたちのもとに、セイジとスミレが駆け寄る。
勝利を喜び合う一同だが……ふと、ショウたちが上空の異変に気づく。

スミレ「どうしたの?」
セイジ「まさか……」

雲間から見えるのは──

セイジ「あれは彗星……?」
スミレ「うっそぉ!?」
セイジ「そんな……どうして!?」
サラ「遅かったのよ……」
シグ「既に地球の引力圏に入ってしまっていたんです!」
ショウ「何ぃ!?」

彗星が地表に迫る。

ショウ「俺は……俺は信じねぇぞ! 地球が……人類が滅亡するなんて、信じてたまるか! 信じてたまるかぁっ!!」

ショウの怒りが時空を砕き、スターフォートレスが出現。
スターフォートレスからパルサーポッドが地球へと飛び立ち、その中から現れたゴールドプラチナムが地上に降り立つ。

ショウ「プラチナム!」
プラチナム「ショウ……これからは私がいなくとも、お前自身の意志でハイパーショウとなるのだ」
ショウ「どういうことだよ? ……まさか!?」
サラ「プラチナム、自分の命と引き換えに!?」
シグ「彗星の衝突阻止を、いや、破壊を!?」

静かに頷くプラチナム。

ショウ「冗談言うなよプラチナム! お前がいなくなったら、この宇宙はどうなるんだよ!?」
サラ「そうよ、あなたの助けが必要なのは私達だけじゃ……地球だけじゃないのよ!」
シグ「考え直して下さい、プラチナム!」
ショウ「プラチナム!」

プラチナム、静かに首を横に振る。

一同「プラチナム!」
プラチナム「忘れてはいけない。この星を守るのはショウ、サラ、シグ、セイジ、スミレ、君達だ。私は平和を願う者たちの想いの結晶に過ぎない。悪を許さない怒りが、心があるなら、いずれ次なる私が誕生する……必ずや!」

悲痛な表情の一同が見守る中、プラチナムの体が宙に浮き、空へと舞い戻る。

ショウ「プラチナム──ッ!!」

プラチナムの乗ったパルサーポッドが、砲弾の如く彗星に突撃する。
地表に迫る彗星。
彗星へ迫るパルサーポッド。

大爆発──。

暗雲が去り、青空が広がる。

ショウ「プラチナム……」
セイジ「異常気象が消えた……彗星の衝突が回避されたんだ!」
スミレ「救われたのね……地球が」
サラ「プラチナムのお陰で」
シグ「命と引き換えに」
ショウ「お前って奴はよぉ……プラチナム……プラチナム!」

シグ「危ない!」

地表に何者かの攻撃が炸裂。
攻撃の主は──クイーン。

一同「クイーン!?」
クイーン「私は死なん! 全ての生命体に、知性体に悪の意志がある限り、我が生命は滅びない! 蘇る!」

ブルースワット3人がディクテイターを撃つが、攻撃が全て擦り抜ける。
クイーンの体が光と化し、ショウのブルーストライカーに吸い込まれる。
無人のまま動き出すブルーストライカー。

