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●前回のあらすじ

ロボタニアを守り爆弾で機能停止してしまったアトム。

お茶の水博士による復活の試みも失敗が続く中、そこに現われた天馬博士はアトムを預かり見事復活させた。
だがアトムは”アトム”としての記憶を失い、”天馬トビオ”としての偽の記憶を与えられていたのであった。

トビオを外の世界から隔離し暮らしていこうとする天馬博士。
だが、お茶の水博士や妹・ウラン、ケンイチら友人達に危機が訪れた時、アトムは己を取り戻す。

絶望した天馬博士は、自らのロボットで科学省に攻撃をかける


今ここに、アトムと天馬博士による最後の戦いが始まろうとしていた・・・・・












●最終話 最後の対決









  (空飛ぶロボット犬の上に乗り、無数のロボット犬を指揮する天馬博士)



天馬「ついに全ての決着をつける時が来たのだ!」




  ガチガチ(天馬博士の命令を受け科学省を襲撃していくロボット犬たち)

  バシュ(科学省のシステムに侵入するロボット犬。次々にシステムダウンしていく)



職員「Cブロック、警備システムダウン!」
  「Fブロック、出力ダウン!」
  「kブロック、Jブロックダウン!」

  (混乱する職員たち。お茶の水博士とアトムが駆けつけてくる)

お茶の水「何事じゃ!」
職員「省内の警備システム、LANシステムがあっというまにダウンしました!」
お茶の水「何じゃと!?」

  バシュバシュ、ドカン!(次々に煙を吹き、爆発していくシステム)



  シュー!(ガスを省内の隅々まで送り込んでいくロボット犬)



  シュー! ドガン!(省内の各所で噴出すガス。それに触れると建物が崩壊していく)



  シューシュー!(両腕のジェット風でガスを散らそうとするアトム)

アトム「ガスの勢いが強すぎる!」
お茶の水「強化プラスチックを腐食させるガスじゃと!?」
夕子「プラスチックからも有毒ガスが!」
アトム「博士! このままだと・・・!」
お茶の水「!!・・・・・・・総員待避!!!」


  (お茶の水博士の指令のもと、科学省から脱出していく人間・ロボットたち)



  ピーーーン!(警戒音が響く科学省)



  バゴン!(ガスがもうもうと立ち込める中、防毒膜で顔を覆い、扉を破って進む天馬博士)



  (愁いを帯びた表情の天馬博士。かつての記憶を呼び覚ます)









天馬「トビオ、私の作るロボットが見たいか?」
トビオ「へえ?」

  (在りし日のトビオ。天馬博士の実の息子である人間・トビオだ。)

天馬「次の日曜日、科学省を案内してやろう」
トビオ「次の日曜? 僕の九歳の誕生日だね!」
   「やったぞロビタ!」
ロビタ「!!??」

  (うれしさのあまり、後ろに来た家事ロボット・ロビタに抱きつくトビオ)

トビオ「そうだ! ロビタもいっしょに行こう!」
ロビタ「エッ!?」
トビオ「ねっ、いいでしょ? お父さん!」
天馬「だめだ」
トビオ「どうして?! だってロビタは僕の友達なん・・・・」
天馬「トビオ。お前は私に従っていればいい」
トビオ「・・・・・・」

  (冷たく言い放つ天馬博士。不満げに顔を伏せるトビオ)











  (無言でガスの中を進む現在の天馬博士)








  カチャ(車の後部ドアを開ける天馬博士。その中を見て眼を輝かせるトビオ)

トビオ「わあーーー!!」
天馬「私からの誕生日プレゼントだ。今のエアバイスクルでは小さいだろう?」

  (天馬博士が取り出したのは、新しいエアバイスクルだった)

トビオ「わあーーーー! ありがとう、お父さん! これ、走らせてもいい?」
天馬「ああ。見学が終わったらたっぷり走らせるといい」


  カシャーン(床に”7”と描かれた大きな扉が開き、中に入る天馬博士とトビオ)

