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ウルトラマンダイナの最終回
 

最終章V
明日へ…
 

ナレーション「地球消滅の危機に、クラーコフは最終兵器・ネオマキシマム砲を搭載。巨大なる闇を迎え撃つべく、発信した……」

ウルトラマンダイナがネオガイガレードに挑む。

ダイナ「俺は今、君だけを守りたい!」

リョウ「アスカ……」

ダイナのパンチがバリアを破る。

コウダ「行け―――!!」

ネオマキシマ砲がネオガイガレードを破壊。

グランスフィアに吸収される。

ヒビキ「ネオマキシマ砲が……」

クラーコフが吸い込まれそうになる。

ヒビキ「まだ終わるわけにはいかねぇ!!」

コウダ「エンジン全開!! 何とか、闇の重力圏から脱出しろ!!」

ナガシマ「ダメです!! 全機能、正常に作動しません!!」

するとクラーコフの前にダイナが出現。

ソルジェント光線を発射。

笑い声が響く。

クラーコフの機能が回復。

ナガシマ「重力が戻った……今です!」

コウダ「ネオマキシマ始動! 全速力で闇より離脱!!」

マイ「ラジャー!」

クラーコフは猛スピードで空間から離れる。

リョウ「アスカ!」

ダイナもガッツシャドーを抱えて逃げる。

ガニメデ基地がグランスフィアに吸い込まれる。

クラーコフにリョウを抱えたアスカが戻る。

アスカ「着いたぜ……」

リョウ「「君だけを守りたい」なんて……正義の味方のセリフじゃないわよ……」

アスカ「かもな……でも俺は……俺だから……」

アスカが倒れる。

リョウは間一髪アスカを受け止め、抱きしめる。

アスカ「リョウ……」

地球の空は、グランスフィアで覆われていた。

フカミ「スフィア……なんて巨大な……」

隊員「地上各都市上空にも、同じ球体が出現しています!」

フカミ「なんだと!?」

グランスフィア「地球人類よ―――その者たちの中へと、同化せよ。その者たちもかつて、お前たちと同じような人間であった―――限りある命に怯え、互いに争い、遂には自らの星をも破滅への危機へと追いやった。だが彼らは、克服したのだ! 人を、あらゆる有機物、抜き物を……遂には惑星自体を1つに融合し、完成させた完全無欠の生命体……それが私だ!」

ミドリカワ・マイがスフィアを調べる。

マイ「出漁0! あの球体は……実動ではありません!」

グランスフィア「まだ間に合う―――知友が滅び去るその前に、私はお前たちを迎え入れようと……私こそ地球の歩むべき、未来だ」

コウダ「でたらめだ! そんな完璧な世界などあるものか!」

ナガシマ「でも……意味は叶ってます……人間も科学が……全ての生態系を改造できれば……環境破壊による滅亡を回避できる……」

ヒビキ「でもそれは……生きてるっていえるのか!?」

ナガシマ「……え?」

ヒビキ「死がなくなる代わりに……夢も……ロマンもなくした世界に! 本当に俺たちが目指している未来なのか!?」

ナガシマ「でも、それは……」

ヒビキ「不完全でいいじゃないか! 矛盾だけでも構わねぇ!! 人の数だけ……夢がある。俺はそんな世界の方が好きだ!」

カリヤ「それに奴らは多くの人の命を奪った! 今度だってリョウとアスカを!!」

アスカ「俺たちは生きてますよ!」

アスカとリョウがやってくる。

コウダ「お前たち……どうやってここに!?」

アスカ「忘れたんスか? 俺は不死身のアスカ。うっ!」

カリヤ「危ない!」

ヒビキ「アスカ! 信じていたぜ……こうやってまた……仲間の元に返ってきてくれるってな!」
 
 
火星 地表
 

マイ「ダイモス消滅! 火星が超重力の影響下に入りました!」

コウダ「ネオマキシマ充填まであと1時間! 間に合うのか!?」

ヒビキ「この戦いに、俺たちが負ければ……人類全ては闇に消え去る」

コウダ「しかし……敵のバリヤーを破らない限り、殲滅は不可能です!」

アスカ「ストレートでダメなら……ボール玉を食らわせるしかない!」

カリヤ「ボール玉を……食らわせる!?」

アスカ「あの闇から脱出するとき……俺は確かに見たんです。奴がバリアーを張った瞬間……その奥に中心核の姿が! 敵がバリアーを一転に集中したとき、脇ががら空きになる! だから吊り球に……奴の注意がそれた瞬間……勝負球をぶち込みさえすれば……」

