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宇宙鉄人キョーダインの最終回
(ナレーション)
いよいよ地球滅亡か?
激しく攻撃を続けるダダロイド
幸運にも海道博士と巡り合うキョーダイン
地球を救うただひとつの鍵とも言うべき「はなつみのうた」の謎は
遂に解き明かされようとしている……
死なないで
!!
キョーダインよ永遠に
ダダ星。
惑星全域を激しい衝撃が襲う。
そして衝撃は葉山博士、譲治、竜治を乗せた宇宙船にも響き渡っていた。
竜治「このままだと危険です!」
やがて、衝撃が止む。
譲治「父さん!」
竜治「何でしょう……?」
博士がドアの方に歩み寄り、耳を澄ます。
譲治・竜治「父さん?」
譲治「一体どうしたんですか?」
竜治「父さん!?」
博士「譲治、竜治、耳を澄ませ。何か聞こえないか?」
どこからともなく、メロディが響いている。
博士「『はなつみのうた』だ……!」
譲治「はなつみのうた……」
博士「海道博士が、とうとう『はなつみのうた』の秘密を解いたに違いない。メロディ増幅発信装置を完成して、ダダ星に向けて発信を始めたのだ」
再び衝撃が。
博士「その電波を受けて今、ダダ星の受信装置が一斉に動き出し、メロディを流しているのだ」
竜治「父さん……」
博士「見ろ、ロボ兵たちを!」
スクリーンに映し出される光景の中、ダダロイドたちが次々に倒れてゆく。
譲治「どうしたんでしょう……?」
博士「この歌は、ダダ星ではなぜか禁じられていた。わしは以前から、そこに何か謎があると思っていたが、ロボ兵たちを支配するコンピューターの中枢に、何か異変が起こり始めている。そればかりかダダロイド全体に、恐ろしいことが起ころうとしているのだ!」
地球。
闇将軍ガブリンと、ロボ兵たちを従えたガブリンクィーン。
ガブリン「ガーブリーン!」
クィーン「母なる祖国、ダダ星の神にして、偉大なる帝王であらせらるアルハタ・ダダーリン王よ! 我らに新たな言葉を発したまえ……闇の将軍ガブリン様は今、深い嘆きと悲しみに打ち震えておられます」
ガブリン「ガァーブリ──ン!」
クィーン「闇の将軍ガブリン様、母なる祖国ダダ星に異変が起きております。アルハタ・ダダーリン王の波長の力が次第に弱まり、途切れんとしております」
ガブリン「ガァーブリン!」
クィーン「おぉ! 『はなつみのうた』の調べがダダ星に向けて発せられたと、将軍が仰っている! ガブリン様!!」
ガブリン「ガァ──ブリィ──ン!!」
ベース円盤では、海道博士が「はなつみのうた」のテープを
メロディ増幅発信装置にセットし、電波をダダ星に向けて発信していた
ダダ星。
博士「2人とも、ついて来なさい。私はアルハタ・ダダーリン王に会わねばならない」
竜治「お父さん!? アルハタ・ダダーリン王は、400年前に死んでるんですよ!」
博士「ダダーリン王は生きている」
譲治「え……?」
博士「今ならコンピュータールームに入り込める。ダダ星の秘密のすべては、そこで明らかになるだろう。船尾からブリッジに出て、コンピュータールームに行ける」
コンピュータールームへのブリッジを渡る博士。
譲治「父さん、この振動の中を向こうに渡るのは危険です」
博士「わしはダダーリン王に会わねばならんのだ。黙ってついて来なさい」
地球、ベース円盤。
健治「もうすぐ、父さんと兄ちゃんたちに会えるんだね!」
エツ子「もうすぐよ、健治くん」
ダダ星。
コンピュータールームに入る博士たち。ロボ兵たちは皆、機能を停止して倒れている。
部屋の中央の装置から、水槽のようなものが現れる。
譲治「お父さん……一体、何が起ころうしているんです?」
竜治「お父さん、答えて下さい」
博士「ダダ星は、自ら滅びの時を迎えようとしているのだ」
水槽の中に入っているのは、なんと脳。
譲治「お父さん、これは何です?」
博士「アルハタ・ダダーリン王の頭脳だ!」
竜治「何ですって!?」
博士「生きて目覚めている王の頭脳だ……あなたは、アルハタ・ダダーリン王でございますね?」
水槽を乗せている装置が脳波を翻訳しているのか、声が響く。
