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Angel Beats!の最終話


‐あれから3日後−

保健室で目を覚ますゆり

ゆり「ここは、どこ?」

音無「保健室だ」

ゆり「保健室?あなた達、どうしてまだいるの?」

かなで「無理しちゃダメ」

ゆり「大丈夫よ、かなでちゃん」

日向「まあ、ゆりっぺにしちゃ大変だったようだしな」

直井「よくそんなのでリーダーが務まっていたものだな」

ゆり「あなた達まで。一体何してるのよ、影はもういないんじゃないの?なら邪魔するものは何もないはず」

音無「ああ、分かってる」

ゆり「だったら・・・」

音無「まだお前が残ってるじゃないか」

ゆり「え?」

音無「お前が残ってる」

ゆり「わ、私?あ、そっか。何て言うんだろ?」

音無「何だよ?」

かなで「多分だけど、もうゆりの抱えていた葛藤は解けてる」

音無、日向「え?」

ゆりは慌てて顔を隠す

音無「そうなのか、ゆり?」

ゆり「え!えっと・・・それは、その・・・」

直井「よし、僕が催眠術で吐かせて・・・」

ゆり「やめろ、コラァ!」

日向「と、嫌がるということは・・・的中?」

ゆり「え、いやそんな事ないわ。私、リーダーなのにそんな簡単に解けちゃってたらいい笑い種じゃない、ね?」

直井「じゃあ、催眠術で・・・」

ゆり「そうよ、解けたわよ!悪いか!」

日向「あ、認めた」

ゆり「・・・・。かなでちゃん、意地悪なんだ」

かなで「ゆりが天邪鬼なだけ」

ゆり「あなた言うのね。でも何となく嬉しいな」

かなで「何が?」

ゆり「ゆりって呼んでくれて」

かなで「どうして?」

ゆり「だって、友達みたいじゃない?」

かなで「友達?・・・そうね」

日向「じゃあ、準備は無駄にならなかったわけだな?」

音無「ああ」

ゆり「準備って何か始めるの?」

音無「最後にしたいことがあるんだ。かなでやったことないんだってさ」

ゆり「え、何を?」


                                  Graduation


移動する一同

ゆり「他の皆は?」

音無「全員行ったよ」

ゆり「そっか、よかった」

音無「皆が手伝ってくれたおかげだ」

日向「苦労はしたけどな」

直井「フン、神の成せる業だ」

日向「でも何だかんだ言って、皆結構楽しんでたんだよな、ここの暮らし。それが分かったぜ。それもゆりっぺのおかげだと思う」

ゆり「そう」

日向「高松も行けたんだぜ。NPCになった後でも正気に戻れたんだ」

ゆり「へえ、そうなんだ」

日向「あんまり驚かないんだな」

ゆり「ん?」

日向「NPCに戻れねえって言ってなかったっけ?」

ゆり「思いの強さでいつか人に戻れるようにしてあったのね」

日向「ああ?」

移動中、ずっと楽しそうに鼻歌を歌うかなで

音無「その歌、何だっけ?さっき作業してる時も口ずさんでいたよな」

かなで「何だっけ?」

ゆり「それ、あれよ。岩沢さんが最後に歌った歌。MySong」

音無「ああ、あの曲か」

直井「全校放送で流れたやつだな。まったく・・・」

ゆり「いい曲よね」

かなで「うん」

体育館に着く

ゆり「体育館?」

音無「ああ」

中には死んだ世界戦線卒業式と書かれている

ゆり「わあ・・・」

日向「俺達で作ったんだ」

音無「文字はかなで」

ゆり「そうなんだ。かなでちゃん、卒業式したことなかったんだ?」

かなで「面白いのかなって」

日向「面白かねえよ」

音無「でも、字を書いてる時は楽しそうだったけどな」

日向「女子は大抵泣くんだぜ」

直井「フン、これだから女は」

かなで「ふうん」

音無「じゃ、始めようか」

ゆり「え、今から?」

日向「何のために着替えたんだよ」

ゆり「え、いや。本当に消えるのかなって。こ、心の準備が」

直井「何だ。それでも元リーダーか」

ゆり「な、何よ!」

音無「お前、皆が消えたらリーダーっぽくなくなったな。何か」

ゆり「うっ・・・そ、そう?」

日向「確かに何か変わったな」

ゆり「え、どう?」

音無「そうだな、なんか女の子っぽくなった」

ゆり「え、それ、喜べばいいの?怒ればいいの?」

日向「戦い終えたらそんな事も分からない無垢な女の子に戻っちまったんだな。ゆりっぺも可愛いとこあるじゃん」

ゆりは赤くなって日向を止める

かなで「フフッ。ゆり面白いな」

直井「フン」

音無「よし、始めるぞ」

そして始まった

音無「開式の辞。これより死んだ世界で戦ってきた死んだ世界戦線の卒業式を執り行います。ではまず、戦歌斉唱」

ゆり「戦歌!何それ?」

音無「死んだ世界戦線の歌だよ。校歌の代わりみたいなもの」