ナガシマ「ちょっと待った! もしそれが事実なら……我々にもまだ勝ち目がある……でもアスカ……お前それいつ見たんだ!?」

アスカ「え? いや、だから……」

コウダ「後がない状況だ。根拠なしで作戦は決められない」

アスカ「あの……え……」

ヒビキ「奴がクラーコフを庇い……光線を撃ったときだ……そうなんだろう!?」

リョウ「隊長……アスカのこと……」

頷くヒビキ。

ヒビキ「お前は……目立ちたがり屋の、単細胞野郎! そんなお前が……今まで黙ってた。自分が……ダイナってことを!」

この一言に驚く隊員たち。

ヒビキ「なぜだ……? なぜ1人で苦労を背負い込んだんだ!?」

アスカ「俺……確かに目立ちたがり屋だけど……それ以上に照れ屋なんスよ……」

リョウは笑みを浮かべる。

TPC基地

隊員「クラーコフより入電! 火星軌道上で闇に対し、最終作戦を決行するとのことです!」

フカミ「ネオマキシマ砲を封じられ……勝算はあるのか!?」

「部下たちをまだ信用せんのか? それが総監としての役目だ……」

やってきたのはサワイ総監とイルマ参謀だった。

フカミ「サワイ総監……」

イルマ「彼らは……きっと勝ちます……そしてここへ帰ってきますよ……」

クラーコフ

コウダ「闇は衛星フォボスに接近したとき……ネオマキシマ砲を中心核に発射。敵のバリヤー発生と同時に……」

アスカ「俺のウイニングショットで……確実に決める!」

この一言に頷くヒビキ。

ヒビキ「作戦開始は30分後だ……各自……準備にかかれ!!」

一同「ラジャー!!」

アスカがアルファスペリオルの格納庫に向かう。

ナガシマがセッティングをしていた。

アスカ「ナガシマ隊員……」

ナガシマ「ん? いくら技術が進んでもな……最後はこうやって、人の手で調整してやることが大事なんだ……」

アスカ「さっき俺が戻ったとき……隊長に反論されてたでしょう?」

ナガシマ「うん……なんかねぇ……久々に親父のこと思い出しちゃった……隊長に言われた言葉……親父とそっくりだった……」

アスカ「え?」

ナガシマ「一流の学者なのにさ……夢だのロマンだのって、まるっきしお金には縁遠くって……結構家族が苦労したんだよ。俺も恨んだ……親父の生き方なんてダメだと思った。だから俺は、絶対人に認められるような科学者なってやる。そう思ってた……そしてなった。けどな……俺が今、こうやって頑張っていられるのはさ……親父のおかげなんだよね。俺どっかで……親父のこと、尊敬してるよ。俺はずーっと、誰がなんと言われようが、どういわれようが……親父のことが好きだった! 矛盾だわこれ。矛盾……俺の嫌いな矛盾だね」

アスカ「でもそれって……素敵な矛盾っスよ」

ナガシマ「バカ! おい変なこと言うなお前! 手元狂うじゃねぇか!」

アスカ「俺も……親父に負けないように頑張ります!」
 

衛星フォボス
 

フォボスの地上やバイオパークが破壊。

そこからクラーコフが飛び立つ。

コウダ「アスカ……発信準備はいいな?」

アスカはアルファスペリオルに乗っていた。

アスカ「勇気びんびん! いつでもいけます!」

コウダ「コンピューターの計算だと……闇の破壊と同時に巨大な重力崩壊が生じる! 光すら脱出不能な……時空の歪みだ!」

アスカ「俺が決め球を決めるとき……近づきすぎるなってことですよね? そりゃもう何度も……」

コウダ「何度言ってもお前はすぐ無茶をするだろう! はぁ……アスカ……今度ばかりはいつもと違う! 時空の歪みに飲まれたら……たとえお前でも二度と! 二度と帰ってこられなくなるぞ!」