ダダーリン「余はアルハタ・ダダーリン王である……」
博士「ダダーリン王よ、あなたはなぜ地球侵略を命じられたのか?」
ダダーリン「余は侵略を命じたのではない……余の子孫に、緑なる永遠の安住の地を得ることを望んだのだ……」
博士「なぜダダ星を捨て、他の星に移動するような事態になったのですか?」
ダダーリン「ダダ星は昔、清き水と緑の星であった……だが、ダダ星人たちは科学を過信し、水を濁し、緑の木を枯らしてしまった……そのため酸素が減少し、ダダ星人たちは死に絶えてしまったのだ……余は強いロボットたちに、緑の星を求め開拓することを命じたのだ……」
博士「ダダーリン王よ……あなたは、あなたの子孫の行く末を案じ、死の床に就かれながらも、目覚めた脳を守り神として遺したのでございますな」
ダダーリン「今こそ余の願いは達せられた……『はなつみのうた』の調べ、余のもとに届き、余はこれから大いなる眠りの道にいざ歩まん……! さらば、余の息子たちよ……!」
脳の入った水槽が装置から離れて宙に浮き、そのまま空の彼方へと消えて行く……
博士「何という、不幸な王であろう……王の志を継ぐダダ星の人々は既に死に絶え、ただ命令だけがロボットたちの中に生き続けていたのだ……ダダーリン王よ、安らかに眠られよ……」
譲治「父さん、このメロディの波長がダダーリン王の脳波を停止させ、永遠の眠りに就かせる働きをしたんですね」
博士「そうだよ。しかも、ダダーリン王の脳波が停止すると、ダダ星の戦略コンピューターのすべては自動的に破壊され、ダダ星は自ら滅びを迎えるようにセットされていたのだよ」
博士が、今まで頭を締め付けていた銀の輪を外す。
譲治「銀の輪が取れた!?」
譲治と竜治も自分たちの輪を外す。
竜治「畜生、散々苦しめやがって! これでもう自由だぞ!」
譲治「父さん、僕たちはこれで自由になれたんですね!」
博士「うむ!」
竜治「これからは、もう自由に地球に向けて発進もできるんですね!」
博士「うん、急いで宇宙船に戻ろう。いよいよダダ星から脱出だ!」
2人「はい、父さん!」
地球。
ガブリン「ガーブリーン……」
クィーン「闇の将軍ガブリン様……母なる祖国ダダ星の偉大なる王、アルハタ・ダダーリン王がたった今、お隠れになられました」
ガブリン「ガァーブリン!」
クィーン「ガブリン将軍……母なる祖国が滅びた今、私たちはどうなるのでございますか?」
カブリン「ガァーブリィン!」
クィーン「おぉ……ガブリン様は自らの滅びを賭けて、葉山親子を許さぬと怒っておいでになられる。私とて思いは同じ……この怨みは晴らさずにおくものか!」
ガブリン「ガァーブリン!」
クィーン「ははぁっ!」
ガブリンクィーンがロボ兵たちに命令を下す。
クィーン「皆に告ぐ! 今日よりガブリン様がダダーリン王に替って、ダダ星の王になられるであろう。お前たちの脳はガブリン王の命令によって動くのだ」
ダダ星。
博士「竜治、秒読み開始」
竜治「了解! 5……4……3……2……1……0! 発進!」
博士たちを乗せた宇宙船が離陸。
博士「いよいよ脱出だぞ……!」
宇宙船内のスクリーンにダダ星が映り、みるみる小さくなってゆく。
竜治「お父さん、脱出成功です!」
博士「うむ」
地球、ベース円盤。
エツ子「皆さん、健治くん、葉山博士からの信号よ。『我ら、ダダ星より脱出に成功す』!!」
健治「ばんざーい! ばんざーい! 良かったね、エツ子さん! 良かったね、キョーダイン!」
スカイゼル「良かったな、健治!」
グランゼル「健治、もうすぐ逢えるぞ!」
健治「うん。ばんざーい! もうすぐお父さんや兄ちゃんたちが帰ってくるぞ。ばんざーい!」
ゴンベス「良かったでベス健治くん、嬉しいでしょう、アハハ!」
だが喜びも束の間、地球防衛軍の丸井大佐から通信が入る。
丸井大佐「緊急事態だ! ガブリン配下のロボ兵たちが街に現れ、狂ったように殺戮を始めた! キョーダイン、至急応援に来られたし!」
キョーダイン「了解!」
スカイゼル「行くぞ、グランゼル!」
グランゼル「OK!」
健治「大兄ちゃん! 小兄ちゃん!」
街中。 防衛軍の兵士たちがロボ兵に前に倒れる中、丸井大佐と細田軍曹が必死に応戦する。