ゆり「私、そんなの作らせた覚えないわよ」

音無「それもかなでが作った」

ゆり「あなたが作ったの?ってそもそもあなた戦線じゃないじゃない」

音無「いいじゃないか。はい、歌詞回して」

ゆり「メロディは?」

音無「校歌って大体似たようなものじゃん。適当に歌っとけば合うだろ?では、せーの」

「お空の死んだ世界からお送りしたお気楽ナンバー。死ぬまでに食っとけ、麻婆豆腐。ああ、麻婆豆腐、麻婆豆腐」

日向「って、何だよこの歌詞!先に誰かチェックしとけよ。歌っちまっただろ!」

ゆり「まあ、かなでちゃんなりに一生懸命真剣に書いたんだから、そんなに言う事ないじゃない。ねえ」

うなづくかなで

直井「真剣にってお気楽ナンバーって堂々と書いてあるんだが」

音無「でも何て言うんだろ、かなでの気持ちが詰まってる気がするよ」

日向「どこにだよ」

音無「頭からケツまで」

日向「そうだな。ハハ」

ゆり「やったね、かなでちゃん」

かなで「うん」

ゆり「次は?」

音無「次は卒業証書授与」

ゆり「あるの?」

音無「作ったんだよ。また主にかなでがな」

かなで「うん」

ゆり「で、授与する校長は?」

日向「俺だよ」

ハゲづらと眼鏡をかけているが

ゆり「うわ」

日向「クソ、俺がじゃんけんで負けたんだよ!文句あっか!」

直井「フン、貴様には適任だ」

音無「さあ、始めようぜ」

そして始める

音無「卒業証書授与!では、立華かなで」

かなで「はい」

壇上に上がり、授与される

音無「次、仲村ゆり」

ゆり「はい」

壇上に上がり

ゆり「それ、似合ってるわよ」

日向「ほっとけ」

証書の内容を見ると

ゆり「バカ・・・」

音無「次、直井文人」

直井「はい」

壇上で偉そうに

直井「我を称えよ」

日向「はぁ?ったく・・・お勤めご苦労様でした」

直井「フン」

音無「音無結弦、はい」

壇上で日向に

音無「それ取れよ」

日向「え?じゃあ・・・」

音無「日向秀樹」

日向「え?はい」

音無は日向用に用意していた

日向「何だよ、参ったな・・・ありがとうな」

音無「こちらこそすげぇ世話になった」

手を取り合う二人

音無「卒業生代表答辞」

音無自ら言うことに

音無「あーっ、うん・・・振り返ると色んな事がありました。この学校で初めて出会ったのは仲村ゆりさんでした。いきなり「死んだのよ」と説明されました。そして、この死後の世界に残っている人達は皆一様に自分の生きてきた人生を受け入れられず神に抗っている事を知りました。私もその一員として戦いました。しかし、私は失っていた記憶を取り戻すことにより自分の人生を受け入れることが出来ました。それは掛け替えの無い思いでした。それを皆にも感じて欲しいと思いました。ずっと抗ってきた彼らです。それは大変難しいことです。でも彼らは助け合う事、信じあう事が出来たんです。仲村ゆりさんを中心に戦線はそんな人達の集まりになっていたんです。その力を勇気に皆は受け入れ始めました。皆、最後は前を見て立ち去って行きました。ここに残る5名も今日をもって卒業します。一緒に過ごした仲間の顔は忘れてしまっても、この魂に刻み合った絆は忘れません。皆と過ごせて本当に良かったです。ありがとうございました。卒業生代表、音無結弦」

拍手でしめる

音無「全員起立!仰げば尊し斉唱!」

仰げば尊しを歌う

直井「遅いぞ、貴様!」

日向「何!明らかにてめえが早かったろ!」

ゆり「私達は合ってたわよね」

無言で頷くかなで

日向「本当、音無と時と違うよなお前!」

音無「せーの」

「いざさらば」

終わり。一様に笑う

音無「閉式の辞!これをもって死んだ世界戦線の卒業式を閉式といたします。卒業生退場!」

直井「フン。女の泣き顔なんて見たくない。先に行く」

といいながら己自身が泣きそうな顔になっている直井

日向「おめえが泣いてんじゃねえかよ」

直井「音無さん、音無さんに出会えてなかったら僕はずっと報われなくて・・・でも、僕はもう迷いません。ありがとうございました」

音無「ああ。もう行け」

直井「ありがとうございます」

そして直井が消える

日向「行ったか?さて、次は誰が泣く番だ?」

ゆり「泣きなんてしないわよ。かなでちゃん」

かなで「ん?」

ゆり「争ってばっかりでごめんね。どうしてもっと早く友達になれなかったのかな。本当にごめんね」

かなで「ううん」

ゆり「私ね、長女でね、やんちゃな妹や弟を親代わりに面倒見てきたからかなでちゃんに色んな事教えてあげられたんだよ。かなでちゃん世間知らずっぽいから余計に心配なんだよ。色んな事出来たのにね。色んな事して遊べたのにね。もっともっと時間があったらいいのにね。もうお別れだね」

