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宇宙刑事シャリバンの最終回


戦士サイコラー登場の連絡を受けたコム長官は
自ら地球に赴くと共に
ギャバン隊長に救援を依頼した


富士の裾野にドルギランが着陸してくる。
地上へ降りて来たギャバンこと一条寺烈を、伊賀電、リリィ、そしてミミーが迎える。

電「隊長──!」
リリィ「ようこそ、ギャバン隊長!」
ミミー「ギャバーン!」

ミミーが烈に駆け寄り、抱きつく。

ミミー「逢いたかった……」
烈「まったく、無茶をする奴だ」
ミミー「だって……」
電「見せつけてくれますねぇ!」
リリィ「富士山が爆発しそう!」
烈「いやぁ、失敬失敬! で、マドーは?」
電「駄目ですよぉ、急にそんな顔しても」
烈「しまらないか?」

一同が笑い合う。

烈が手を差し出し、その手を電が握り返す。
突然、烈が電を投げ飛ばす。
すかさず電が受身を取り、手合いが始まる。
両者の実力はまさに伯仲。

烈「ははっ、しばらくだった!」
電「隊長……!」


赤射・蒸着


空を行くグランドバース艦内。
コム長官も含めた一同が、先のシャリバンと戦士サイコラーの戦いの記録に真剣に見入っている。


ところ変わって、電の普段の勤務先、鈴木モーターショップ。
鈴木所長の長女の千秋、妹の千恵、弟の明が見守る中、電に代って大山小次郎がバイクの整備に取り組んでいる。

小次郎「よ……よっと!」
千秋「慣れた手つきになってきたわね」
小次郎「あぁ、電ちゃんには負けねぇ。この際、一級の整備士の免許取ろうと思ってんのよ。そして、千秋ちゃんと一緒にこの店を……」
千秋「えぇっ……?」
千恵「結婚するなら、電さんがいいわよ。お姉ちゃん!」
明「僕もその方が幸せになれると思う」
小次郎「顔じゃなくてねぇ、腕を見てよ、腕を!」
鈴木「おぉい、できたか?」
小次郎「はい、バッチシです! お父様……」
鈴木「お父様!? ……まぁ、まずエンジンテストだ」
小次郎「はい、任して下さい!」

バイクに小次郎が跨り、エンジンをかけると、たちまちエンジンが爆発。
白煙があがり、小次郎の顔が黒焦げになる。

一同「あ〜……」
小次郎「悲劇は忘れた頃にやって来る……」


一条寺烈と伊賀電は
幻夢城突入のための秘密の通路を探し回った


幻夢城。
城内に鎮座する支配者・魔王サイコのもとへ、大幹部ドクターポルターが謁見する。

ポルター「ギャバンとシャリバンめが、秘密の通路を探し回っているようです」
サイコ「面白い──この際、2人とも通路に誘い込め」
ポルター「それは危険です!」
サイコ「わしは不死身だ──この際、2人共始末してくれる!」


湾岸。

電の乗ったジープの前に突如、あの怪風船が出現する。

怪風船に翻弄される電を突如、湾岸の作業員たちが襲い始める。
応戦する電。彼の攻撃を受け、たちまち作業員たちの変身が解け、元の戦闘員ファイトローの姿になる。
そこへマドーの女スパイ、ミスアクマ1も参戦。