天馬「ここが第7プラントの入り口だ」
トビオ「第7プラント?」








  (無言で進み続ける現代の天馬博士)

  (その胸には、トビオの「第7プラント?」という言葉が響いていた・・・・・)


  ヒュイーーン(第7プラントの入り口に到着する天馬博士)

  (無言で扉を開け中に入る天馬博士)

  天馬(さあ、行こうトビオ)


  ウイーーーーン(エレベーターで地下へ降りていく天馬博士)






  (科学省の外。かけつけたタワシ警部とお茶の水博士らがいる)

タワシ「こうもたやすく科学省を占拠するとは、侵入者はやはり!?」
お茶の水「間違いない! 天馬博士じゃ!!」
アトム「・・・・・・!」







  ターン(第7プラントの中を進み、明かりをつける天馬博士)

  (帽子から被っていた防毒膜を解く天馬博士)

天馬「この場所で・・・・全てが・・・・」

  (無残な破壊の跡を見つめる天馬博士)









  (かつての第7プラント。ベルトコンベアにロボットの部品が乗せられている。それを見ているトビオ)

トビオ「ここ何なの?」
天馬「いらなくなったロボットを処分する施設だ」
トビオ「えっ!」

  (驚いて流れていくロボットの部品を見るトビオ。ベルトコンベアの先は溶鉱炉だった)

  (巨大なアームに挟まれ、溶鉱炉に落ちていくロボットたち)

  (溶鉱炉の端にかけよるトビオ)

トビオ「ひどいよ・・・・・」
天馬「古くなったロボットはこうして跡形も無く溶かされ、新しいロボットの素材となる」
  「そうだトビオ! 誕生日のプレゼントをもうひとつ追加しよう」
  「最新型のホームへルパーロボだ」

  (手元のモニターを操作する天馬博士)

トビオ「えっ? じゃロビタは?」
天馬「あれは初期型タイプで仕事が遅い。もはや用済みだ」

  (モニターを操作してロビタの最新型と思しきロボットのデータを呼び出す天馬博士)

トビオ「用済み・・・・・まさか・・・・・」
   「ねえ、お父さん・・・・・」
天馬「私が開発した最新型は素晴らしいぞ。きっとお前も気に入・・・・」
トビオ「僕の話を聞いてよ!!」
天馬「トビオ?」

  (叫ぶトビオに振り返る天馬博士)

トビオ「お父さんが忙しい時、ロビタはずっとそばにいてくれた! ロビタは僕の友達なんだ!!」
天馬「友達? ロボットは友達なんかではない。機械・・・いや人間の道具だ」
トビオ「違う!!」
天馬「!」
トビオ「ロビタを壊すなんてやだ!! 絶対壊させない!!」
天馬「口答えは許さん!」
  「トビオ! お前は私に従っていればいいのだ!!」
トビオ「・・・・!」
   「お父さんはいつだってそうだ・・・・・」
   「僕もお父さんの道具なの・・・・・?」
天馬「な・・・何を言う? 私はお前を愛している」

  タカッ、タカッ(トビオにかけより肩を掴む天馬博士)

トビオ「嘘だ! お父さんは愛してない!! 僕のことなんか愛してないんだ!!!」

  (天馬博士の手を振り払うトビオ)

  (ショックを受ける天馬博士)

  タッタッタッ(涙を零しながら走っていくトビオ)

天馬「トビオ・・・・・・」

  (走っていくトビオを唖然と眺める伝馬博士)


  (車まで走っていくトビオ。誕生日プレゼントのエアバイスクルが目に入る)


  ウィーン(エアバイスクルに乗り、車道を走るトビオ)

トビオ「ロビタは友達だ! お父さんなんて嫌いだ!!」


  ブー!ブー!(前方に大型トラックが接近。針路変更できず・・・・)

トビオ「!! うわああああああ!!!!」



  タッタッ(かけつけた天馬博士。そこで見たものは・・・・・)

