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宇宙からのメッセージ 銀河大戦の最終回


さらば  銀河の勇者


(ナレーション)

大魔神像の前に閉じ込められたハヤトの前に、初めてロクセイア13世が姿を見せた。
ロクセイア13世、それははたして、ソフィアなのであろうか──


ハヤト「ロクセイア13世……ソフィアが、あのソフィアが……!?」

ロクセイアが玉座に据え付けられているレバーを操作する。
すると、大魔神像が宙に浮き、そのままロケット噴射で空の彼方へと飛んで行く。


バルー「魔神像が飛んで行く!? ハナちゃん、来い!」

リアベスペシャルの中で呑気に寝ているリュウのもとへ、バルーとハナが。

バルー「おぉいリュウ、リュウ! リュウ、起きろ! 起きろ、起きろってば!」
リュウ「ん……ハヤテは帰ってきたのか?」
バルー「いや、魔神像が飛んで行くのを見たんだよ」
リュウ「ハッ、残念だがあの魔神像だけは、どうにも手に負えねぇよ……」
バルー「チッ! えぇい……」
ハナ「トント、魔神像はどこへ向かってるの?」
トント「第1惑星シータ・ニ・向カッテイマス」
バルー「へ? い、嫌な予感がするなぁ……ガバナス大戦艦も、ロクセイアの大魔神像も、シータに向かっていく、か……」


一方、惑星シータ。

島の平和を願う神マニヨルの像は、ガバナスの手から逃れて湖の底深く沈んでいた
しかし……


コーガー「マニヨルの像はまだ見つからんのか!」

コーガー団長の部下が湖の底を探索している。
やがて、部下の1人が像を引き上げる。

部下「ありましたぜ、団長!」
コーガー「見つかったか、早くよこせ!」

部下から像を受け取る。コーガー。像の中に“人の星”が。

コーガー「これが、究極兵器エメラリーダとなる、3番目の“人の星”か……!」


宇宙を駆ける魔神像の中。

ロクセイア「間もなく3つ目の“人の星”も手に入る。そうばれば、この宇宙に恐ろしいものは、何もなくなる……」
ハヤト「ソフィア! 今まで……今まで俺たちを騙し続けていたのか!?」
ロクセイア「その通り。今頃気がついても遅い」

「いいえ! 騙されてはいけません!」

ハヤトのもとへソフィアが現れる。

ハヤト「ソフィア!?」
ソフィア「私が本当のソフィアです」
ロクセイア「その通り……ソフィアと私は、双子なのだ」
ハヤト「ロクセイアとソフィアが双子!?」
ソフィア「ロクセイアは……産まれながらに邪悪な心を持つ妹でした」
ロクセイア「お黙りソフィア! 双子の妹というだけで、ロクセイアは異次元宇宙から追放された……だから私は、この銀河宇宙に生きる道を求めた」
ソフィア「ロクセイア、あなたの生きる道とは、他の生命体を滅ぼすことではありませんか? 私は……あなたの道を阻みます!」
ロクセイア「フフ……今や“天の星”“地の星”はロクセイアのもの。もう、この銀河宇宙に恐ろしいものは何もない。まず、ハヤトを殺す!」
ソフィア「私が許しません!」

ソフィアがハヤトをかばうと、2人が光に包まれ、姿が消える。


そのとき。
ガバナス戦艦から出撃した戦闘機が、魔神像に攻撃を加える。

ロクセイア「何をするのじゃ! 我はロクセイアじゃ。余に反抗するのか!?」

戦闘機にはコーガーが乗っている。

コーガー「皇帝陛下、コーガーでござる。お目通りを」
ロクセイア「入るが良い」

ロクセイアが玉座のボタンを操作すると、コーガーがロクセイアのもとへ転送される。

コーガー「あなたが、皇帝陛下……?」
ロクセイア「コーガー団長。なぜ、大魔神像を攻撃したのじゃ!?」
コーガー「は、反乱でございます! 大戦艦が、リュウ・ハヤトめらに乗っ取られたのです」
ロクセイア「何じゃと!?」
コーガー「ですが御安心下さりませ。“人の星”はほれ、この通り」

“人の星”を手に歩み寄るコーガー。
ロクセイアがそれを受け取ろうとしたとき、隙をついてコーガーがロクセイアの“天の星”“地の星”を奪う。

ロクセイア「何をするのじゃ!?」
コーガー「3つの星はコーガーが頂戴申したわ!」
ロクセイア「愚か者め……うぬが持っていても何にもならぬ。それより、ここからどうして逃げられる?」
コーガー「コーガー忍法、五体縮小の法!」