丸井「くそっ、キョーダインはまだか!」
細田「はい……大佐、来ました!」
丸井大佐たちのもとへ飛来するキョーダイン。
丸井「スカイゼル、グランゼル、頼むぞ!」
キョーダイン「OK!」
戦闘開始。
キョーダイン「キョーダイン・スクラム!!」
スカイゼルとグランゼルの合体攻撃が、瞬く間にロボ兵たちをなぎ倒してゆく。
スカイゼル「グランゼル、カブリンとガブリンクィーンを倒さぬ限り、ロボ兵たちの勢いは止められんぞ」
グランゼル「よし、カブリンとガブリンクィーンを倒そう!」
そこへ、高笑いと共にガブリンクィーンが現れる。
スカイゼル「ガブリンクィーン! お前たちの祖国、ダダ星は滅びた。無益な殺戮をやめさせるんだ!」
クィーン「黙れ! ダダ星は永遠である。滅びるのはお前たち地球人の方だ!」
グランゼル「ガブリンクィーン! 闇将軍ガブリンはどこだ!」
クィーン「我等の新しき王ガブリン様は、既に地球にはいない!」
キョーダイン「何!?」
クィーン「祖国ダダ星に向かっている!」
ベース円盤。
エツ子がどこかからの通信を受けている。
エツ子「はい、わかりました……海道博士、司令部で緊急防衛会議が開かれ、博士にも出席して下さいとのことです」
海道「私に?」
エツ子「はい。きっと地球防衛軍も、はなつみのうたの力に期待しているのではないでしょうか」
海道「うむ……後を頼むよ」
ゴンベス「わし、そこまでお送りするベス」
海道博士とゴンベスがベース円盤を去る。
健治「ねぇエツ子さん、僕ベース円盤の操縦できるんだよ」
エツ子「健治くん、見よう見まねはいけません」
健治「見よう見まねじゃないやい! このボタンを押せば、円盤を自由に操縦して、ダダ星のお父さんのところに行けるのにな……」
残念そうに操縦席のボタンを指で撫でる健治。
一方、ガブリンクィーンに挑むキョーダイン。
スカイゼル「ガブリンクィーン! 今日こそ姿をくらまさず、我々と堂々と戦え!」
クィーン「ハハハハハ……!」
スカイゼル「行くぞ!」
ガブリンクィーンの指先から光線が閃き、キョーダインが苦しみ出す。
クィーン「どうだキョーダイン、エネルギー光線、受けられるものなら受けてみよ!」
身動きできず苦しみ続けるキョーダイン。
ところが突然、今度は逆にガブリンクィーンが苦しみ出す。
クィーン「うぅっ……ああっ!! ガブリン様……ガブリン様ぁっ!!」
グランゼル「ガブリンクィーン! お前の体内のエネルギーもそれまでだ!」
クィーン「黙れぇっ! 私の体が燃え尽きても、お前たちだけは……倒さずにおかぬぅ!」
ガブリンクィーンの首だけが胴体から分離し、キョーダインに襲い掛かる。
クィーン「キョーダイン……私と共に死ぬのだぁ!!」
キョーダイン「グレートパンチ!!」
グレートパンチの攻撃でガブリンクィーンの首が建物の壁面に叩き付けられ、爆発。
壁面に首の形の焼け焦げがくっきりと残る。
スカイゼル「何と恐ろしい執念だ……死して尚、影を焼き付けるとは……」
そこへ、慌てた様子でゴンベスが駆けて来る。
ゴンベス「大変だベス! 健治くんがベース円盤を操縦して、お父上を迎えに行ってしまったでベス!」
グランゼル「兄貴、さっきガブリンクィーンは、ガブリン将軍はダダ星に向かったと言った!」
スカイゼル「……行くぞ、グランゼル!」
グランゼル「OK!」
ゴンベス「頼んだベス、キョーダイン!」
ベース円盤がフラフラと宙を舞う。
機内でエツ子が必死に操縦を試みる。
健治くん「僕、怖いよ!」
エツ子「健治くん、触っちゃ駄目よ」
健治くん「あ、スカイゼルとグランゼルだ!」
ベース円盤の中へ、キョーダインが乗り込んでくる。
健治くん「大兄ちゃん、小兄ちゃん!」
スカイゼル「エツ子さん!」
キョーダインが操縦機器を調整する。
スカイゼル「よぉし、大丈夫だ……こら、健治!」
健治「ごめんなさい……僕、おとなしく地球でお父さんたちを待つよ」
スカイゼル「よし、俺たちはこのまま、博士たちの宇宙船を迎えに行く」
健治「えっ、本当!?」
スカイゼル「円盤のスピードを最高にする」
グランゼル「了解!」
