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(あらすじ)
格闘の達人・淳平、軍事オタク・律子、オスカー女優・愛理はエルフの長であるセルシアによって異世界に召喚されてしまう。
元の世界に戻るためには、5つに散った呪文のかけらを体にプリントされた5人のエルフを探し送迎呪文を完成させなければならない。
呪文のかけらを確認するため、手当たり次第エルフを脱がしまくる4人。
すべての呪文のかけらを集め日本と異世界の間を繋ぐ異空間同士の常時接続の案に基づいた送元の儀式が開始される。
無事に日本に帰国する三人、しかし異空間を結ぶロープは限界を超えていた。 セルシアは再度儀式を行なおうと三人を召還しようとするが、異空間の狭間に落ちてしまう。


ラーメン屋「行方不明者は召喚魔術師のセルシア・マリクレール?」

男「出身は……剣と魔法のファンタジー世界」
女「何それー!」

スケートボーダー「種族はエルフでとにかく耳が長い…………?エルフって何?」

警官「あのねキミ!こういうイタズラは…」
淳平「ちッ、どいつもこいつも話にならねぇな まぁいいさ万一どこかで保護したときにせいぜい驚け」
警官「なんなんだ一体…ゲームか何かか?」

淳平「……」

そんなんじゃねぇ

   最後のエルフ狩りだ!!

♯97 元の世界に戻るモノたち【後編】



淳平「―――――とは言ったものの…………かれこれ数か月……手がかりさえつかめねえな」
律子「エルフ狩りを始めた頃にもこんな会話をしたような気が…」
愛理「そもそもセルシアさんが日本に辿り着いていると仮定すること自体無理があるわね」
律子「かと言って他に探しようもありませんし」

淳平「ちッ!!あのロープさえ切れなきゃあ……………」
律子「それは言わないのダメでもともとでしょ?」

淳平「…………俺はダメだなんて思っちゃいなかったぞ」

律子「―――――え?――だって自分で…!!」
淳平「仮にダメでも泣くことじゃないって言ったんだ!!可能性が低かろうとセルシアならやってのける――――そう信じてたんだぜ俺はよ」

律子・愛理「………」

律子「淳平…」
淳平「それをあのアホウ!なぁにが「さよなら」だ!諦めてんじゃねぇっつーの!!おかげでカレーも食えやしねぇ!」

律子「神保町のカレー屋さんまだ行ってなかったの?あんなに楽しみにしてたくせに」
淳平「う」

律子は、からかうような表情になる。

律子「……へ〜〜え ふ〜〜〜ん どうして?」
淳平「うるせえ!いつ行こうと俺の勝手だろ話をそらすな!!」
律子「ねぇどうしてよ。ねぇ!」
淳平「え〜〜〜つまり悪いのは途中で諦めたセルシアなわけで……………ん?」

律子・愛理「………?」

律子「どうしたの?」
淳平「セルシアは諦めた。さよならと言いやがった。それが失敗だったんじゃねぇのか?」

律子「………………はぁ?」

淳平「いかんな この俺としたことが、やけにファンタジーなアイデアを思いついちまったぜ」

そして夜。
東京タワーの送迎した際に空いた次元の穴にむかう。

淳平「よ〜〜〜し まだ塞がらずに残ってやがる」
律子(……誰も気づいてないのかしら)
愛理「この異世界製のロープを飲み込もうとしたまま膠着しているのね」
淳平「んじゃ ちょいと行ってきますよ」

愛理「淳平くん 私も行くわ」
淳平「愛理さん!」
律子「私も!」

淳平「律子もかよ………!!さっきの俺の話を信じるんですか?」
愛理「試すべきだわどんなにリスキーでも」
律子「信じるっていうより信じたいし」

淳平「じゃあ みんなで行くとしましょう 元の世界へ!!

