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ビーファイターカブトの最終回


メルザード一族の神・マザーメルザードが、最終形態ジャドーマザーラとなって巨大化し、街で暴れ回る。

ジャドーマザーラ「地上を焼き尽くし、暗黒の闇に閉ざしてやる……闇の意志の恐ろしさを、思い知らせてやる……!」


ラストバトル


地上では、ビーファイターとメルザード一族の最後の戦いが繰り広げられている。
カブトとビークラッシャー猛毒鎧将デスコーピオン、クワガーと恐竜武人ライジャ、テントウと昆虫剣士ミオーラ、それぞれの一騎打ちだ。

デスコーピオン「今こそカブト、貴様に倒された兄弟たちの恨みを晴らさん! 1人残ったビークラッシャーの意地を示さん!」
ライジャ「今こそ……掴んでやる! 貴様らを倒し、闇の意志の後継者の座を!」
ミオーラ「決着をつけてやる!」


病院。
カブトたちを助けるために力を使い尽くしたマック、フリオ、李、ソフィーの4人が、意識を失ったままベッドの上で手当てを受けている。
カブト=鳥羽甲平の妹・鳥羽ゆいが、心配そうに4人を見守る。

ゆい「ソフィー、しっかりして……マック……!」

同じ病室の少年が、ゆいに涙ながらに訴える。

少年「お姉ちゃん……僕、1年生に……なれるよね?」
ゆい「大丈夫よ。ボク、泣かないで」
少年「うん……」
ゆい (お兄ちゃんももうすぐ卒業式だ。でもこんなことじゃとても春なんて……)
少年「お姉ちゃん……」
ゆい「ボクも必ず1年生になれるわ。ビーファイターを信じましょ!」
少年「うん……」


戦場。

カブト「アタックビーム!」
デスコーピオン「とわぁっ!」
カブト「わあぁーっ!!」

カブトの放ったインプットカードガンを、デスコーピオンが跳ね返す。
すでに幹部の半数を失っているだけあり、メルザードの気迫は並ならない。

カブト「させるかぁっ!! カブトランサー!」

しかしカブトが必殺武器のカブトランサーを抜いて反撃に転じる。

カブト「ライナーブラストォ──ッ!!」
デスコーピオン「ぐわぁ──っ!!」

必殺剣が炸裂。

デスコーピオン「うぅ……み、見事だカブト……最高の敵と戦って死ぬ……戦士として、本望だ……! う、うわぁっ!!」

大爆発。ビークラッシャー最後の鎧将、デスコーピオンは敗れ去った──。

カブト「違う……違う! 命は戦いのために、死ぬためにあるんじゃない! 生きるためにこそあるんだ。それを、メルザード! 闇の意志! 許さねぇっ!!」

一方、クワガーはライジャに苦戦を強いられる。
倒れたクワガーを、ライジャが踏みつける。

カブト「クワガー!」
ライジャ「さぁ、どうするカブト!」

カブトがライジャに斬りかかる。

カブト「クワガー!」
ライジャー「おのれぇ……虫ケラめ!」
カブト「勝負だ、ライジャ!」
ライジャ「今度は貴様だ、カブト!」


ジャドーマザーラの猛攻が続く。
マックたちのいる病院が震える。

少年「お姉ちゃぁん!」
ゆい「このままじゃ地球は……誰か、誰か助けて! お願いっ!!」

そのとき──
意識を失っているマックが、目を閉じたまま、ゆっくりと腕を宙に掲げる。
その手に、コマンドボイサーが。
フリオ、李、ソフィーも、次々にコマンドボイサーを宙に掲げる。

ゆい「一体どういうこと……!?」


カブトたちのもとへ、空から光球が飛来する。

ミオーラ「あれは!?」
テントウ「まさか!?」

そして光球が地面に炸裂し、そこに現れたのは──
邪甲神クワガタイタンを封印した魔性の斧、ガイストアックス。

カブト「ガイストアックス!」
ライジャ「あぁっ!?」
クワガー「クワガタイタンが……」
マザーラ「クワガタイタン! 共に地上を、地球を破壊してやろうぞ! 蘇れぇ! 蘇れぇ!」

マックたちのコマンドボイサーが光球と化し、4人の手を離れる。
そしてカブトたちのもとに4つの光球が飛来、ガイストアックスの中に次々に吸い込まれてゆく。

カブト「マックたちのコマンドボイサーが!」
クワガー「昆虫パワーを使い果たしたはずなのに!?」
マザーラ「どうしたのだクワガタイタン!?」

ガイストアックスが、自然にクワガーの手に収まる。

クワガー「俺が、クワガタイタンとひとつに!?」
カブト「わかったぞ! 正義の光の意志の戦士として蘇ろうとしているんだ、クワガタイタンが!」
ライジャ「何っ!?」
マザーラ「おのれっ!」
ライジャ「そんなことはさせん、もろとも地獄に送ってやる!」
カブト「貴様の相手は、この俺だ!」