アスカ「大丈夫です! 俺は帰ってきます! 次に空を飛ぶために……次もまた……空を飛ぶために」

リョウ「アスカ……」

アスカ「俺は必ず帰ってきます!」

ヒビキ「時間だ……作戦開始!!」

アスカ「アスカ……発進します……」

クラーコフからアルファスペリオルが発進。

それを地球の人々が見ていた。

リョウ「アスカ……一度聞きたかったんだけど……どうして……そう前にばかり向かおうとするの?」

アスカ「それが……人間だから……」

リョウ「え?」

アスカ「親父が教えてくれたんだ。人間は……前に進む力を持っている! だから今……俺たちはここにいる!」

モニターの前にマイが立つ。

マイ「アスカ……」

アスカ「マイ! ダイナなんてかっこいい名前付けてくれてサンキュー。結構気に入ってたんだぜ……」

マイ「ダイナミックのダイナだよ……ダイナマイトのダイナ……そして……大好きなダイナ!」

アスカ「ありがとな……マイ……」

マイの目から涙が零れ落ちる。

アスカ「父さん……行くぜ……」

アスカがダイナに変身。

アルファスペリオルから飛び立つ。

ダイナを見つめるヒビキたち。

地球

ミシナ「カズマ……見てるか? お前の息子だ!」

クラーコフ

リョウ「アスカ……行ってらっしゃい!」

ヒビキ「各員……最終砲撃準備!!」

一同「ラジャー!!」

マイ「発射角修正……目標、闇中心核!」

クラーコフがネオマキシマ砲発射体勢に入る。

ダイナはグランスフィアに向かう。

グランスフィア「お前は何だ? なぜ私の邪魔をする!? 消えろ!」

グランスフィアの雷光がダイナを怯ませる。

そんな中、クラーコフがエネルギーを充填。

ナガシマ「ネオマキシマ砲……エネルギー臨界!!」

カリヤ「照準ロック、完了!!」

マイ「アスカ……攻撃ポイント到達まで、距離2000!」

ダイナは闇の中に入り込む。

グランスフィア「闇に溶け、地球は正しい進化をする。お前には何ができる? 闇に溶けろ、私に従え!」

周りに怪獣たちが出現。

ダイナ「ふざけるな!!」

ダイナの光線が怪獣を粉砕。

クラーコフ

マイ「アスカ……中心核への有効射程距離に到達しました!」

ヒビキ「よーし!!」

コウダ「カリヤ! ネオマキシマ砲発射!!」

カリヤ「ラジャー!!」

クラーコフからネオマキシマ砲が発射。

これにより闇が開き、グランスフィアが見える。

ヒビキ「今だ、アスカ!!」

ダイナ「俺は俺だ! ウルトラマンダイナだ!! 届け―――!!」

ソルジェント光線が炸裂。

グランスフィアが大爆発。

時空の歪みが発生。

カリヤ「やった!」

コウダ「アスカ! すぐそこから離れるんだ!!」

ダイナは急いで歪みから離れる。

しかし、すぐ歪みに捕まり、吸い込まれてしまう。

ダイナ「負けるか―――っ!!」

ダイナは歪みの中へと消え去った。

マイ「いや―――っ!!」

リョウ「アスカ!!」

歪みはそのまま消えていく。

クラーコフが元に戻ると宇宙が光りだす。

それを花を直していた元GUTS隊員、マドカ・ダイゴがバイオパークで見ていた。

ダイゴ「光……」

「パパ!」

そこへダイゴの娘・ヒカリと妻・レナがやってくる。

ダイゴ「ヒカリ!」

ヒカリ「いっぱい壊れちゃったね!」

クラーコフ

フカミ「闇に飲み込まれた全ての惑星は戻った。アスカ隊員の力が奇跡を起こした! 本当に……ご苦労だった……全人類を代表して……礼を……言わせてもらう!」

通信が途絶える。

ナガシマ「星が……帰ってきたのか……」

マイ「それじゃどうして? どうしてアスカは帰ってこないんですか!?」

カリヤ「俺たちは……アスカの命を引き換えに!」

コウダ「アスカは死ぬものか!」

マイ「でも……」

リョウ「アスカは帰ってくる! いつか必ず……」

ヒビキ「リョウ……」

リョウ「アスカがそう約束したから……アスカは……今でも飛んでるわ……前へ向かって……」

異空間

光が溢れ、アルファスペリオルに乗るアスカが目を覚ます。

その向こうにはアスカの父・カズマの乗るプラズマ百式が飛んでいた。

2機は光の向こうへ飛び立つ。

宇宙の向こうがまた光る。

ヒビキたちはそれを見ていた。

カリヤ「あれは……」

マイ「星……ウルトラの星!」

ナガシマ「ウルトラの星。か……」

ヒビキ「俺たちも行こうじゃねぇか……アスカに追いつけるようにな!!」

リョウ「隊長……」

コウダ「ラジャー!!」

一同「ラジャー!!」

ヒビキ「夢を信じられる限り……光はここにある!」
 

(終)
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