多勢に無勢で劣勢になり始める電。そこへ4人の男女が駆けつける。

4人「リタに言われて来ました! ジャックです」「ヘンリーです」「マリヤです」「カークです」

それぞれがイガ獅子のペンダントを差し出す。

電「君たちはイガ戦士!!」

そこへ駆けつけた烈のジープにも、怪風船が襲い掛かる。

怪風船が破裂、サイコラーが出現する。
2本の剣からビームを放ち、烈、電を攻撃する。

烈「蒸着!!」
電「赤射!!」

2人の姿が白と赤の光球と化し、銀と赤のコンバットスーツに身を包んだ宇宙刑事2人が揃い踏みする。

シャリバン「宇宙刑事シャリバン!!」
ギャバン「宇宙刑事ギャバン!!」

宇宙刑事2人とサイコラーとの戦いが始める。

シャリバン「シャリバンキック!!」
ギャバン「ギャバンキック!!」
シャリバン「スパークボンバー!!」
ギャバン「ディメンションボンバー!!」


幻夢城。

ポルター「エネルギー発生装置が完成しました。これよりイガクリスタルを装填し、テストします」
サイコ「幻夢界に引きずり込め!」

シャリバンたちの周囲を特殊空間・幻夢界が包み込む。

シャリバン「モトシャリアーン!」
ギャバン「サイバリアーン!」

それぞれ愛車に跨って幻夢界へと突入。

幻夢城から戦闘機編隊が出撃して2人を攻撃、さらに戦闘母艦までもが出撃する。

シャリバン「グランドバース!」

戦闘母艦グランドバースが飛来。シャリバンが乗り込む。

シャリバン「バトルバースフォーメーション!」

グランドバースがロボット形態・バトルバースフォーメーションに変形する。

シャリバン「グランドバスター!」

グランドバスターが戦闘機編隊を一掃する。

シャリバン「プラズマカノン!」

戦闘母艦は撃沈。


シャリバンたちが地上に降り立つ。
待ち受けるサイコラー。

シャリバン「シャリバンキック!」
ギャバン「スパイラルキック!」

サイコラーは2大キックを跳ね返すと、剣のビームで反撃。
シャリバンたちがレーザーブレードを抜く。
サイコラーの攻撃が、シャリバンを吹っ飛ばす。

ギャバン「シャリバン!?」
シャリバン「クライムバスター!」
ギャバン「レーザーZビーム!」

再び攻撃を繰り出す2人だが、一向にサイコラーには通用しない。

シャリバン「一体どうすれば!?」
ギャバン「まさに不死身だ!」

三たび、サイコラーの剣のビームがシャリバンたちを襲う。
シャリバンたちのレーザーブレードの光子エネルギーが満ち、剣身が光に包まれる。

シャリバン「レーザーブレード!」
ギャバン「レーザーブレード!」
シャリバン「シャリバンクラッシュ!!」
ギャバン「ギャバンダイナミック!!」

2大必殺技が炸裂。
さすがにサイコラーも最期か──と思われたが、サイコラーは倒れない。

虚空へ消えてゆくサイコラー。
2人は愛車で追う。


サイコ「お前たちは永久に幻夢界から出られない──」


幻夢界の中をギャバンとシャリバンが彷徨う。
2人の前に、イガ星人を導く謎の人物“聖なる者”が現れる。

聖なる者「若者よ……」
シャリバン「聖なる者よ……!」
聖なる者「コンパスが導く先に幻夢城がある……」
シャリバン「お尋ねします。なぜイガクリスタルを守って頂けなかったのですか!?」
聖なる者「幻夢城へ行けばわかる……」

聖なる者が光のコンパスと化し、2人の行く先を示す。

ギャバン「聖なる者とは……?」
シャリバン「その正体は……?」


シャリバンとギャバンは
聖なる者のコンパスに導かれ
サイコゾーンに突入した


幻夢城、魔王サイコの間。
サイコがサイコラーにエネルギーを充填している。
2人は命を共有しており、片方が瀕死に陥っても、もう片方がエネルギーを充填することで甦ることができるのだ。
そこへシャリバンたちが登場する。

サイコ「来たか小僧ども──」
シャリバン「魔王サイコ!!」
ギャバン「行くぞ!!」
サイコ「生きては帰れんぞ──ドクターポルター、エネルギー発生装置を作動させろ」


別室。
ドクターポルターの指揮する中、エネルギー発生装置にイガクリスタルが組み込まれている。

ポルター「エネルギー発生装置、作動!」

ところが装置は作動せず、イガクリスタルは忽然と姿を消してしまう。

ポルター「どうしたことだ!?」

そこへ、ミスアクマ1が駆けつける。

ミスアクマ1「ポルター様、シャリバンとギャバンが!」


魔王サイコの間に、ポルターとミスアクマ1が駆けつける。

ポルター「おのれぇ……こんなところまで!」

ギャバン、シャリバンとミスアクマ1、ドクターポルターの戦い。
剣撃の末、ギャバンのブレードがミスアクマ1を、シャリバンのブレードがドクターポルターを貫く。
残るはサイコとサイコラーのみだ。

シャリバン「魔王サイコ、勝負!」

サイコラーの剣が宙を舞い、シャリバンたちを襲う。
2人が必死で応戦。

シャリバン「クライムバスター!」

クライムバスターで宙に浮く剣を攻撃。
さらにサイコ自身もバスターで攻撃するが、ビームが跳ね返されて逆にシャリバンに撃ち返される。

ギャバン「シャリバン!?」

サイコがシャリバンたち2人目掛け、剣からビームを放つ。

2人「うわぁ!」

さたに強大な念動力で、2人の体が宙に持ち上げられる。
レーザーブレードが床に落ちる。

シャリバン「聖なる……剣よ!!」

シャリバンが聖なる剣・イガ獅子剣をサイコに投げつけ、拘束から逃れる。
しかし、なおも念動力が2人を襲う。
更にサイコを取り巻く無数の電子頭脳がシャリバンたちの体に貼りつき、2人を苦しめる。