天馬「・・・・・・ああああ・・・・・」

  (壊れたエアバイスクルと、道に横たわり動かないトビオ・・・・・・)





天馬「トビオ・・・・・・・・・・・・トビオーーーーーーーーーーーー!!!」





  (悲しみの絶叫を上げる天馬博士)










  (現代。科学省を睨むアトム)

夕子「天馬博士は第7プラントに侵入! システムを再起動しました!」
お茶の水「第7プラントじゃと!?」
リノ「確か閉鎖されたロボット処理施設です。天馬博士はどうしてそんな場所に・・・・・?」

  ザーザーザー(突然、モニターに天馬博士が映る)

天馬「ハッハッハッ! 諸君は私の行動に困惑しているだろう! 科学省に篭城し何をする気なのかと」

  (メトロシティ中のテレビに映し出される天馬博士)

天馬「私の要求はただひとつ。トビオと話がしたい。トビオと二人だけでだ」
  「もし要求が実行されない場合は、私は科学省を爆破する!」
  「ハッハッ・・・・!!」

  (映像がニュースに切り替わる。困惑した様子の女性アナウンサー)

アナウンサー「?! こ、これは驚きました!」
      「天馬博士はテレビ電波をジャック! トビオくん・・・・いえ、科学省のアトムの引渡しを要求してきました!!」


お茶の水「冗談じゃない! 断じてアトムを渡すわけにはいかん!!」

  (タワシ警部に詰め寄るお茶の水博士)

お茶の水「タワシ警部! 一刻も速く鎮圧部隊を出して貰おう!!」
タワシ「しかし、万が一天馬博士の言うことが本当なら、付近住民に被害が・・・!!」
お茶の水「それをなんとかするのが・・・・・」

  (興奮のあまりタワシ警部を襟元を掴むお茶の水博士)

アトム「僕・・・・・行きます!!」
お茶の水「・・・・・アトム!!」

  (タワシ警部を放し、アトムを見るお茶の水博士)

アトム「お茶の水博士・・・・行かせてください。僕、天馬博士を連れ戻さなきゃ!」
お茶の水「いかん・・・い、いかんぞ!! アトム・・・・・!!」
    「だああ!!」

  バシュッ!(アトムを制止しようとするお茶の水博士だが、アトムは聞かずジェット噴射で飛んでいく)

  (科学省の門が開き、中に入るアトム)



お茶の水「アッ・・・アッ・・・・・・アトムーーーーーーーー!!!」



















  (第7プラントの中を進むアトム)

アトム(僕はここへ来たことがある・・・・・・)








  (かつてアトムが”トビオ”として天馬博士と暮らしていた頃)

  (かつての人間トビオと同じようにロボット・トビオも、天馬博士に連れられて第7プラントに来ていた)

  (エレベーターで地下へ降りていくロボット・トビオと天馬博士)



天馬「トビオ。科学省こそ私の王国なのだ」
トビオ「王国?」
天馬「ここで私は人間よりはるかに優れたロボットたちを作り出す」
  「つまり私こそが、全てのロボットの王・・・・いや、神というわけだ」

  (地下へ降りていくエレベーター)








  ウィーン(エレベーターから降りる現在のアトム)


  (第7プラントを進んでいくアトム。その先にはハンドルを操作している天馬博士)


  ブシャア!(天馬博士の操作により、溶鉱炉に高熱で溶けた金属の液体が溜まっていく)

アトム「・・・・天馬博士!!」
天馬「・・・・・来たか・・・・・」

  (アトムに振り返る天馬博士。ふところから何かを取り出す)

  シュイーン(目のセンサーでその何かを分析するアトム)

アトム(自爆スイッチ・・・・・)
   (あれさえ取り上げれれば・・・・・・)



  (鉄をも溶かす溶鉱炉の上で対峙するアトムと天馬博士)