かなで「うん」

かなでを抱きしめる

ゆり「もう、さようなら。かなでちゃん」

かなで「うん」

ゆり「じゃあね」

音無「ああ。ありがとうな、ゆり。いろいろ世話になりまくった」

日向「リーダー、お疲れさん」

ゆり「うん。じゃ、またどこかで」

ゆりも消える

日向「フゥ・・・まあ俺だわな順番的にって」

音無「いや、俺でもいいぜ?」

日向「何言ってんだよ。かなでちゃん残して先に行くなよ。俺が行くって」

音無「そうか」

日向「ああ。俺が行くよ色々ありがとうな。お前がいなければ何も始まらなかったし、こんな終わりも迎えられなかった。感謝してる」

音無「たまたまだよ。よく考えたら俺、ここに来ることはなかったんだよな」

日向「どういうことだ?」

音無「俺はちゃんと最後には報われた人生を送っていたんだ。その記憶が閉ざされていたからこの世界に迷い込んできた。それを思い出したから報われた人生の気持ちをこの世界で知ることが出来た」

日向「そうだったのか。本当に特別な存在だったんだな、お前」

音無「だから皆の力になれたのも、そういうたまたまのおかげなんだよ」

日向「そっか。まあ長話も何だ。じゃ、行くわ」

音無「ああ。逢えたらユイにもよろしく」

日向「おお。運は残しまくってるはずだからな。使いまくってくるぜ」

音無、日向「・・・・・・」

日向「おし!じゃあな、親友!」

日向も消え、残ったのは音無とかなでだけとなった

音無「えーっと、どうだった卒業式?楽しかったか?」

かなで「うん、すごく。でも最後は寂しいのね」

音無「でも旅立ちだぜ?皆、新しい人生に向かって行ったんだ。いいことだろ?」

かなで「そうね」

音無「あのさ、外に出ねえ?ちょっと風に当たりたいかなって」

かなで「ん?・・・うん」

外に出る2人

音無「あのさ、かなでここに残らないか?」

かなで「え?」

音無「何か急に思いついちまった。だってさ、またゆりや日向達のように報われない人生を送ってここに来てしまう奴がいるって事じゃん」

かなで「そうね」

音無「そいつらまたゆり達のように、ここに居ついちまいかねない。ここでずっとさ、苦しんで生きることに抗い続けてしまうかもしれない。」

かなで「そうね」

音無「でもさ、俺達が残っていたらさ、そいつらに今回のようにさ生きる事の良さを伝えてさ卒業させてやることが出来る。もしかしたら、そういう役目のために俺はここに来たのかもしれない。だからさ、一緒に残らないか?かなでがいてくれたらさ、こんな世界でも俺は寂しくないから」

かなでが泣きそうになる

音無「前にも言ったかもしれない。俺はお前と一緒にいたい。これから先もい続けたい」

何かを言いたそうに歩き出すかなで

音無「だって俺はかなでの事がこんなにも・・・好きだから」

かなでを抱きしめる

音無「好きだ」

表情は暗い

音無「どうして何も言ってくれないんだ?」

かなで「言いたくない」

音無「どうして?」

かなで「今の思いを伝えてしまったら、私は消えてしまうから」

音無「どうして?」

かなで「だって、私はありがとうをあなたに言いに来たんだから」

音無「どういう事だよ?」

かなで「私はあなたの心臓で生き永らえることが出来た女の子なの」

音無「!」

かなで「今の私の胸ではあなたの心臓が鼓動を打っている。ただ一つの私の不幸は、私に青春をくれた恩人にありがとうが言えなかった事。それを言いたくて、それだけが心残りでこの世界に迷い込んだの」

音無「そんな・・・でも、どうして俺だって分かった?」

かなで「最初の一刺しで気付けた。あなたには心臓がなかった」

音無「あ・・・でも、それだけじゃ」

かなで「あなたが記憶を取り戻せたのは、私の胸の上で夢を見たから。自分の鼓動の音を聞き続けていたから」

音無「そんな・・・」

かなで「結弦、お願い。さっきの言葉もう一度言って」

音無「そんな・・・嫌だ。かなでが消えてしまう」

かなで「結弦、お願い!」

音無「そんな事出来ない」

かなで「結弦!あなたが信じてきたことを私にも信じさせて。」

明らかに表情が暗くなる音無

かなで「生きることは素晴らしいんだって・・・結弦」

音無「かなで・・・愛してる。ずっと一緒にいよう」

抱き合う2人

かなで「うん、ありがとう結弦」

音無「うん、ずっと・・・ずっと一緒にいよう」

かなで「うん、ありがとう」

音無「愛してるかなで」

かなで「うん、すごくありがとう」

音無「かなで・・・」

かなで「愛してくれて、ありがとう」

音無「消えないでくれ。かなで・・・かなで」

かなで「命をくれて本当にありがとう」

そしてかなでも消える

音無「かなで!」

音無の叫びが木霊する。おそらく音無も・・・

転生後の世界。再び音無はかなでと巡り合うことに
           
                               END

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