サイコ「お前たちの負けだ」


シャリバンとギャバンの視界がぼやけ
胸の電光板が不規則に点滅を始めた


ギャバン「負けるな……シャリバン!」


シャリバンとギャバンの
コンバットスーツのメカが
超高圧電流を放電されて 狂い始めた


サイコ「小癪な小僧め──わしを何だと思っておる!?」
シャリバン「負けるもんか……俺は負けんぞ!!」


そのときなんと、その場に突如としてイガクリスタルが出現する。

ギャバン「見ろ……シャリバン」
サイコ「おぉ?」
シャリバン「イガクリスタル……!?」


イガクリスタルに
おびただしい電気を吸い取られ
魔王サイコの人工頭脳は
パワーを失った


シャリバン「聖なる者は、この時のために!」

シャリバンがイガ獅子剣をサイコに投げつけ、2人は電子頭脳の拘束から解放される。

シャリバン「レーザーブレード!」
ギャバン「レーザーブレード!」
ギャバン「一緒に討つんだ!!」
シャリバン「はいっ!!」

シャリバンのブレードがサイコを、ギャバンのブレードがサイコラーを貫く。

シャリバン「ギャバンダイナミック!!」
ギャバン「シャリバンクラッシュ!!」

2人の繰り出す必殺技が、サイコとサイコラーを同時に仕留める。

ギャバン「脱出だ!」
シャリバン「はい」


幻夢城が大爆発──


幻夢界を無事脱出したシャリバンたちが、夕陽の照らす港に立ち尽くす。
彼ら2人の活躍で、遂にマドーは滅びたのだ。

シャリバン「隊長……」
ギャバン「うむ!」


富士の裾野。

電たちやイガ戦士団、そしてみゆきたちイガクリスタル親衛隊の少女らが集う中、イガ星のZ旗がはためく。

電「マドーは滅びた!」
みゆき「イガ星へ行けるのね、私たち!」
電「あぁ!」

みゆきたち親衛隊が歓声をあげる。

電「隊長……」
烈「これからが大変だぞ」
電「覚悟しています!
リリィ「緑のあふれる惑星にしてね、イガ星を」
電「あぁ、地球より住み良い星にするよ!」
ミミー「遊びに行くわね、シャリバン。イガ星へ」
電「えぇ、大歓迎します!」
烈「1人旅は困るぜ!」
ミミー「ギャバンと一緒にいくもん!」
烈「俺はね、とっても忙しいの」
ミミー「意地悪ぅ!」

烈の肘をミミーがつねる。

烈「痛っ! 痛痛痛……!」

笑い合う一同。

コム「シャリバン、君に言っておきたいことがある」
電「『イガ星再興のために全力を尽せ』でしょ? わかってますよ!」
コム「違うな」
電「は?」
コム「本日只今より、イガ星地区担当刑事を命じる」
電「あ、ありゃ!」

再び、一同が笑い声に包まれる。


そして遂に、電、親衛隊、戦士団を乗せ、グランドバースが地球を飛び立つ──


艦内。

親衛隊の少女らや戦士団4人は、地球から持ち込んだ動植物の世話に余念がない。
そんな中、みゆきが操縦席の電の姿を覗き込む。

みゆき「ねぇシャリバン、ついて来てくれるかしら? イガクリスタルは……」
電「……ついて来てくれるさ。きっとね! たとえイガクリスタルがなくても、みんなで力を合わせれば」
戦士団「うん」「そうだよ!」

ジャックたちイガ戦士団4人が、イガ獅子のペンダントを差し出す。
電がそれに、もう2つのペンダントを差し出す。

電「これは、ヘレンとビリーのものだ」

6つのペンダントが輪になったとき──
中央から光が放たれ、コクピットの窓をつき抜け、グランドバースの前方に聖なる者の姿として浮かび上がる。

電「聖なる者……!?」

そしてその隣には、イガクリスタルが出現する。

電「イガクリスタル!」

聖なる者とイガクリスタルが一つと化し、皆の行く手を導くように、彼方へ消え去っていく。

電「守護神なんだ……」
みゆき「えっ?」
電「聖なる者は守護神なんだ。イガ星の……」
みゆき「イガ星の……守護神!」
電「うん。きっとそうだ……きっと……」


親衛隊たち「地球よ、ほら!」「わぁ!」

みゆきや親衛隊の少女たちが、窓から見える青い地球の姿に目を奪われる。


電の胸に、地球での様々な思い出が甦る。
幼い日のこと。両親のこと。

宇宙刑事として赴任して以来の、数々の戦い。
そして熾烈極まりない戦いで、常に自分を支えてくれたのは……リリィ。

電 (今頃、何してるかなぁ……リリィ……)


地球上の海岸。
リリィが瞳に涙を滲ませ、グランドバースの飛び去った空を見つめている。

リリィ「私も行きたかった……イガ星に……」


電 (子供たちの、笑顔があふれる星にしたい……花が咲き乱れ、小鳥たちがさえずる星にしたい……平和な惑星にしたい……)

母星再興の希望を胸に、電が操縦桿を握り締める。


電「ワープ!!」


宇宙刑事シャリバンと イガ戦士たちは
イガ星を目指し 旅立っていった

夢と希望の待つ イガ星へ……


おわり
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