一方、葉山博士たちの宇宙船。
竜治「健治たちのベース円盤がこちらに向かっているそうです!」
博士「健治が!? そうか……」
譲治「父さん、レーダーに異常物体発見! こちらに向かって接近しています。一体何でしょう……?」
博士「わからん……注意を怠るな!」
竜治「お父さん、ベース円盤です! ベース円盤がこちらに近づいてきます!」
博士「ドッキング用意」
竜治「了解!」
エツ子「健治くん、もうすぐお父さんやお兄さんたちに逢えるのよ!」
グランゼル「兄貴……」
ベース円盤と宇宙船がドッキング。
健治たちが宇宙船の中へと乗り込む。
健治「お父さぁん!!」
博士「健治……」
健治「お父さん……」
博士「健治!!」
父に飛びつく健治。再会を喜び、固く抱き合う。
健治「お父さん……」
博士「良かった……無事でよかった……! こらからはもう、ずぅっと一緒なんだぞ……」
健治「お父さん……」
博士「健治……」
スカイゼルと譲治、グランゼルと竜治がガッチリと手を取り合う。
キョーダイン「無事で何より……」
譲治「長い間、僕たちの代りによく戦ってくれた!」
竜治「ありがとう、キョーダイン……」
グランゼル「竜治さん……!」
スカイゼル「譲治さん……!」
再会の喜びをかき消すかのように、警報が鳴り響く。
譲治「竜治!」
竜治「うん!」
竜治が機器を操作すると、外の様子がスクリーンに映し出される。
先ほどレーダーが捉えた怪しい物体──ガブリンである。
博士「あ、あれは!?」
スカイゼル「えぇ、ガブリンです」
譲治「竜治、攻撃だ!」
竜治の操作で宇宙船から放たれたロケット弾がガブリンに命中するが、ダメージはない。
竜治「こちらのロケット弾は、ガブリンには効果がない……!」
譲治「このままだと宇宙船は危ない……」
ガブリンがみるみる宇宙船に接近して来る。
エツ子「きゃぁ!」
博士「急旋回!」
譲治「了解!」
宇宙船が旋回。かろうじて正面衝突を避けるが、ガブリンが宇宙船の側面をかすめ、船内に衝撃が走る。
グランゼル「おのれ……」
スカイゼル「父さん、僕たちのエネルギー極限発動装置を使うときが来たようです」
博士「いかん……それだけはいかん!」
グランゼル「お願いします、お父さん! 僕たちのエネルギーを極限までパワーアップすれば、ガブリンは倒せます!」
博士「お前たちの体がバラバラになって、燃え尽きてしまうんだぞ!」
グランゼル「それが僕たちの役割です……」
スカイゼル「諸共に滅びて、宇宙の星と輝けばいいんです」
博士「いかん……いかん……!」
再びガブリンが宇宙船に体当たり。
衝撃が走り、転倒した博士を譲治と竜治が支える。
譲治・竜治「お父さん……!」
スカイゼル「グランゼル!!」
グランゼル「おぅっ!!」
キョーダイン「パワー・アーップ!!」
スカイゼルとグランゼルが向かい合い、互いの胸部に手を伸ばし、エネルギー極限発動装置を始動させる。
増幅したエネルギーで、2人の体がみるみる赤熱化する。
博士「スカイゼル……グランゼル……!」
スカイゼル「大丈夫です……」
グランゼル「任せて下さい……!」
エツ子「キョーダイン!」
スカイゼル「グランゼル!!」
グランゼル「おぅっ!!」
健治「キョーダイン!! 待って、キョーダイーン!!」
キョーダインが宇宙船から飛び出す。
真っ赤な火の玉となったキョーダインが、ガブリン目掛けて突撃してゆく。
健治「死なないで、スカイゼル──! 死なないで、グランゼル──! キョーダイ─ン!!」
2つの火の玉がガブリンに激突。
大爆発──
健治「キョーダイ──ン!!」
ガブリンの姿は跡形もなく消え去った。そして、キョーダインの姿も……
爆風がやむ。
博士「健治……スカイゼルとグランゼルは、銀河宇宙の星となって、いつまでもお前を見守ってくれるよ」
竜治「お父さんの言う通りだよ……健治……」
譲治「健治、見てごらん……あの2つの星を」
星々の中に、ひときわ眩しい2つの星が輝いている。
譲治「キョーダインは……永遠に生きている!」
健治「そうだよね……そうだよね! 大兄ちゃん……小兄ちゃん……」
いつまでも2つの星を見つめ続ける健治たち……
おわり