クワガーに襲い掛かろうとするライジャを、カブトが制する。
クワガーがガイストアックスを握って立ち上がる。

クワガー「よし、行くぞジャドーマザーラ! クワガタイタン!!」

ガイストアックスの中から邪甲神クワガタイタンが出現。内部にクワガーが融合し、ジャドーマザーラに立ち向かう。

クワガー「覚悟しろ、ジャドーマザーラ!」
マザーラ「ほざけ、返り討ちだ! 闇の意志の化身たるジャドーマザーラに、敵はない!」

クワガタイタンとジャドーマザーラの戦いが始まる。

クワガー「負けるか!」
マザーラ「まだわからぬか虫ケラ! あきらめろぉ!」
カブト「クワガー!?」
テントウ「クワガタイタン!」

ジャドーマザーラの攻撃の前に、クワガタイタンが倒れる。

クワガー「うわぁっ!」
ライジャ「貴様も一緒に地獄へ行け、カブト!」
ミオーラ「抹殺!」

ライジャとミオーラの剣が、カブトとテントウに炸裂。

カブト「うわぁっ!!」
テントウ「うぅっ……!!」

カブトとテントウが倒れる。

マザーラ「勝利だ……今こそ闇の意志の勝利だ……!!」
ライジャ「勝利だ……勝利だぁ!!」
ミオーラ「勝利だ!!」


カブト「まだだ……まだだ……まだ戦える……終わっちゃいねぇぞ!」
テントウ「私たち……地上に生きる……すべての生命に、選ばれた……」
クワガー「決してあきらめず……希望を武器に戦い続ける!」
カブト「それが俺たち……ビーファイターだ……ビーファイターだ!!」
テントウ「ビーファイターよ!!」
クワガー「ビーファイターだ!!」

カブトが、テントウが、クワガタイタンが、力を振り絞って立ち上がる。

ライジャ「とどめだぁっ!!」
ミオーラ「とどめだ!」
マザーラ「とどめだぁ!!」

ライジャとミオーラが振り下ろす剣を、カブトとテントウが受け止め、手刀で叩き折る。
クワガタイタンも、ジャドーマザーラの放つ触手を邪甲剣で切り裂く。

クワガー「どうだ、ジャドーマザーラ!」
マザーラ「悪あがきをぉ!」

カブト「ライナーブラストォ──ッ!!」
ライジャ「ぐわぁっ!!」
テントウ「クロスウェイスライサー!!」
ミオーラ「がぁーっ! ライジャ様……ライジャ様ぁ──っ!!」

カブトとテントウの必殺剣が炸裂。
ミオーラが大爆発。
しかしライジャは、致命傷を負いながらもフラフラと立ち上がる。

ライジャ「我が名はライジャ……マザーメルザードの長男にして、闇の意志の戦士なり……マザーメルザードの長男にして……闇の意志の戦士なりぃ──っ!! 我が名はライジャァ──ッ!!」
カブト「やめろライジャ、もう勝負はついた!」

最後の力を振り絞って突進してくるライジャ。
やむなくカブトがランサーをふるい、止めを刺す。

ライジャ「うぅっ……マザー……マザー! 我が名はライジャ……闇の意志の戦士なり……」

ライジャが大爆発──。

カブト「バカ野郎……」
マザーラ「我が子よぉーっ!」
テントウ「カブト! やったわね、カブト! 次はジャドーマザーラよ!」
カブト「行くぞ、ジャドーマザーラ! カブテリオス!!」

カブトの手にした甲神封印剣アストラルセイバーの中から大甲神カブテリオスが出現。内部にカブトが融合する。

カブト「行くぞ、クワガー!」
クワガー「よし、カブト!」
カブト「ジャドーマザーラ、決戦だ!!」
マザーラ「2匹まとめて抹殺してやる!」

2体の巨大兵がジャドーマザーラに挑む。

テントウ「頑張って! カブテリオス、クワガタイタン!」
カブト「地上に生きるすべての命のために!」
クワガー「今こそ、光の意志の戦士の力を見せてやる!」

カブテリオスとクワガタイタンの連携攻撃が、次第にジャドーマザーラを追い詰める。

カブト「行くぞっ!」
クワガー「とどめだ!」
クワガー「タイタニックフレア!!」
カブト「ビッグフレア!!」

カブテリオスとクワガタイタンの必殺剣が炸裂する。

マザーラ「うぁぁ──っ!! 闇も……影も……消えることはない……蘇ってやる……復活してやるぅ!! いつの日か、必ず……かな……ら……ずぅ!!」

ついに、ジャドーマザーラが大爆発。

カブト「やった! 勝ったんだ、勝ったんだ!!」
クワガ「やった! やったぞ!」
テントウ「やったわ! カブト! クワガー!」

地上に降りたカブトとクワガーの方へ、テントウが駆け寄ってくる。

テントウ「やったわね!」
カブト「やった!」
クワガー「やった!」


メルザード一族は壊滅した。

超重甲を解いた甲平、健吾、蘭。
3人が、それぞれ手にしたアストラルセイバー、ガイストアックス、コマンドボイサーを見つめる。

甲平「最後の戦いも、やっと……」
健吾「終わったな……」
蘭「終わったわね……」

「お兄ちゃーん!」

ゆいが3人の方へ駆けてくる。

ゆい「お兄ちゃん、健吾さん、蘭さん!」
甲平「ゆい、マックたちの様子は?」
ゆい「みんな無事よ。もう大丈夫だって病院の先生も」
甲平「良かった……」
ゆい「それに、もうひとり!」
甲平「もうひとりぃ?」
ゆい「ふふっ……」