天馬「待っていたぞトビオ」
アトム「僕はトビオじゃありません。アトムです!」
天馬「・・・・そうだったな」
  「だがお前はトビオの身代りとして私が作り上げ、記憶を移植したロボット」
  「それは事実だ」








  (かつて科学省で天馬博士に造られたアトムもといトビオ)

天馬「さあ目覚めろ! 目覚めるのだ!!!」

  (ゆっくり目をあけるトビオ。天馬博士の姿が見える)

天馬「トビオ・・・・・お前は生まれ変わったのだ・・・・・」

  (トビオを抱きしめる天馬博士)

トビオ「おとう・・・・・さん・・・・・・」




「私はロボットのトビオを愛した・・・・・・」

  (クレヨンでお絵かきをしているトビオ。それを見守る天馬博士)

「いや、愛そうと努力した!」

  (笑顔でトビオを抱き上げる天馬博士)

「そしてそれは、成功したかに思えた・・・・」

「だがある日・・・・・・」


  (落ちたボールを追いかけて階段を下りてきたトビオ)

トビオ「?」

  (ふと見ると、機能停止した古いロボットが横たわっている)

  (人間トビオの友達だったロビタだ)



トビオ「お願い! あのロボットを直して!」

  (天馬博士に訴えるロボット・トビオ)

天馬「あれはもう古い。新しいのを作ってやろう」
トビオ「あのロボットがいい!」
天馬「だめだ。あのロボットは・・・・・」
トビオ「僕の話を聞いてよ!」

  (天馬博士を見つめるトビオ)





「私への反抗・・・・心の成長とともにロボットのトビオに変化が生じていた!」




天馬「トビオ・・・・・」





  (現代。溶鉱炉で対峙し続けているアトムと天馬博士)

天馬「その夜。私はロボットのトビオをこの場所へ連れてきた」
  「どうしても確かめたかったのだ」
  「お前がこの場所を見て、私に何を言うのかを・・・・」






  (かつての人間トビオを同じく、ロボットが溶鉱炉に落ちていく様を目の当たりにするロボットのトビオ)

トビオ「・・・・・・ひどい・・・・・」
   「お父さん! ロボットが可愛そうだ! 僕だってロボットなのに!!」
天馬「お前はただのロボットではない。もっと特別な存在・・・・」
トビオ「お父さんは僕を愛してないの!?」
天馬「愛しているとも。トビオ、私はお前を心から・・・・・」

  (トビオを抱きかかえようとする天馬博士)

トビオ「嘘だ! お父さんは誰も愛してない! 僕の事だって・・・・愛してないんだ!!」

  (天馬博士の手を振り払うトビオ)




「私は否定された・・・・・息子トビオとまったく同じ言葉で!!」






  (現在。科学省周辺で人々を避難させている警察ロボット)

警察ロボット「避難シテクダサイ。避難シテクダサイ・・・・・・」


  (待機しているタワシ警部とデルタ。そこに警官がやってくる)

警官「タワシ警部。付近住民の避難誘導始まりました!」
タワシ「うむ」
   「デルタ!」
デルタ「はっ!」
タワシ「ARRS隊出動準備いいな?」
デルタ「はっ!」

  (警官に抑えられながら詰め寄るお茶の水博士)

お茶の水「タワシくん! 頼む! ワシも行かせてくれえ!!」
タワシ「後は我々の仕事です。速く避難を・・・・」
お茶の水「馬鹿が!! このままあの子を放っておけるものか!!」
    「放せーーー!!!」

  (警官を振り切るお茶の水博士)

お茶の水「あの子は、ワシの息子なんじゃ!!」
タワシ「博士!! 待ちなさい!!」

  (タワシの声も聞かず、科学省に走っていくお茶の水博士)

  (夕子やリノもかけつけるがタワシ警部に制される)


夕子「博士!」
リノ「博士!」
タワシ「デルタ!」
デルタ「はっ!」

  (科学省に突入していくデルタ)





  ボコボコ(煮えたぎる溶鉱炉)