コーガーの体がみるみる小さくなり、まんまとロクセイアのもとから逃げ去ってしまう。

ロクセイア「おのれ、コーガーめ……!」


戦艦内の部下のもとへ、ロクセイアの通信が届く。

ロクセイア「コーガーはどうした、どこへ行ったのだ」
部下「はっ、コーガー団長はガバナス戦闘機で、シータへ行かれました」
ロクセイア「謀りおったな……!」


惑星シータ。

コーガー「来いロクセイアよ! 来て、わしが前へ伏すが良い! 天・地・人、3つの星はわしが手中よ!」

そこへ、どこからともなく声が響く。

「コーガー団長! 悪の心を持つお前には、天・地・人の星は味方せん!」
「その通りだ! あきらめて3つの星を渡すことだな!」

コーガー「フフフ、欲しくば取ってみよ! 見えざる一の太刀!」「見えざる二之太刀!」

コーガーが岩目掛けて剣を振るうと、岩陰から流れ星・まぼろしの2人が颯爽と現れる。

2人「銀河の果てからやってきた」
流れ星「正義の味方、流れ星!」
まぼろし「平和の使者、まぼろし!」
コーガー「フフフ……忍者兵団団長ニン・コーガーの力、今こそ見せてやろうぞ」

激闘が始まる。
流れ星とまぼろしの剣と、コーガーの剣が激しくぶつかり合う。

コーガー「岩石落とし!」
流れ星「岩石返し!」
まぼろし「コーガー!」
コーガー「おのれ、まぼろし! 火炎剣!」
まぼろし「火炎返し!」

コーガーの繰り出す術を、2人がはね返す。
そして激闘の末、2人の剣がコーガーの剣を弾く。

流れ星「まぼろし! 電撃二段撃ちだ!」

2人の必殺剣、電撃二段撃ちが炸コーガーの胴に炸裂。

コーガー「渡さん! 3つの星、うぬらには渡さん! わしが命、十五太陽系と……引き換えよぉ!」

3つの星を手にしたまま、コーガーが爆発……。

まぼろし「しまった!」
流れ星「3つの星が……!」

と、そのとき、爆煙の中から3つの光が飛び出す。
すかさず、まぼろしがそれを受け止める。

流れ星「3つの星だ! 天・地・人!」
まぼろし「これで、ロクセイアを倒す究極の兵器エメラリーダになる!」


リュウとハヤトが3つの星を手に、リアベスペシャルの艦内へ戻る。

バルー「おぉ、3つの星は?」
ハヤト「この通り!」
バルー「やぁ、これがそうかい!」
リュウ「おいトント、魔神像の現在の位置は?」
トント「危険デス・魔神像ハ・太陽・グローラーニ・向カッテイマス」
ハヤト「グローラーに!?」
リュウ「よぉし……!」


グローラーを目指す魔神像。

ロクセイア「聞け、シータの人間どもよ! 余は太陽グローラーを破壊する……! 太陽グローラーがなくなれば、第15太陽系は滅びるであろう……」

バルー「ヘッ、ロクセイアの奴、えれぇこと言ってやがる」
リュウ「よし! 早いとここの究極兵器エメラリーダで、片付けようか」
バルー「あぁ。この3つの玉をよ、どうやればエメラリーダになるんだい?」
リュウ「……ハヤト、こいつ一体どうやって使うんだ?」
ハヤト「ゲン一族のメッセージには、使い方まではなかったんだ」
バルー「何だとぉ? じゃ、宝の持ち腐れかよ。チェッ!」
トント「ソフィア様デス」

トントの言った通り、ソフィア、ヒミメ、ハナ、ケンが現れる。

ソフィア「邪悪の限りです……ロクセイアは第15太陽系を死滅させようとしています」
ハヤト「わかっています。でも3つの星の使い方がわからないんだ」
ソフィア「3つの星を揃えたのですか!?」
リュウ「この通りね」
ヒミメ「まぁ、綺麗……」
ソフィア「その使い方は……私が知っています!」
ハヤト「ソフィアが!?」
バルー「そりゃ良かった! さっすがぁ!」
ソフィア「3つの星を正三角形の位置に持っていくのです。その中心にロクセイアが入れば、究極兵器エメラリーダとなって、エネルギーがロクセイアに降り注ぎ、ロクセイアは果てるでしょう」
ハヤト「よぉし、3機に3つの星を乗せて攻撃だ!」
トント「トントガ・タイミングヲ・取リマス」
リュウ「殿下、皇女、ハナ! ロクセイアの最期が見られるぞ!」
ハヤト「ソフィアはここにいて下さい」
ソフィア「私も行きます」
ケン「危険ですよ!」
ヒミメ「行かないで、お姉様」
ハナ「そうよ、ソフィア様」
ハヤト「僕たちに任せて下さい」
ソフィア「大丈夫よ……私がロクセイアをおびき寄せます」
リュウ「よぉし、ロクセイアと対決だ!」
バルー「あぁ、やったるぜぇ!」
ハヤト「よし!」


リアベスペシャルがシータを飛び立ち、魔神像を追う。

トント「魔神像ガ・方向ヲ・変エタ」
バルー「フフ、今に見てろ!」
リュウ「よぉしトント、タイミングを頼むぞ!」

ソフィアを乗せた宇宙帆船プレアースター号が、魔神像をハヤトたちのもとへおびき寄せる。
リアベスペシャルからハヤトのコメットファイター、リュウのギャラクシーライナーが分離・発進。
リアベスペシャル艦内ではバルーが操縦桿を握る。