3人は手を繋ぎ時空の穴に飛び込む。

律子「………!?な……何これ!!どこなの!?」
淳平「落ち着け律子!ちょっと寄り道しているだけだ!!――――絶対に諦めるんじゃねぇぞ!!」
律子「すごい!次から次へと いろんな世界が…………!!」
愛理「すべての場所であり すべての時間である……………か セルシアさんの言ってた通りね」

律子「あ あれは! あの時のセルシアさんだわ!!これは最後の呪文のかけらを見つけた時!それからこれは…あれは…!!」

アホウドリになって戻れなくなった姿、サルになって戻れなくなった姿、パンダになって戻れなくなった姿、犬になって戻れなくなった姿。
さまざまな時間のセルシアが見える。

律子「………!!時間をさかのぼっているのね…」
淳平(……………あいつの歴史は動物だらけだな)
愛理「セルシアさんの宮殿だわ」

それは異世界の召喚呪文を解読しようとしていた頃…

ビイナル『途中で脱いでくれても よろしいのですが儀式に集中するためにはいっそ始めから』
セルシア『そういうことじゃなくて!!』
ビイナル『解読に成功すれば古代人の知恵を授かることができるのですぞ』
エイナル『コモンエルフ族のリーダーを務めるセルシア様には この儀式を行う義務と責任が…』

律子「私たちが召喚される前の頃でしょうか」
愛理「そのようね」

ビイナル『セルシア様どちらへ…?』
セルシア『決まってるでしょ!トイレよ!!』
ビイナル『見え透いた嘘をッ!!』

淳平「まったくだ」
律子「あ」

そのすぐ近くに時空の穴が開き時限の狭間に落ちたセルシアが…。

淳平「セルシアじゃねぇか!!」

セルシア『う……う〜〜ん…こ…ここはどこ?私は……私は誰!?』

律子「―――――――…え!?」
淳平「あのアホウ!!記憶が……!!」

セルシア『私は誰なの!?誰か私に力を貸して!!』

淳平「む」
律子「あ」
愛理「………」

3人「あ〜〜〜〜〜ッ!!」


異世界

アネット「………お手上げだわ 時空の狭間に落ちたセルシア様をこれ以上どうやって探せばいいのか……」
ルファード「やはりこうなったか」

犬の姿のルファードが鎖に繋がれ連行されている。

エイナル「コラ 余計な口をきくでない 取り決め通り本日付でルファードの身柄をお譲り親します」
「確かに引き受けしました あとは国際司法裁判所にお任せください………セルシア殿が無事に発見されますよう祈っておりますぞ」
ルファード(無理だ見つかるわけがない 私さえもっとしっかり邪魔しておけばこんなことには……)

淳平「待て待て待て〜〜〜い!! その犬待て〜〜〜い!!」

アネット「あ………!!」
ルファード(何ィ!?)

時空の穴が開き異世界に淳平たちが降り立つ。

エイナル「淳平殿!!愛理殿 律子殿も!!」
淳平「ちょいと借りるぜ!」

喜ぶみんなをよそに淳平はルファードを引っ手繰る。

「え?ああこらッ!!その犬は国際指名手配中の………!!」

淳平「おまえの正体は何だ言ってみろ]
ルファード「正体?何を今更 留守番のル!ファイトのファ!ど根性の……」
淳平「このアホ野郎!!鎖を外してやるから元の姿に戻って見やがれ!!」

魔法を封じる鎖を外す淳平に一同意図がわからず戸惑う。

ルファード「……ふん 何のつもりか知らないが望むところだッ!!指輪よッ!!あるべき姿に戻したまえ!!

変身指輪が輝きルファードは犬の姿から元に戻る。

ルファード「どうだ?これでわかっただろう?私は世界征服を目論む邪悪な魔導師……」

しかし、まだ変身指輪は輝き続け別の姿になろうとしている。

セルシア「ルファード様だ!!