アトム「トビオくんと同じ言葉であなたに反抗した。だから僕をシステムダウンしたんですか!?」
天馬「そうだ。だがそれだけではない」
  「私はお前が恐ろしくなったのだ」
アトム「僕が恐ろしく・・・・?」
天馬「覚えているか?」

  (再び懐から何かを取り出す天馬博士。それは刺々しいリングのようなものだった)

  カチィン!(トゲが広がるリング)

アトム「!!」

  (身をすくめるアトム。そして思い出す)






  (溶鉱炉で対峙するロボット・トビオと天馬博士)

トビオ「嫌いだ! ロボットを平気で壊すお父さんなんて大っ嫌いだ!!」

  (叫びつつベルトコンベアにむけて走っていくトビオ)

天馬「トビオ! よせ!!」
トビオ「うわあああああああああああああ!!!!」

  (ベルトコンベアを動かす機械にむけて飛び込むトビオ)

天馬「やめろーーーーーーッ!!!」


  ドガーーーーン!!!(大きな爆発が起こり吹き飛ばされる天馬博士)


天馬「うわあああああああああああ!!!」






  (現在。トビオが破壊した後が見えるその前で話を続ける天馬博士)

天馬「私は、従順であるべきロボットに心を・・・・人間に反逆できる心を与えてしまったのだ!」
  「制御不能なロボット! 息子と同じ姿をした怪物!」
  「だから私は・・・・・・!」






  (怯えた様子でロボット・トビオを見る過去の天馬博士)

  (破壊後の中から立つロボット・トビオ)

トビオ「ごめんなさい・・・・ぼく、ロボットたちを壊されたくなくてこんなひどいことを・・・・・・」
天馬「トビオ・・・・・お前は自分の力の使い方に慣れていないのだ・・・・」

  カチャ(天馬博士の懐からかすかに音がする)

トビオ「本当にごめんなさい・・・」
   「本当に・・・・・ごめんなさ・・・・・」

  (ゆっくりとトビオに近づく天馬博士・・・・)

  (トビオと向き合う天馬博士。見ると右手にあのリングを持っている)

トビオ「!!??」

  (振り上げたリングをトビオを首にかける天馬博士)

  バシバシ(激しい光を放つリング。対照的にトビオの目から光が失われ、力尽きて倒れる・・・・)






アトム「!!」

  (現在。苦しみの表情を浮かべたアトム)

天馬「ハッハッハッ! 思い出したか?! あの時お前をシステムダウンさせたキルリングだ!!」
アトム「天馬博士! またそれを使う気なんですか!?」
天馬「それはお前自身が決めるのだ!」

  ビガッ(光を放つキルリング)

天馬「私の話がすべて終わったその後に!!」



















天馬「お前をシステムダウンさせた私は、開発中のロボットを全て破壊した」

  (ロボットを次々と破壊していく天馬博士)

天馬「進化したロボットが、人間を支配すると確信したからだ」
  「私はそれが恐ろしかった」





  (ロボットを破壊し炎に包まれた過去の天馬博士)

天馬「人間を超え、ロボットは進化するのだ!!!」





  バシュー!(現在。配管が壊れ水が吹き出る)

天馬「だがシステムダウンさせたロボットのトビオを、あろうことかお茶の水は復活させアトムと名づけた!」
アトム「・・・・!」

  (アトムに近づいていくて天馬博士)




  (ジオワームから始まり、アトムの様々な活躍を思い出す天馬博士)

天馬「再び蘇ったお前の驚異的な力を目の当たりにし、私の中で何かが変化した!」

  「私は恐れを捨てたのだ!!」

  「人間に支配されず、自らの意思で行動するロボット・・・・・トビオ!」

  「私はお前の秘められた力に、ロボットの進むべき未来を見たのだ!」

  「だから私はお前に、幾度と無く試練を与えた!」

  「お前をさらに進化させるために!!」





天馬「進化したロボットが愚かな人間を支配する!」
  「そして私の生み出した最高のロボットであるお前が・・・・・・!!」

  (キルリングをアトムにつきつける天馬博士)