ハヤト「天の星……!」
リュウ「よし、地の星……頼むぞ!」
バルー「人の星よ、頼りにしてるぜぇ」

3人、それぞれの星をカプセルに込め、操縦席のスロットへ装填する。

トント「魔神像・接近・接近」
ハヤト「ソフィア! あとは僕たちに任せて、シータに戻ってくれ!」
ソフィア「わかりました……私はシータに戻ります」
リュウ「じゃあソフィア、シータでまた会いましょう!」
トント「三角形・攻撃・スタンバイ」
バルー「OK!」

魔神像がハヤトたちの視界の中へ。

ハヤト「見えた……」
リュウ「ロクセイア……!」
バルー「ゼーラの神よ……守りたまえ……」
トント「トント・秒読ミ・始メル」
ロクセイア「おのれ……思い知らせてやる!」

コメットファイター、ギャラクシーライナー、そしてリアベスペシャルが正三角形を描き、魔神像を捉える。

ハヤト「投下!!」

3機がそれぞれの星を込めたカプセルを、魔神像目掛けて撃ち出す。
カプセルが光を放ち、魔神像を包み込む。

ロクセイア「まさか……エメラリーダの秘密を!?」
ハヤト「光に包まれた……!」
リュウ「あれが究極兵器エメラリーダ……!?」
バルー「ヒャッハァ、成功!」

だが魔神像は光に包まれているだけで、一向に爆発しない。

ハヤト「どうしたんだ……爆発しないぞ!?」
ロクセイア「エメラリーダを手に入れても、“命の星”が輝かぬ限り、余を倒すことはできん……やがて光の輪が消えたとき、そなたたちの最期じゃ!」
ハヤト「何だって……命の星!?」
リュウ「……ハヤト! ソフィアの帆船だ!」

プレアースター号が接近。

ハヤト「ソフィア! 何をする気だ!?」
ソフィア「ハヤト、本当のことを言います……究極兵器エメラリーダには、私のこの宝石“命の星”のエネルギーが必要なのです」

ソフィアの胸元に宝石が光っている。
それこそがエメラリーダ発動の最後の鍵“命の星”であった。

ロクセイア「ソフィア! そんなことをすれば、お前も死ぬぞ!」
ハヤト「ソフィア!?」
リュウ「死ぬ気かぁ!? ソフィア!」
バルー「ソフィア!」
ソフィア「ハヤト、リュウ、バルー……さようなら、皆さん。本当に楽しい毎日でした……でも、私はこの銀河宇宙に長くいられません。私の命は尽きようとしています。皆さん、さよなら……」
バルー「……やめてくれ!ソフィアーッ!!」
リュウ「ソフィア……」
ハヤト「ソフィア!!」

プレアースター号から放たれた“命の星”の光が魔神像を捉える。
魔神像が赤熱化し始める。

ロクセイア「ソフィア、お前はそれほどまでに」
ソフィア「ロクセイア。私と共に、この宇宙から消えるのです」
ロクセイア「ソフィア……」
ハヤト「ソフィアァァ──ッ!!」

炎に包まれた魔神像がガバナス戦艦に衝突し、戦艦もろとも大爆破。
そして、その爆風の中にプレアースター号も飲み込まれてゆく。

ハヤト「ソフィア!!」
リュウ「ソフィア──!!」

凄まじいエネルギーの奔流に、ハヤトらの3機も吹き飛ばされる。


惑星シータ。

血のように真っ赤だった雲が晴れる。
空を見上げるヒミメ、ハナ、ケン。

ヒミメ「ハヤト──!!」
ハナ「リュウ──!!」
ケン「バル──!!」


空には一筋の飛行機雲が描かれている。
飛行機雲の端が地に届いており、その先の荒野に、ハヤト、リュウ、バルーが倒れている。

やがて、3人が目を覚ます。

バルー「はは、助かったぃ……」
ハヤト「皆……無事だったんだな」
リュウ「そうだ……みんな終わったんだな」
バルー「へへっ、な、何たるこった」

ヒミメたちが3人を見つけ、駆け寄る。

ヒミメ「ハヤト、お姉様は?」
ハヤト「ソフィアは……僕たちの平和を願って、消えたよ……」
ヒミメ「お姉様が……!?」
ハナ「ソフィア様が……」
ケン「消えた……!?」

言葉に詰まる一同を元気づけるように、リュウが無理に笑顔を作る。

リュウ「皆、そんな悲しい顔すんな! ソフィアが、きっとどっかで見てるよ」
ハヤト「そうとも。ソフィアは消えた……だが僕たちの思い出となって、永遠に生き続けるんだ!」
バルー「そそ、そうだよな、みんな……」

空を見上げる一同。


平和が戻ったことを象徴するかのように、青空がどこまでも続いている……。


ガバナス帝国は、今、滅びた
第15太陽系は平和を取戻すことができた
ハヤト、リュウ、バルー、3人の勇気と、ソフィアの愛は
次元を超えて、いつまでも、宇宙に残る

いつまでも……


おわり
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