ゆいの後ろから現れたのは、腕に包帯を巻いた小山内博士。

甲平「博士ぇ!」
健吾「無事だったんですか!」
博士「いやぁ、参った参った」

ビートルベースの爆発に巻き込まれたと思われていた博士は、無事に生き延びていたのだ。

博士「しかしあの直後、間一髪、地下シェルターに転がり込んで助かったんだ。心配かけてすまなかった」

そのとき突然、空に光が瞬く。
甲平のアストラルセイバーが、健吾のガイストアックスが消え去る。
そして、3人の手にしていたコマンドボイサーまでもが消え去る。

甲平・健吾・蘭「あっ!?」
博士「あ……!?」

空の光が、何かを語りかけるかのように瞬き、そして消える。

甲平「もしかして……」
健吾・蘭「光の意志……!?」


どこかの洞窟。
老師グルの息子の白いカブトが、洞窟奥に作られた墓に花を備えている。

カブト「ただいま。帰って来たで。よぉ頑張ったなぁ〜お父ちゃんも。俺も……頑張って修行するでぇ! いつかお父ちゃんの跡継いで、立派な老師になるために。せやからお父ちゃん、心配せんと、ゆっくりしぃや……」


第十七回 聖聖学園卒業式。
無事に卒業式を迎えた甲平が、ビーファイター男性陣に胴上げで祝福されている。

「わっしょい! わっしょい! わっしょい!」

博士が卒業祝いのプレゼント包みを渡す。

博士「おめでとう、甲平!」
甲平「ありがとうございます、博士」

蘭とソフィーが花束を贈る。

蘭・ソフィー「おめでとう、甲平!」
甲平「わぁ、こりゃど〜も!」
博士「何がどうもだ! 留学の準備は済んだのか、甲平?」
マック「留学?」
フリオ・李「どこへ!?」
甲平「アメリカ! 拓也先輩に誘われたんだ」
フリオ・李「えぇ!?」
蘭・ソフィー「アメリカ!?」
ビット「ちょっと蘭、僕にも喋らせてよぉ!」

蘭が、ビットの入っている携帯端末を開く。

ビット「甲平はね、コスモアカデミアが設立した大学に入学するんだってぇ!」
蘭「……英語、大丈夫ぅ?」
甲平「いやぁ、それが問題なんだよなぁ〜」
マック「Don't worry! 僕がついてるよ、甲平!」
甲平「あはっ!」
ソフィー「いっそのこと、フランス留学はどう、甲平? 大歓迎よ!」
甲平「あ? いや、そういうわけにはねぇ……」
李「中国はどうかね、甲平、熱烈歓迎するよ!」
フリオ「アンデスもいいぞ、甲平!」
甲平「もぉ〜そんな世界中あちこち行けないよぉ!」
一同「あはははは!」
ゆい「お父さんとお母さんによろしくね、お兄ちゃん」
健吾「元気でな、甲平!」
蘭「またいつか……甲平!」
博士「頑張れよ、甲平!」
ビット「僕のことも忘れちゃやだよぉ〜甲平!」

博士がカメラと三脚を持ち出す。

博士「さっ、記念撮影だ! よぉし、みんな並んで並んで」
フリオ「甲平は真ん中だ!」
博士「蘭、もっと中へ」
蘭「は〜い」

博士「オッケ、オッケイ!」

カメラを構えてセルフタイマーをセットした博士が、一同の中に加わろうとするが、自分のスペースがない。

ソフィー「ちょっと博士、も〜!」
博士「あ、じゃこっちね」
李「あぁ、私が写らないあるよ」
博士「何だよ?」
フリオ「博士、早く!」

一同「グッバイ、ビーファイターカブト!」

タイマーが切れる寸前、列の後ろにいた博士が、一同を押しのけて前へ。

一同「わぁっ!?」

パシャッ!


アメリカへ向かう旅客機の中に、甲平。

甲平 (ありがとう昆虫たち……ありがとう命たち……)

懐から、卒業式のときの写真を出す。
真ん中ににこやかな小山内博士、そして博士に押しのけられてコケる一同の、賑やかな写真。

甲平 (ありがとう仲間たち……今日、俺の卒業……俺の旅立ち……)


ビーファイターカブト 鳥羽甲平。
ビーファイタークワガー 橘 健吾。
ビーファイターテントウ 鮎川 蘭。
ビーファイターヤンマ マック・ウィンディ。
ビーファイターゲンジ フリオ・リベラ。
ビーファイターミン 李 文。
ビーファイターアゲハ ソフィー・ヴィルヌーブ。

地球の生命に選ばれた光の意志の戦士たちの戦いが、今、終わった。


そして、甲平は新たな生活へ向けて旅立つのだった──。


(終)
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