天馬「王となることこそ、私が望んだ理想の世界だった!!」
  「私の下へ戻れトビオ! そうすれば世界を支配する事だってできる!!」
  「私こそお前を理解し、愛せる唯一の人間なのだ!!」
アトム「嘘だ!!」
   「あなたは愛してなんかいなかった!!」
   「トビオも、トビオの身代りのロボットも!!」
   「そして僕も・・・・・!!」


   「天馬博士! あなたは僕を愛していない!!!」





  (しばし無言で対峙する二人・・・・・・)



天馬「!!・・・・・・・・それでよい・・・・・・」
アトム「!?」

  (自爆スイッチを放り投げる天馬博士)

アトム「!!??」

  (スイッチを掴もうとするアトム)

  (その隙にレバーを操作する天馬博士)

  ガタッ!(回転しながらスイッチを捉えたアトム)

  ジーーーー!(指先からのレーザーでスイッチを真っ二つにした)

アトム「ハア・・・」


  バッン!!(息をつくアトムだが、間髪いれずに大きな爆発が起こる)

天馬「無駄だ。もう止まらない」
アトム「天馬博士!」
天馬「これで私は三度、自分の息子に否定されたのだ・・・・・」
  「親としての資格を・・・・・その愛情を・・・・・全く同じこの場所で!!」
アトム「博士! あなたは・・・・・」
天馬「これで・・・やっと終わらせることができる」
アトム「わざと僕に言わせたんですね!」
天馬「さらばだ・・・・・」
アトム「”愛していない”と!!」

  (アトムの声には答えず一筋の涙を流す天馬博士)

アトム「!?」

  ドガン!ドガン!(さらに激しくなる爆発)

アトム「いけない! 天馬博士!!」
天馬「くっ!!」

  バシュッ!(キルリングから光線を放つ天馬博士。直撃を受けたアトムが吹き飛ぶ)

天馬「来るな! また私に破壊されたいのか!」

  (吹き飛ばされながらも起き上がるアトム)

アトム「はやく・・・僕と脱出を!」
天馬「来るな! 来るな! もう全て終わったのだ!!」

  (後ずさる天馬博士に対し、近づいていくアトム)

アトム「終わってなんかいません!」

  ビシュー!(さらに光線を放つ天馬博士。顔をかするも怯まないアトム)

アトム「博士!」

  (ゆっくり近づいていくアトム。困惑の表情を浮かべる天馬博士)

  (両手を大きく広げ、天馬博士に抱きつくアトム)





アトム「死なないで・・・・・お父さん・・・・・」
天馬「!!!」

  (キルリングを手放す天馬博士)





天馬「・・・・・・・・・・うわあああああああああああああ!!!!」


  (アトムを力いっぱい抱きしめる天馬博士)

  (天馬博士が手放したキルリングが落下して分解した)



  タッタッ(第7プラントに駆けつけたお茶の水博士)

お茶の水「アトム!!」

  (アトム目掛けて走っていくお茶の水博士。その後方から遅れて到着したデルタたち)

デルタ「博士!」

  ドガガガン!(その時、更なる大爆発が起こり橋が崩れた)

お茶の水「!!!」

  (怯まないお茶の水博士。ジャンプして向こう側へしがみつく)

お茶の水「アトム!!」
アトム「お茶の水博士!」
お茶の水「アトム!!」

  (天馬博士と抱き合っているアトム)

アトム「博士!」
お茶の水「アトムや!!」

  (ゆっくりとアトムから離れる天馬博士)

天馬「アトムよ・・・・お前の父親にふさわしいのは・・・・・私ではない」

  (天馬博士の顔を見るアトム。それは穏やかな様子だった)

アトム「・・・・・・!」
お茶の水「天馬博士・・・・・」

  ドガン!ドガン!(爆発が続けて起こり、いまや第7プラントは火の海だ)