ショウ「ブルーストライカーに!」
サラ「クイーンが!」
シグ「インベードした!?」

クイーンに操られたブルーストライカーが、ショウたちに攻撃を加える。

さらにブルーストライカーから抜け出したクイーンが、ガバナーへ。

セイジ「今度はガバナーにインベードした!?」

無人のガバナーの車内で、キーボードがカチャカチャと動き出す。
その指示を受けたSS70が、地表のショウたち目掛けてレーザーを発射。
逃げ惑う一同。

ガバナーから抜け出したクイーン、今度はシグの体内へ。

ショウ「シグ!?」

クイーンに操られたシグが、崖下へと転落する。

ショウ「シグーッ!」

クイーンは今度はサラの体内へ。
サラもまた崖下へ落ちてゆく。

ショウ「サラァッ!」

さらにクイーンはセイジの体内に入り込む。
スミレに殴りかかるセイジ。2人とも倒れ、気を失う。

ショウ「スミレッ! セイジッ!」

崖からサラとシグが這い上がってくる。

サラ「ショウ! 逃げてぇ……ショウ!」
ショウ「サラ!」
シグ「クイーンにインベードされるなぁ……!」
ショウ「シグゥ!」

クイーンが実体を現す。

クイーン「次はお前だ! お前の中に入ってやる!」
ショウ「許さねぇ……! 俺は絶対にお前を許さねぇ!! 叩き潰してやる……叩き潰してやるぜ! クイーン!!」

ショウの怒りが時空を裂き、スターフォートレスが飛来する。
スターフォートレスからエネルギーが放たれ、それを浴びたショウの体にシルバニックギアが装着され、ハイパーショウとなる。

サラ「スミレ! スミレ!」
シグ「セイジ! セイジ!」
ショウ「そうか……俺の意志が、俺の怒りがスターフォートレスを! 受け継ぐぜプラチナム、お前の遺志を、お前の怒りを!」

左腕のドラムガンナーにディクテイターを合体させる。最強銃ドラムガンファイヤーの完成だ。
さらにスターフォートレスからエネルギーが放たれ、ショウの体に浴びせられる。
新たな力を得てドラムガンファイヤーを放つショウ。
砲撃がクイーンの体を貫通し、さらにクイーンの背後の空間を裂き、暗黒の空間が広がる。

クイーン「あれは!?」
サラ「あの時空の裂け目は……」
シグ「ブラックホール!」
ショウ「クイーン! とどめだぁ!!」

渾身の力でドラムガンファイヤーを撃ち込むショウ。

クイーンが断末魔の悲鳴と共に、ブラックホールの中へと消えてゆく──

シグ「やった……」
スミレ「やったぁ!」
シグ「セイジ!」
セイジ「シグゥ!」
一同「ハイパーショウ!」

ショウのもとに走り寄る一同。
手を取り合い、勝利を喜び合う。

一同「イェーイ!!」

だが、最後の最後まで、ブルースワットの戦いが人々に知らされることはなかった。
そして今、使命を終えた戦士たちは、それぞれ、新たな道へと歩き始めた……

病院を退院するザジ。その傍らにはシグが。

シグ「良かったな、ザジ」
ザジ「うん!」

大学に戻り、テニスコートで部活に勤しむスミレの姿。

スミレ「えいっ! 決まったぁ!!」

パソコン教室の講師となったセイジが、小学生たち相手に教鞭を振るっている。

セイジ「以上、メニュー画面についての説明は終わりです。質問のある人?」
生徒「はい」
セイジ「なに?」
生徒「ここがよくわからないんですけど……」
セイジ「それよりさ、もっと面白い話してあげるよ。あのね」

生徒に何やら耳打ちするセイジ。2人で大爆笑。

荒野。
ブルースワット姿のショウとサラ。

ショウ「サラ。いいんだぜ、俺1人でも。プラチナムの遺志を継ぐのは」
サラ「何言ってんの? ショウ1人じゃ頼りないから付いて行ってあげるんじゃないの!」
ショウ「とか何とか言ってぇ本当は俺と一緒にいたいんだろぉ?」
サラ「あのねぇ、ショウ!」
ショウ「またムキになっちゃってぇ!」

轟音が響く。
ショウとサラの頭上に、スターフォートレスが飛来する。
それを見上げるショウの胸に、プラチナムの言葉が蘇る。

「悪を許さない怒りが、心があるなら、いずれ次なる私が誕生する……必ずや!」

ショウ「プラチナム……サラ、行くぞ!」
サラ「OK!」

ヘルメットをかぶり、スターフォートレスに乗り込む2人。

だが、その喝采なき勝利、地球を、宇宙を記憶にとどめるだろう。
死力を尽くして戦った戦士たちの伝説を、永遠に。
さらばブルースワット!

スターフォートレスが地球を去り、宇宙の彼方へとへと旅立つ……。

ショウ「また会う日まで……グッバイ、俺たちの地球!」

THE END