変身が解けるとその姿は時空の狭間に落ちたときの格好のセルシアだった。

「「「!?」」」

驚く一同に対して完全に呆れた表情の淳平たち3人。

セルシア「……………あれ?」

鏡で自分の姿を確認するセルシア。

アネット「セ セルシア様!?」
エイナル「淳平殿!これは一体……………!!」

淳平「時空の狭間に落ちたセルシアがその後どうなったのか 俺たちはたった今この目で見てきたのさ」


セルシア『私は誰なの!?誰か私に力を貸して!!』

力を貸してというキーワードに変身指輪が反応する。

セルシア『私は一体……!!』

身元がわかるものを探してポケットからボロボロの紙切れを見つけ出した。

セルシア『?……私は世界征服を目論む邪悪な魔導師ルファード…………私はルファード?ルファード ルファード………』

そうしてルファードの顔を思い浮かべる。

セルシア『そうだ私はルファードだッ!!』

変身指輪の力でセルシアはルファードの姿に変わる。


話を聞いて呆然とする一同。

「な……何だって?」
淳平「ルファードなんていう悪党は実在しなかった 最初からてめぇの一人二役だったのさ」

怒りで淳平の身体が震え拳を握る。

淳平「なにが世界征服だ 何がルファード退治だ そんなことのために――――――……よくも俺たちを召喚してくれたなぁオイッ……!!

鬼のような形相になりセルシアに迫る淳平。

セルシア「ちょっと待て!!そんな説明で納得できるか!!だ だって……このゴージャスな服着た超美人は誰ッ!?」
淳平「ああ そうだった その格好じゃわかるまい一度裸になって――――――――……出直しやがれッ!!

服を脱がすと同時に後ろ回し蹴りでセルシアを吹っ飛ばした。そしてセルシアは御本山の石像にぶつかる。

セルシア「!!お……お…思い出した…!!思い出したわ――――ッ!!」

石像にぶつかったショックでセルシアの記憶が戻り、それと同時に石像が崩れていく。
それを見て満足そうに笑う淳平。

淳平「ふん エルフ狩り完了ッ!!


日本

セルシア「素敵だわ〜!!これが日本なのね〜!!」
愛理「こんな風に過ごせるのもふたつの世界の常時接続が実現したからこそよ ありがとうセルシアさん!」
セルシア「私だけの手柄じゃないわよ―――――――そういえばあの時どうやって日本から元の世界に戻って来れたの?」
律子「ああ あれね?ロープは切れちゃったけど それでも切れずに残っているものがあったのよ」

セルシア「え?」
律子「つまり私たちとセルシアさんとの―――――――……心の絆―……」
淳平「んなわけねぇだろアホウ!!」

後ろから律子の頭を叩き言葉をさえぎる。

律子「な 何よ最初に言ったのは淳…」
淳平「違うっつーの!!あれはつまりその…………俺の魔法だ」

律子「はあ?」
淳平「魔法だ魔法!!異世界のこともセルシアのことも どうだってよかったんだが義理もあるからしょうがなく俺が魔法を使ったんだよ!!」
セルシア「へ〜〜〜え 魔法が使えるようになったんだ!ファンタジーは大嫌いなくせに」
淳平「うるせえ それよりホレ!買ってきたぞ!!」

セルシア「わあ!!これが噂のカレーライスね!?いい香り〜!」
淳平「花見カレーっつーのも一興だろ?」

愛理(………最初に私達を召喚した「召喚呪文の書」は あの時セルシアさんもろとも時空の狭間にきえたのよね……どこか違う世界で誰かに拾われていたりして)

不可視の座に住まう
大球の諸力よ

時空を違えし
異世界に住まう汝らよ


淳平「これだ……!!この瞬間のために俺はエルフを脱がしてきたんだ!!」

タブレットの御名と
文字を通して
ここに願う……


淳平「カレーよし!ライスよし!チーズよし!スプーン……よしッ!!」
セルシア「―――じゃ食べよっか」

我が召喚に応じ給え!!

4人「いただきまーす!!」

END
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