  (アトムたちの周りに、デルタ率いるARRS隊が到着。隊員のアルファが天馬博士を支える)

アルファ「アトム! 今の爆発で完全に出口がふさがれたぞ!!」
    「このままでは全滅だ!!」


   ドガガガガガン!!!(今までに無い大爆発。アトムたちが吹き飛ばされる)

デルタ、お茶の水「「ア ト ム!!!」」


  (吹き飛ばされながら笑顔を見せるアトム)

お茶の水「!!??」

  (左腕をレーザーブラストに変え、一撃を放つアトム)



  バシュッ!!!(放たれた光線は、科学省から飛び出しエメラルド色の光を夜空に撒き散らした・・・・)





  (そして・・・・・・)





















  (平和を取り戻したメトロシティ。テレビ放送によるリヨン連邦議長の声が響く)

リヨン「本日、連邦議会はAIロボットの人間に準ずる権利を認めることにしました」

  (テレビ放送を見守る人々)

リヨン「これをロボットパートナー宣言とし、全世界に発信します!」


  ワー、ワー(大きな歓声に包まれる連邦議会会場)

  (壇上に上がるお茶の水博士)



お茶の水「今日という日は、我々人類とロボットにとって、記念すべき日となるでしょう」


  (会場にはアトムの友人たちがいる)

  (タワシ警部やデルタらもいる。警部は旗を振っていたが恥ずかしいのかデルタがみつめると隠してしまった)


お茶の水「なぜなら、人間とロボットはともに新たな一歩を踏み出したからです」


  (各地でロボットに花束を贈り、祝福する人々)


お茶の水「ロボットは人間の道具として作られました」

    「人間の命令に忠実な、人間のために働く機械」


  (会場にはレッド将軍とエナ、それに執事ロボットのキップも来ている。エナはキップを見てうれしそうだ)


お茶の水「しかし、ロボットは心を持ったのです」

    「我々人間と変わらない心を」

    「私は素晴らしいことだと思いました」


  (お茶の水博士の演説を遠くから見ているアトム)


お茶の水「しかし、実際には人間とロボットの間には様々な誤解や衝突、悲しみがありました」


  (自分自身を含め、人間との衝突で苦しんできたロボットの姿を思い出すアトム)


お茶の水「心を持つロボットたちを、私たち人間はどれだけ傷つけたことでしょう?」

    「彼らの痛みを、苦しみを私たちはどれだけわかってあげられたでしょうか?」

    「もっと理解し、認めてあげることができたのなら、ロボタニアのような事件も起こらずにすんだかもしれません」


  (テレビで議会の中継が流れる中、刑務所で佇む天馬博士)

  (人間トビオとロボットのトビオ。二人の息子の写真を見る天馬博士)


お茶の水「しかし、同時に私たちは、多くのことを学びました」
    「お互いを認め合い、許しあうことの大切さを」


  (歩いていくアトム)





お茶の水「私は全人類を代表し、ここに宣言いたします」

    「ロボットは、もはや人間の道具ではありません!」

    「心の絆を結んだ、素晴らしきパートナーなのです!!」

    「この星の未来を共に築き上げていく、掛け替えの無い仲間なのです!!!」




  (会場が大歓声に包まれる中、外に出て侘しげに夕日を見るアトム)




  カタッ(蓋が開いてウランが顔を出す)

ウラン「お兄ちゃん!」
アトム「!」

  (続いてリノやケンイチなど、友人たちがどっと顔を出す)

友人たち「「「「「アトム!!!!」」」」
アトム「みんな!」

  (涙を拭う仕草をして振り返るアトム)

リノ「アトム、よかったな!」
ケンイチ「夢が叶ったね!」
アトム「うん。でも・・・・・・」
ウラン、友人たち「「「「「「「でも?」」」」」」

アトム「僕たちの大きな夢は、今始まったばかりなんだ!」





  (人間とロボットによる新たな時代が幕を開けた地球・・・・・・










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